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不思議な少女(1/2)









「赤井君、迷惑かけちゃってごめんなさいね」




彼の愛車であるシボレーの助手席に座って申し訳なさそうな表情をするりゅう。




「いや、気にすることはない。元々は俺のせいでもあるからな」



車のエンジンをかけながら彼もどこか申し訳なさそうな表情をする。



「え・・・?いや、あれはただ単に私の不注意であって赤井君のせいでは・・・ないと思うんだけど・・・;」




彼の言葉に先ほどの出来事を思い出しながら苦笑いした。




そう、仕事も終わり帰ろうとしていた時に彼に呼び止められて振り返った。



振り返った瞬間、手に持っていた書類をバラまいてしまい慌てて拾おうとバタバタすれば、彼がどこか呆れたようにため息を吐き「何を遊んでいる?」と言われた。



悪かったわね。と一言返し、最後の一枚を拾おうとした時、彼の手と自分の手が重なり「あ、ごめん」と前を向けば意外に近かった彼との距離。



目の前に彼の顔、そして首を少し傾げながらキョトンとしたような表情に一気に鼓動が早くなった気がして慌てて立ち上がり後ろへと後ずさってしまったのだ。



後ろが階段だというのに・・・・



「お、おい・・・」



あの時の彼の表情はレアものだっただろう。どこか心配そうな、それでいて焦っているような、咄嗟に体が動かなかったようだ。


元々運動神経は悪くないと自負している。階段から落ちても大して問題はない。ただ、その時異常なほど動揺していたわけで・・・


着地の際、少し失敗してしまい足を挫いたのだ。



そして冒頭に至るというわけだ。







家に着き、車から降りる際に運転席から急いで降りてきてくれた赤井君が肩を貸してくれた。



「ごめんね」



「いや、構わないさ」



玄関に着きカギを探すために鞄を漁っていれば後ろから声が聞こえてきた。



「・・・・家の前で何イチャイチャしてんのかね?この子は・・・・」



聞こえてきた声にビクッ!と肩を揺らした。



「げっ・・・・;」



振り返ればそこには予想通りの人物、高校生くらいの女が立っていた。



「げっとは何さ、げっとは・・・」



フンと鼻を鳴らしながらカギを取り出し玄関を開ける女。



「・・・・家族か?」



赤井はその様子を見ながら口を開いた。




「あー・・・親戚の子なんだけど預かってんだよね」



「ホォー?」



玄関を開けて振り返る女性は呆れたような表情を浮かべた。



「早く中に入ったらどうだ?仮にも手を貸してくれた相手だろう?」



いつまでそこで固まってる?と言われて赤井へと目を向けた。



「・・・・上がってく?」



お礼にコーヒーでも出すけど、と言えば彼は「お言葉に甘えよう」とフッと笑った。



ソファまで肩を借りて座らせてもらえば、赤井も隣へと腰かけた。



「お前は早くコーヒーでも入れたらどうなんだ?」



呆れたような声が聞こえてきて、りゅうは青筋を浮かべた。



「あのね!足を捻っててここまで赤井君の肩借りないと歩けなかったの!見てわかるでしょう!?」



あなたが入れてくれてもいいでしょう!?と言えば彼女はこちらを向いた。



「へぇ、あなた‘赤井君’と言うのね」



ニッと笑い近づいてくる彼女にりゅうが「そっちに反応すんな!」と怒鳴れば「あぁ、怪我?馬鹿じゃないの?」と鼻で笑われた。




「むかつくっ・・・・」



「全く、うるさい子ね。コーヒー?‘赤井君’はブラックでいいのかしら?」



踵を返してキッチンへと向かう少女に赤井は「はい」と答えていた。



「・・・赤井君、あれに敬語使う必要ないから」



疲れたように項垂れているりゅうに赤井は「仲がいいんだな」と一言。



「どこがっ・・・!?」



過剰に反応するりゅうに、赤井は喉を鳴らした。



「あれとはなんだ、あれとは」



コトっと入れたコーヒーを机に置きながら呆れたようにため息を吐く少女。



「初めまして、私はマミ。よろしくね、赤井君」



ニコッと笑う少女の笑顔は何処かりゅうに似ていて・・・



差し出された手を小さく握り返した。



「・・・・・・」



その様子を呆れながら眺めるりゅう。



