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こんな私を分かってくれるのは(2/3)









「・・・・・・・・・」




届いたメールを確認し、りゅうは携帯を閉じた。





「19時30分に・・・来葉峠・・・ね」




そこで赤井抹殺作戦が開始される。



赤井から届いたその‘作戦’に了解との文字を打ち、時間になるまでひたすら待った。





19時15分になり、そろそろ峠を昇り始めるかと思ってエンジンを掛けようとすれば・・・




ピピピピッーーー




電話が鳴り首を傾げて受話器を取ればーーー





≪よぉ≫



「ジン・・・・どうしたの?私そろそろ時間で・・・」



≪あぁ、お前が赤井秀一を殺しに行く時間が19時30分だったな≫




「えぇ、あと15分。今から向かう所なんだけど・・・・」



≪その必要はねぇ≫




「・・・・は?何?赤井秀一を殺さなくてもいいって事?」



ジンの言葉にりゅうは顔を顰めた。



≪赤井秀一は死んだ≫




「−−−−え?」



電話から聞こえてきた声に頭が真っ白になった。




≪テメェの携帯のアドレスを借りたぜ?≫




「どういう事?」




震えそうになる声をグッと堪え、必死に平静を装った。



そこでジンから聞かされた内容にりゅうは目を閉じてギュッと拳を握りしめた。




なんでも水無怜奈の奪還に成功したそうだ。



その事は知っている、秀一から聞かされていたから・・・・



だがその後が問題だ。ボスからの直々の命令でシンフォニーへの疑いはもう必要ないとの事。



なんでも赤井秀一、元恋人である彼を殺して見せると言ったあの言葉で信用しても大丈夫だと判断したそうだ。



そして一番の理由は私よりもキール、水無怜奈の方がスパイではないかと疑いが掛かった。



そこで私が作戦を実行する30分前に赤井に私だと装いメールをし、水無怜奈が彼を手に掛ける・・・という事になったらしい。





なぜっ・・・その事を私に知らせなかったっ・・・?恐らくジンの独断だろう・・・



彼は私を疑っている、そういう事だ。



ここで私が少しでも狼狽えたり、取り乱せば彼は私を裏切り者だと断言するだろう。



狼狽えるなーーー



冷静になれーーー



今更取り乱したところで彼はもうっーーー



そこまで考えて瞑っていた目を開けばその目は虚空を見つめているかのように何も写していなかった。




「そう。まぁいいわ、私も昔の恋人を殺すのは多少なりとも気が引けてはいたから、逆にありがたいわ」



キールにはお礼を言わないとね?とクスッと笑い言えば、ジンはチッと舌打ちをした。




「なぁに?私が‘たかがそんな事’で狼狽えると思った?残念、元彼が死のうが殺されようが今の私にはどうでもいい事・・・一番はジン、あなたやボスに一刻も早く信用してもらう事だけ・・・」



ふふっと笑うりゅうの声にジンは「信用はしてやる・・・今はな・・」とそれだけ言って電話は切れた。




ツーツーと聞こえてきた機械音に静かに耳から離した。





「・・・・・・・・」



エンジンをかけて車を走らせ始めたりゅうの目はやはり虚空で・・・ただ一筋の涙がその頬を伝っていた。



















「あれ?お姉さん・・・・」




「ボウヤ、確か・・・江戸川コナン君?」



バーボンに用事があって彼が働いているポアロに顔を出せば、私の顔を見た瞬間固まるバーボンに、どこか驚いたような表情のコナンの姿。



固まるバーボンを放っておいてコナンへと久しぶりと挨拶すれば彼は何処か焦ったように私の腕を引いて外へと連れだした。




「なぁに?ボウヤ」



「ちょっと待っててっ!!」



ボウヤが慌てて何処かに電話を掛けていた。




そして切ってすぐに「携帯はどうして連絡付かないの?」と聞いてきた。




「・・・教えてないよね?」




「僕じゃなくて!赤井さんが繋がらないってっ・・・・」



ボウヤの言葉に目を見開いた。



「え?」




「・・・やっぱお姉さん知らなかったんだね」



コナンの言葉にりゅうは眉を顰めた。




「作戦は成功してるよ、ただ実行したのはシンフォニー、あなたじゃなくキール・・・水無怜奈さんでね」



フッと笑ったボウヤの表情で全てを察したりゅう。




その表情は不機嫌そうな色を浮かべた。




「(私の携帯があの日から繋がらなくなったのはジンに疑われぬように携帯を壊したから・・・秀一とのメールのやり取りを見られるわけにはいかなかった・・・だから連絡がつかなくなってその作戦が成功したことを私に伝えられなかったのは私のせいだとは分かるけど・・・)むかつくわね」




