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こんな私を分かってくれるのは(1/3)









「赤井さん、この人・・・・・」




「・・・・・・・・・・」




コナンは今、無言で自分の事を見下ろしている女の人を何処かビクビクと怯えながら見ていた。





「おい;お前はその無言を止めてやれ」



ただでさえ目つきが悪いのに・・・と赤井が呟けば「あんたに言われたくない」とすぐさま言葉を返す女。





「で?何?今組織でバタバタしてんの。誰かさんのせいでね」




因みに私がここに居るのも結構危ないんだけど・・・と睨みながら言えば赤井はククッと喉を鳴らした。




「お前ならそれぐらいの事ピンチでも何でもないだろう?」





「・・・・趣味悪い」




「ちょっ・・・え!?組織ってまさかッ・・・・」



二人の会話にコナンが驚きに声を上げた。




「シンフォニー、それが私のコードネームよ。江戸川コナン君?」




フッと笑いながら言えばコナンは背筋をゾッとさせた。




「なっ・・・なんで俺の名をっ・・?(まさかもうっ・・・組織に奴らに俺の正体がっ・・・)」




パコン!!と頭を叩かれた。



「いたっ・・・・何するかな、秀一」




「わざわざ怖がらせるな。ボウヤ、彼女が名を知ってるのは俺が教えたからであって組織に伝わっているわけではない」



安心しろと赤井が言えばコナンはホッと胸を撫でおろした。




「・・・・(そうやって簡単に人を)信用なんてしない方がいいわよ?」




「えっ・・・?」



赤井さんが信用している人物なんだから信用できるんじゃねーのかよっ・・・まさかこの人・・・赤井さんさえ騙してっ・・・?とコナンは冷や汗を流す。




「(組織の奴らは)信用させて裏切ることなんてなんとも思っていないから」




「っ・・・・・」




「・・・・・・」




無表情で言うりゅうと顔を強張らせるコナンを見て赤井はハァーと溜息を吐いた。




「ボウヤ、こいつの事は信用できる。俺が保証する」



呆れたような表情の赤井にコナンはどこか戸惑いながらも頷いた。




ピピピッーーーと電話が鳴った。



チラッと赤井を見ながら口元に人差し指を置くりゅう。




それに対してコクっと頷いた赤井を見て通話を押した。




「もしもし?」



≪シンフォニー、てめぇ今どこに居る?≫




「どこに居る?そんなのあなたがつけた発信機で分かるでしょう?ジン」



「!!」



コナンは首を傾げて見ていたが彼女から出た言葉に驚き目を見開いた。




≪・・・・なぜキールが居るであろう病院にテメェがいるのか聞いてんだ≫




「キールが居ると言う情報が本当かどうか・・・確かめに来たの」




≪単独でか?≫




「人から言われるよりも自分の目で見た方が信じられるもの」




≪・・・・・発信機にはいつ気がついた?≫





「最初から」




≪あぁ!?だったら何故取らなかった?≫




「取る必要もなかったから。別にあなたにどこにいるか分かっても私は構わないもの」




≪・・・・・・≫





「あのさー、いい加減信じてくんない?あなたから毎回毎回無茶難題押し付けられても全部成功させてるでしょう?」




≪・・・・・演技が上手いもんだな≫





「演技ねー。あなたが私をスパイだと疑うのは自由だけど・・・・あんた私を何だと思ってるわけ?」




≪FBIのネズミだろう?≫



ジンの言葉にフッと笑みを漏らすりゅう。





「随分とライ・・・いや、赤井秀一の事を気にかけるのね。彼がFBIだったからその相棒だった私もFBIだと・・・?疑うのなら殺せばいいでしょう?私は組織に常に居るんだから・・・」




