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爆弾投下中(2/3)






夜中の5時にロビーへと沖矢と共に行けば、そこには蘭と園子、コナンに灰原、歩美と元太、光彦が居た。



「・・・おはよう、ごめんなさい、待たせちゃったかな?」



「おはようございます!いえ!私たちも今来た所です!」



りゅうの言葉に蘭が笑顔で答えれば小さく笑い「・・・そう」と呟いた。



「・・・大丈夫ですか?」



「ん?」



「その・・・具合が優れないって聞いたから・・・」



心配そうな蘭達に「大丈夫」とすぐに返した。



「ただ警察相手にしたくなかっただけの嘘、だから」



りゅうの言葉に苦笑いしながらも安堵を浮かべる蘭。



「そう言えば、博士はご一緒ではないんですか?」



キョロッと見渡す沖矢に灰原が警戒しながら「博士なら来ないわよ」とコナンの陰に隠れて言った。



「・・・どうして隠れるんですか?」



「本気で聞いているのなら、あなた頭おかしいんじゃない?」



本気で分からないと、首を傾げる沖矢に灰原は呆れたような表情をしてジト目で見ていた。




「博士、腰痛めたらしくて、雪道歩くのが辛いんだってー」



歩美の言葉に、そう言えば昼間のその、シュートレッキングで相当腰に負担がかかってたような・・・と思い浮かべていれば「出発しましょ!」と園子の声が聞こえて子供達も元気よく返事を返した。





元気よく出発の合図をしたにも関わらず、数分外を歩いただけで、園子から早速愚痴が漏れた。




「あー・・・寒いっ、なんでこんな思いをしてまで日の出を見に行かなきゃいけないの〜・・・?」




「いいからいいから!」




先頭でそんな話が聞こえてきて小さく笑い、最後尾のりゅう達の前を歩いている灰原とコナン。



どうやら事件の話をしているようで・・・



りゅうも沖矢からある程度の事は聞いていた。




「なぜ、氷川さんが雪原で殺されていたのか・・・」



「そうね、私だったら側道で車で会いに行くわ」



コナンと灰原の言葉にりゅうが小さく言葉を発した。



「・・・もしも氷川さんの方に何かやましい事があったら・・・話は変わってくるんじゃない?」




「え?」




「・・・なるほど、確かに。例えば、氷川さんの方に殺意があって呼び出していたとしたら・・・」



「それを逆手にとってトリックを使い氷川さんを殺したっ・・・!?」




沖矢の言葉にコナンも「そうか」と言わんばかりに驚きの声を発した。



「まぁ、あくまでただの可能性の一つであって、それが正しいとは限らないけどね。ただ、一つの視点に捕らわれず、色んな方向からいろんな視点で見ると違う何かが見えてくるかもね」