「ところで今日はどうかしたのか?」



何故か目の前に座り同じくコーヒーを飲み始めるマミにもうツッコむ気すら失せたりゅうが溜息を吐きコーヒーを一口飲んだ。



「ちょっとね、足を挫いちゃって・・・」



「珍しいな、どんな仕事でも大体は無傷で帰ってくるお前が」



と少し目を見開くマミに赤井が説明した。



「半分は俺のせいでもあるからな」と最後に苦笑いしながらりゅうを見る赤井。



「いや、だから赤井君のせいじゃっ・・・」



「ほとんどというか、全てはこいつの自業自得だろう?」



呆れたように言うマミに「うっさい!」と怒鳴るりゅう。



「ところであれはどうなった?」



「あれ?」



いきなりの言葉に首を傾げるりゅう。



「お前が前言ってた件だ。約10年ほど前に老衰で死んだと言う男がクーパーだと言う噂が流れた件だ」



「あぁ、あれ?今調べに回してるけど今回もデマである可能性は高いわね」



「奴に至っては色々な説があるからな。死亡説だったり、逃亡した後に死亡した説だってある」



フムっと顎に手を置いて話し出すマミに赤井は首を傾げた。



「クーパー?あの1972年の飛行機ジャックの犯人のD.○クーパーのことか?」



赤井が口を挟めばりゅうは「あ」としまったと言わんばかりに慌てだした。



「あっ・・あのね!これはそのっ・・・」



「ほー?赤井君も知っているのか?奴が起こしたあの事件の事を・・・」



ニッと何処か不敵な笑みを浮かべるマミに赤井は不審に思いながらも小さく頷いた。



「奴が捕まえられなかったことが唯一の心残りだからな・・・」



「心残り・・・?」



更に首を傾げる赤井にりゅうは「あー!」と大声を上げた。



「あのっ!この子の父親がね!元FBIで母親がっ・・・KGBでッ・・・そのっ、だからその両親がね唯一捕まえれなかったのが心残りだっていう言葉をよく聞いてたからっ・・・」



だからね!と一生懸命に説明するりゅうに赤井は「そ・・そうか;」と一応納得した。




「勘弁してよ・・・;マミィ・・・」



項垂れるりゅうに、マミと呼ばれた少女はただただ笑っていた。




そして赤井が帰り支度をし始め、歩けない為ソファで見送る事にしたりゅう。



「赤井君、迷惑かけちゃってごめんね」


ありがとう、と笑ってお礼を言えば彼は「気にするな」と同じく笑ってくれた。



「まぁお前はここに居ろ。私が責任をもって赤井君を見送るとしよう」



「・・・・それが一番不安なの分かってるかな?」



疲れたような呆れたような表情のりゅうに、怪我をしているお前が悪いと鼻で笑い赤井の背を押しながら部屋を去って行くのだった。







・・・・・・・・・・・・・・・・・
(・・・あの、あなたは一体・・・)
(あら?ただの高校生よ?)
(ただの・・・?)
(そんなに眉を寄せたらイケメンが台無しよ)
(あなたはどうにも高校生には見えないのだが・・・)
(あら、こんなピチピチの若い子に失礼ね)
(・・・その言葉自体死語だと思いますが・・・;)
(あら?そうなの?)
(それに、あなたの名前・・・)
(マミがどうかした?)
(彼女があなたの名を呼んだのは‘マミ’でなく‘マミィ’これは・・・)
(赤井君、気になるのなら戻ってジェイムズに聞くのね)
(ジェイムズ?)
(ただ・・・それを知ったらあなたはきっともう後戻りできないわよ?それでもいいの?)
(・・・・りゅうが関わっている事であるのなら、俺は後戻りが出来なくても構わない)
(・・・そう、あなたイイ男ね。まぁ私の旦那には負けるけど?ふふっ)





稔月様!5万HIT&映画記念企画リクエストにご参加頂きましてありがとうございます!

とりあえず、元KGB所属の母親が幼児化していて・・と言うリクエストだったのですがどこまで期待にそれてるか・・・;
すいません、結構難しくて事件の事とかも簡単に調べれたもので対応してしまいましたが・・・
大丈夫か心配な今日この頃です;
気に入っていただけたら嬉しいのですが、書き直し依頼などがございましたら稔月様のみ!お受けいたします!

難しかったですが楽しく書かせて頂きました!

本当にありがとうございました!   






             おまけ→



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