妹を愛してくれてありがとう(2/2)
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
町をフラフラ歩き回っていれば目の前には見覚えのある男の姿。
立ち止まり、呆れたような視線を送れば彼は無言で見つめ返してくる。
「・・・毎回毎回、あんたは人が行く先々に現れて・・・・ストーカーかっ!!」
「ククッ・・・ストーカーとは随分なことを言ってくれる」
「・・・で?何の用?」
「晩飯でも一緒にどうかと思ってな」
「結構です」
あれから何故だかよく分からないが、赤井秀一に頻繁に会う。
彼はなんだか私を気に入っているのか、ただ明美によく似た私に彼女を重ねているのかは知らないが・・・
はっきり言って迷惑だ。
男なんて要らないが、妹の元彼なんて更に関わりたくもない。
ハッキリと断って横を通り過ぎるが、着いて来る彼。
「あのねぇっ・・・・」
クルッと振り返り彼に文句を言おうとするが彼はきょとんとした顔をした。
なんだか怒る気が失せてしまう。
ハァーっとため息を吐けば赤井は「幸せが逃げるぞ?」なんて言ってきた。
「幸せねー・・・私の幸せは志保が平和に暮らせること。それまではそんなもん要らないわよ」
「・・・明美の妹か」
「私にとったらもうこの世にたった一人の肉親だからね。明美自身も志保のこと随分気にしてたし・・・・あの子だけは護ってあげないと・・・私の命に代えても・・ね」
「・・・・お前も自分を責めているように見える」
「は?」
「明美が死んだのは自分のせいだと言ったな?」
「目の前で殺されるのをただ見てたんだ。見殺しにした・・・私のせいでしょうが」
「見殺し?・・・違うな。助けたかったが助けられなかった」
赤井の言葉にピタッと足を止めた。
「・・・・・何が言いたいの?」
「・・・・明美はお前を責めてない」
「っ・・・・」
「もう・・・自分を許してやれ。りゅう」
「なにそれっ・・・その言葉っ・・・私がっ・・・」
「あぁ、お前が俺にくれた言葉だ」
そのおかげで俺は少し自分を許せるような気がしたーーー
お前のおかげだ。そう言ってフッと笑う赤井に、ポロッと一筋の涙が零れた。
「泣くな・・・・」
困ったような顔をする赤井に慌てて涙を拭い、顔を背けた。
「泣いてないっ!」
強がりを言うりゅうに赤井はククッと喉を鳴らし「そうか・・・」と呟いた。
お前が志保を命をかけて護るというなら、そんなお前を、俺は命をかけて護るーーー
明美、お前の姉妹は必ず護り通すーーー
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