「・・・・・・」




≪・・・・・・・≫




「それでも殺さないのは・・・・私がネズミだとハッキリとした証拠がないから・・・でしょう?」




≪何が言いたい?≫




「もうまっぴらなのよ、あなたに疑われ続けて毎回発信機つけられるのも・・・だから・・・こうしない?」




≪・・・・・・≫




「赤井秀一・・・・私が殺してあげる」



赤井を見ながらりゅうは笑い言った。



その言葉に赤井はピクッと眉を動かした。




≪テメェが・・・赤井を?≫




「えぇ・・・。悪い話じゃないでしょう?」




≪どうやってあいつを誘き出すつもりだ?≫




「・・・・言ってなかったけど、私彼とは昔付き合ってたのよ」




≪あぁ?≫




「組織に入ってきた時には驚いたけどね」




≪・・・・そんな事一言も言わなかっただろうが≫





「・・・・・わざわざ私が言うと思う?」




≪だったらなぜ今になってそんな事を言う?≫




「私があなたに信用してもらうために・・・最後の切り札として取っておいたカードよ?とりあえずギリギリまで切り札は残しておきたいでしょう?」




≪ククッ・・・いいだろう。テメェのその言葉・・・・信じてやるよ≫




「あら、やっと?」




≪あぁ、ただし・・・赤井秀一を殺したら・・・の話だ≫





それから一言二言会話をした後、電話を切った。





「・・・・お前はまた突拍子もない事を・・・・」



赤井は疲れたように、呆れたように溜息を吐いた。





「まぁそういうわけだから、秀一、死んでね?」




そう言ってりゅうは手を後ろ手に振り去って行こうとする。





「待て」




そんなりゅうの首元を掴めば彼女は「何?」と不機嫌そうに返す。




「何?じゃないだろう・・・。お前がジンに言った言葉・・・何か作戦があるんだろう?」





「・・・・ない」




「えっ・・・;」




赤井の言葉に、コナンは「そうだよな・・いい考えがあって言ったんだよな・・・」とホッとしたのに彼女から出た言葉に驚いた。




「そこのボウヤと二人でいい考え練ってよ。練ったら教えてねー」





「随分と大胆な事を言った本人が作戦自体は人に丸投げか?」




赤井が呆れたように言えばりゅうは悪びれた様子もなく「うん」と答えた。




「(秀一がボウヤの前で組織の話をするって事はこの子・・・きっとただ者じゃない)ボウヤが一緒に考えてくれるわよ。ねぇ?私たちには考え付かない・・・いい方法を・・・あの有名な・・・・いや、何でもないわ」





りゅうはコナンをスッと見てから言うと途中まで言いかけた言葉を止めて去って行った。




「(おいおいおいおいっ・・・まさかあの人っ・・・俺が工藤新一だって気づいてっ・・・?いや・・・赤井さんが教えた・・・?まて、赤井さんにも俺の事は言っていないっ・・・・)」






コナンは盛大に勘違いしていた。



あの後、りゅうが言おうとしていた言葉は「あの有名なFBIきっての切れ者で、黒の組織からも銀の弾丸だと恐れられている赤井秀一の隣に居る位なんだから・・・」と言おうとしていたのだが途中で面倒臭くなり言葉を止めただけだった。





「・・・ボウヤ、アイツの言葉を深く考えるとドツボに嵌る。気にしない方がいい」




悩み始めたコナンに赤井が言えばコナンは「え?」と赤井を見た。




「あいつはなんでも言葉を省略しすぎる。まぁ本人曰く長々説明するのが面倒だと言う事らしいが・・・・なに、悪い奴じゃない」



そう言ってフッと笑う赤井を見てコナンは一瞬目を見開き次にはニコッと笑った。




「うん、赤井さんがそんな顔して言うのなら・・・そうなんだろうね。ねぇ、さっきあの人が言ってた・・・その・・・」




言いづらそうなコナンに赤井は首を傾げた。




「?」




「昔の・・・恋人?」




「あぁ、その事か。まぁそうだな」



大学時代にな・・・。と困ったような表情をする赤井。




「どうして・・・別れちゃったの?その・・・赤井さんもあの人も・・・凄く信頼しあってるみたいだったのに・・・」




「・・・・・お互いにまだ子供だった。ただそれだけさ」




そう言った彼の横顔は何処か寂しそうだった。



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