早くその手をっーーー(2/2)
≪昨夜、路地裏で男性が血だらけで倒れているとの通報があり、その男性が病院に搬送されました。その男の怪我は命には別状がないとの事ですがかなりの重傷で全治2か月以上との事。犯人は未だに捕まっておらず、その男性はうわごとのように「ごめんなさい」「もうしません」と繰り返し言っていることから何かのーーー≫
ポアロで朝食をとっていればいれば急に聞こえてきたニュースに紅茶を吹き出しそうになった。
「えー、このニュースってこの近くですよね?怖いね、コナン君」
「うん、そうだね」
目の前には、私を誘ってくれた蘭ちゃんとボウヤの姿。
そしてコトリと商品を持ってきてくれた安室が少し様子がおかしいりゅうに気がついた。
「りゅうさん?」
「・・・・何でもないです」
咄嗟に目を逸らすりゅうに、安室とコナン、蘭は顔を見合わせて首を傾げた。
するとボウヤに一本の電話が掛かってきて電話し始めた。
「もしもし?あ、目暮警部」
ボウヤの言葉に一瞬ビクッとするりゅう。
「え?りゅうさん?今一緒に居るけど・・・・え!?・・・うん、うん。分かった。僕から聞いてみてそれを後で報告するね、うん。うん。はーい」
ある程度話した後、電話を切ったコナンはジッとりゅうを見つめた。
「目暮警部なんだって?」
蘭が聞けばコナンは気まずそうに「う・・うん」と言葉を濁した後、意を決してりゅうへと話しかけた。
「あのね!今目暮警部からの電話で・・・りゅうさんに話を聞きたいらしいんだけど、きっと協力したくないだろうから僕からって話になってね・・・・」
「・・・・・・・・」
ボウヤの言葉に顔を逸らすりゅう。
「あの・・さっきのニュースの男の事、りゅうさん知ってる?」
「・・・・さぁ?」
実際私自身、あの男の事は知らない、なので嘘は吐いてない。
「あのね、その運ばれた男がりゅうさんの写真を持ってたって・・・・」
「え?」
コナンの言葉に蘭が驚きに声を上げた。
「・・・そう」
だから?と言わんばかりの態度でいれば、安室が何かに気がついたようで、スッとりゅうのカバンから覗いている写真に手を伸ばした。
「これは?・・・!!」
その写真を見た瞬間、目を見開く安室。
「っ!!?」
捨てるの忘れてた!!と慌ててそれを取り上げようとすればそれより先にコナンが取ってみていた。
「これ・・・・」
「りゅうさん、もしかしてストーカーされてたんですか!?」
コナンが見ていた写真を横から蘭が見ると大きく目を見開き言った。
その写真はりゅうと沖矢が一緒に移っている写真で、沖矢の顔の方がズタズタに切り裂かれていた。
「あー・・・・・;」
視線を泳がすりゅう。
「・・・・りゅうさん」
いつもよりも低い安室の声でビクッと肩を弾ませてゆっくりとそちらへと振り向けばそこには笑顔を張りつけたまま青筋を浮かべている安室さんの姿。
「あの男に何かされました?」
「えっ!?いやっ・・何もっ・・・ただ追い回されただけでッ・・・」
「追い回された・・・?」
今度は蘭ちゃんがピクッと反応して顔を俯かせている。
「あっ・・あの・・・?蘭ちゃん・・・?」
スッと立ち上がる蘭。
「・・・その男が運ばれた病院、どこでしたっけ?」
「杯戸病院みたいですよ?」
蘭の問いかけに安室が答えると、蘭は「ちょっと行ってくる」と店を出て行く。
「えっ!?ちょっ・・・・」
「梓さん、すいません、ちょっと休憩行ってきます」
「え!?今来たばかりですよね!?」
蘭の後を追う様に安室もエプロンを外して店を出て行く。
それを慌てて見ているりゅうと梓。
「・・・・あの男の人、死んじゃうかもね・・・;」
コナンの言葉に「え?!」と慌て始めるりゅうは二人を追いかけて行った。
「ちょっ、待って!もう十分だからっ!昴だけでもう相当可哀想な事になってるからっ!」
これ以上は止めてあげて!と叫びながら店を出て行くりゅうに、コナンは苦笑いした。
「ははっ・・・やっぱ昴さんの仕業なわけね;」
その後一人取り残されたコナンは目暮警部へと電話した。
「あ、もしもし警部?さっきの事なんだけど・・・・・」
そしてその事件は速やかに幕をおろしたとさ・・・・
チャンチャン
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