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悪夢のドライブ(1/2)





「・・・・え、やだ」



「即答するなよ;お前が警察関係を嫌ってる事は分かってるが、今は時間がないんだ」



この前の出来事以降、漸く怪我が完治し兄に会いに行けば、車でドライブしながら話す事数分、兄、降谷の携帯が鳴った。




耳にイヤホンを付け、フリーハンドで電話を取った後、徐々に険しくなっていく兄の表情に何かあったな、と思うものの、警察関係の事には関わりたくないため、特に興味を示さず、外の景色を見ていた。



「なにっ!!?」



兄の焦った声と共に、キキッーーと車が停止した。



そして「すぐに行く!」との声とともに方向転換をし始める彼の愛車のRX-7。



「わっ・・・・」



いきなりの荒い運転にりゅうは驚いた。




「りゅう、悪い!公安で非常事態が起きた。すぐに行かなきゃいけない!」




「あー、そう。じゃあ私を降ろしてくれないかな?」



勝手に帰るので。と言えば「悪いがそんな時間も惜しいからこのまま公安まで行く」と言われて冒頭に至るのだが・・・




「じゃあ、駐車場で降りて帰ってる」



「・・・今日は確か沖矢さんが留守だったんじゃ?」



「留守だよ?」



だから夜なのに兄である降谷の元を訪れたのだから・・・。まぁ、訪れると言っても連絡してあったので兄が迎えに来てくれたのだが。




「どうやって帰るつもりか聞いてもいいか?」




「・・・歩いて?」



「お前は馬鹿か?」



即答で言われてグサッと何かが刺さったりゅうは「ぐっ・・・」と唸った。



「・・・お兄ちゃん、なんか昴みたいに容赦なくなってきたよね」



「優しい言葉だけだと危なっかしくてしょうがないよ、お前は・・・;」



「・・・言葉は関係ないと思うの・・・」



こんな穏やかに話してはいるが、運転の荒さもスピードも半端ない。



時折、頭をぶつけながら「いたっ・・・」と声が漏れれば「わ、悪い;」と気まずそうに謝罪される。




「と、とにかく、こんな夜遅くに一人で歩くな。しっかり送ってくから少しだけ待っててくれ」



キキ―――と車をそのままの勢いのまま駐車場へと停め、すぐに降りて居なくなる兄。




「・・・・・・・」



公安に来ちゃったし・・・。今すぐにでもここから去りたいが、そんな事をすれば後々、兄から説教されるのが目に見えている。



大人しくしているか。と助手席に深く座り込んだ。



ゆっくり話せると思ったのに、結局殆ど何も話せなかった。今日はもう無理だな、と思いながらもどこかホッとしている自分に苦笑いした。



「組織の話しても、お兄ちゃん・・・苦しそうな表情するんだもん」



それでも、今更手を引く事なんて出来ない。



「ごめんね」と小さく呟いて、外を見ていればガラスが派手に割れる音がした。




「・・・・・・」




何事だと思い、座りなおし外を見れば一人の女が窓から落ちてきた。



落ちてきたというより、逃げてきたのだろうか?あの身のこなし、ただ者じゃない。スゥッと目を細め、彼女の動きをしっかりと見てある行動に移した。



兄が追っていた人物だろう。そしてあの身のこなしを見れば恐らく組織に関わりがある人物である可能性が高い。




運転席へと移り、付けっぱなしだった鍵を回した。



「キー位ちゃんと抜いておくことを奨めるよ、お兄ちゃん」



今は付いててラッキーだったけど。と呟きながらギアを変えつつ急発進した。



先ほどの女が車を奪い、ある方向へと向かって行くのを確認し、兄が出てくるであろう場所の横へと車をつけておく。



「りゅう!!?」



「車の運転は久しぶりでブランクあるからよろしく」



降谷は外に出た瞬間、真横に付けられた自分の車に目を見開いた。



運転席のドアを開けながらすぐに助手席へと移れば降谷はすぐに運転席へと乗り込んだ。



「助かったよ、りゅう」



ほんの少しの時間が、奴にとっては逃げ延びる隙を与えてしまう。と言えばりゅうはシートベルトを付け直しながら「・・・やっぱ降りてればよかった」と零した。




「けど、公安の奴らに送らせるのも嫌だろう?」



「当たり前でしょう?」



死んでもお断り!と嫌そうな表情も隠すこともせず溜息を吐くりゅうに、降谷は苦笑いした。



「しっかり捕まってろ!!」



「・・・・了解」



兄の言葉により荒くなる運転、頬を引き攣らせアシストグリップをしっかりと掴んだ。



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