「ありがとう!りゅうさん。もう一度違う視点で考えてみるよ!」




「・・・どういたしまして」



笑顔のコナンにりゅうは呆れたように返事を返した。



するとコナンの携帯に蘭からの着信が入ったようで・・・



「(あぁ、工藤新一の方の携帯か)」



そんなやり取りを何気なしに見ていれば隣を歩いていた沖矢に声を掛けられた。




「何?」



「事件にはあまり関わりたくないのに、そういう推理系は向いてますよね」




「ははっ、推理が向いてるかどうかって言ったら向いてないと思うよ?」



「そうですか?」



「私は事件とかって、どちらかと言えば冷めた感情で見てるから・・・・」



「冷めた感情?」



「自分に、自分の周りに害さえなければどうでもいい。だからこそ、ボウヤやあんたみたいに、必死に考えて犯人捜しをしようとは思わないし、その動機なんて興味ない」



だから向いてない、とハッキリ言い切るりゅうに苦笑いが漏れた。




「それでもコナン君にそうやって助言するのは・・・」



「ただ気づいた事を口に出してるだけ。犯人を見つける気なんてこれっぽちもない」




「それでも、あなたの着眼点は私やコナン君とは違います。純粋に尊敬しますよ」




「ははっ、着眼点が違うって・・・あんた達の視点が正義だとすれば、私の視点は悪ってだけよ」



正義なんかより簡単な犯罪者思考だから、別に尊敬される事でもない、とりゅうは小さく笑った。




「言い方、見方次第ですよ」




「?」



「冷めた感情で、ではなく冷静な判断が出来る。犯罪思考ではなく、柔らかい思考・・・」



「・・・・ふっ、あははっ、昴、それ超ポジティブ思考っ・・・」



あははっ、お腹痛いっ・・・と笑い始めたりゅうを沖矢は少し驚いた後、フッと笑った。



「そこまで笑う事ないじゃないですか?いいと思いますよ?ネガティブよりはポジティブの方が・・・ね」



「あははっ、あんたがネガティブとか、ポジティブとか・・・似合わないっ」




「あの・・・失礼なこと言ってる自覚あります?」



どこか無邪気に笑うりゅうに、沖矢は呆れながらも、笑顔の彼女にホッと安堵した。



夕方、部屋で不安定だった彼女が、こうやって蘭の誘いに乗り、外に出たのも、笑っているのも・・・



そんな様子を見て「お前は強くなってるよ」と小さく呟き頭を撫でる沖矢。




そうだ、彼女が、事件に巻き込まれて、死体と現場を見て、ああも不安定な姿を見せたのは初めてかもしれない。



それは、出会った頃よりも、今まで以上に自分自身を、沖矢昴、または赤井秀一に、弱さを見せれる程、信頼されているから・・・?



「・・・何一人で笑ってんの?」



いつもだったら失礼な事を言う、と腕を掴んできたり、謝るまで追いつめるあんたが、そうするどころか、笑ってるなんて・・・気持ち悪い、と呟くりゅう。




「・・・・・・」



「・・・・・・」



あ、やばっ、と滑った口を咄嗟に抑えるが、毎度の如く後の祭りで・・・




「・・・・ホォー?」



「いやっ、ちょっ、ごめん!今のはごめん!本当にごめん!口が滑った!」



「あなたの口はよく滑りますね」



本気で謝るりゅうだが、ニコッと笑顔の沖矢に頬が引き攣り、逃げ腰になった。




「ちょっ・・・まっ!私が悪かったってもう謝ってるでしょう!!?」




「・・・・だからって蘭さんを盾にするのはどうかと思いますけど?」



そしてそれは謝ってる態度ではないでしょう?と沖矢が言えば、いきなり巻き込まれた蘭は「え?え?」と自分の肩に両手を置き、背に隠れるりゅうを見た。




「ほら、蘭さんが困ってるでしょう?」



出ておいで。と猫を呼ぶかのように「チチチッ・・・」と言わんばかりに小さく手招きする沖矢。




「・・・・・・・や」



蘭の背でベーっと舌を出すりゅうに、沖矢の「ホォー?」と低い声が聞こえた。



ビクッとし、りゅうは沖矢を見れば笑顔のまま、背に何か黒いものが見えた気がした。




「さぁ、目的地へ急ごうか」



見ないフリをして、蘭と園子の間に入り二人と手を繋いで先頭を歩き出すりゅうに、戸惑う蘭と園子だったが、彼女を挟んで目が合った二人は「ふはっ・・・」と吹き出し笑った。




「ふふっ・・あははっ・・・」



「・・・何笑ってるのかな?」



笑う二人をジト目で見るりゅうに、蘭は「すみませっ・・ふふっ・・」と謝りながら笑った。




「蘭ちゃん、それ謝ってないよね?」




「りゅうさん達って、昴さんがりゅうさんにベタ惚れで、頭が上がらないと思ってたんですが、逆なんですね」



園子も笑いながらそんな事を言えば隣で蘭も「確かに!」と笑う。



「りゅうさんの方が意外に昴さんに頭が上がらなかったり?」



「・・・・・・・」



二人の言葉に黙り込むりゅうと、喉を鳴らし始める沖矢。



「・・・頭が上がらないって何?」



歩美が首を傾げながら聞けば、光彦が指を立てた。



「その人に対して、強く出れない事、ですかね?」



「俺の父ちゃんは母ちゃんに頭が上がらないって言ってたぞ!」



元太も言葉を発すればよく分からないようで、歩美は更に首を傾げた。



「簡単に言えば、りゅうさんは昴さんにベタ惚れって事」



「え?じゃあ、昴さんもりゅうさんにベタ惚れだから・・・ラブラブってことだね!」



灰原の言葉に歩美が「んと・・・」と考えた後、とんでもない事を言ってくれた。



いや、もうちょっと前から聞くに堪えない話をしていたのだが・・・








爆弾投下中
(っ・・・・)
(りゅうさん、顔真っ赤!)
(・・・か、可愛い)
(園子ちゃん!蘭ちゃんっ!!)
(え?どれどれ!?)
(僕も見たいです!)
(俺も俺も!!)
蘭と園子の言葉に反応した子供たちが、りゅうの前へと回った。
(っ・・・)
(あー!顔隠したら見えないよう!!)
(っ〜〜、見なくていいからっ・・・)

(くくっ・・・)
(楽しそうね、あなた・・・)
(えぇ、とてもね)
(ははっ・・・;(やっぱこの人捻くれてる。まぁ、分からなくはねぇーけど・・・;))
(彼女もこういう時こそ、無表情を貫けばいいのに。否定もしないしね)
(恐らく、そんな事すら頭に無い位、パニック起こしてるんじゃないですか?・・・くくっ)



              あとがき→
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