「えっ!?」




りゅうの突然の言葉にコナンは「俺の事!?」と内心でドキドキしていた。




すると背後からザッと音が聞こえてそちらを振り向けば息を切らして肩を少し上下させている眼鏡の男の姿。




「りゅう・・・・」




その様子にボウヤが呼んだのが彼だという事、私の名を呼んだことから彼が秀一なのだとすぐに悟った。




私に近寄ってくる男、彼は目の前まで来ると「りゅう」と私の名を呼びスルッと頬を撫でた。



その感触に目を閉じた。



そして男が抱きしめようとしてきた所でーーー




ゴスッと鈍い音が響いた。



その音にコナンは「えっ!?」と驚いた。




「ぐっ・・・・・」




「綺麗に入ったわね」




鳩尾に一発入れた事により、前かがみになった男の身体。男の頭が彼よりも低い位置にある私の肩に置かれた。




「・・・・まさか再会した早々一発もらうとは思ってなかったんでな・・・・」





「(早々に諦めた私も、調べようとしなかった私も・・・)大嫌いよ・・・・」




ツゥっと涙を流すりゅう。



その涙を優しく拭い、チュッと小さく口づける秀一。




コナンは顔を紅くして慌てて顔を逸らした。




「・・・お前は相変わらず、言葉が足りないな」




「・・・こんな言葉足らずの私なんかを分かってくれるの・・・あなた位だから・・・・」




結構ショックだった、と呟くりゅうを赤井は強く抱きしめた。





「・・・・頼むから一発くれるなよ?」




「・・・・もうしないわよ」




結構効いたとお腹を摩る男の姿にりゅうは自業自得よ、と呆れたように溜息を吐いた。




「沖矢昴、それが今の私の名前です」




少し落ち着いたころ、名乗る彼に「あーそう」と素っ気なく返す。




「あの・・・りゅう・・さん?」




コナンが初めて聞いた名で彼女を呼べばこちらを向く視線。




「何?」




「水無怜奈さんは・・・・・」



「上手い事潜り込んでるわよ。そもそも・・・」



彼女の事なら私が上手い事手を回してたからそんなに危惧しなくてもいいとりゅうは言った。




「え!?そうだったの!?どうして言ってくれなかったの!?」



コナンが驚き言えばりゅうは首を傾げた




「(言わなかったかしら?でもまぁ言わなかったとしてもこのくらいの事に手を回すくらいは)当たり前でしょう?」




「え・・・・;(そんなハッキリ当たり前だと言わなくても・・・)」




この人、赤井さん以外誰も信じていないんじゃ・・・・とポカンとするコナン。




「・・・・だからお前は言葉を抜かしすぎだ・・・」




その様子を沖矢昴の姿で呆れたように溜息を吐く赤井の姿があったそう。







・・・・・・・・・・・・・・
(そう言えばりゅうさんって・・・赤井さんと同じFBIなの?)
(・・・・FBIだと勘違いしてるうちは私は余裕で組織を欺けるわ)
(え・・・・?じゃあ一体・・・・)
(コナン君、彼女はSIS・・・)
(SIS!!?イギリスの諜報員!!?)





景様!5万HIT&映画記念リクエスト企画にご参加して頂きありがとうございます!
SIS所属の元恋人と共同戦線を張る、そして言葉足らずの主人公はコナン君に誤解されちゃう苦労人とのリクエストでしたが・・・どこまで期待に応えられたか心配ですが・・・

細かい設定を頂けたおかげで結構楽しく想像しやすく書けました!気に言って頂けたら嬉しいです!

もしもこれではちょっと・・・などの場合、景様のみ!書き直し依頼をお受けいたします!


遅くなってしまって申し訳ありませんでした・・・><このようなサイトですがまた遊びに来ていただけたら嬉しいです!

本当にありがとうございました!





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