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約束したのにっ・・・(1/2)








「・・・・・・・・あっ!!!」



暫くボーっとした後、おもむろに時計を見れば・・・・



「夕方の16時!?ちょっ・・どんだけ寝てんだ!私!」



慌てて起きて携帯を見れば着信履歴が三件ほど・・・



赤井からの着信だ。



「あらら・・・;」



なんでこんなにも爆睡してしまったんだろうか・・・



疲れてたにしろ、こんなにも寝れたのは久しぶりだ。



赤井と出会って大分心に余裕ができたのか、悪夢に魘されることも少なくなった。



夜も赤井が居ればもちろん、居なくても寝れる時間が伸びてはいた。



ベットの横の机にあったものが目に入りクスッと笑みが零れた。




ーーーゆっくり休め、起きたらいつでもいい。電話しろーーー



赤井からのメモ。


「メモでも上から・・・ふふっ・・・」



携帯を手に取り電話をしようと思ったら無慈悲な機械音が流れる。




ピーーーーー



その音を最後に携帯の電源が落ちた。



その様子を見てハァーっと溜息を吐いた。



家に帰れば充電器はあるが、持ってきてはいない。



帰って充電をするかとも思ったが、確か病院の地下の駐車場に赤井は車を昨日停めていた筈だ。



「家に帰るより早いよね・・・」



そこまで考えてりゅうはすぐに着替えて部屋を出た。



バイクで行くよりも歩いた方が早いと思い、歩いて駐車場まで行けばシボレーを見つけ近づくと人影が見えた。




「あ、車に居るじゃん」



丁度良かったとゆっくり近づき、窓をノックしようとして、寸でで手を止めた。




「・・・・寝てる?」



コテン?と首を傾げて暫く赤井の寝顔を見ていれば一向に起きる気配がない。


珍しいな、と思いながらも笑みが自然と零れた。



寝顔を暫く堪能してからスッと踵を返した。




「また後でね・・・・」



流石に起こすのは気が引けたので、少ししてから電話でもするか、また会いに来るかしようと決めてその場を去った。





ねぇ・・・この時、そんな事を考えずにあなたと話していたら・・・こんな事にはならなかったのかもしれないねーーー




これが赤井の姿を見たーーー最後だったなんて思いもせず、私はただただ赤井と今日の夜辺りまた一緒に居られるのかな?なんて呑気な事を考えていた。














「・・・・・まだ寝てる?」



いや、そんな事はないだろう。あの場でただ寝ていたのなら仮眠だろう。



だとしたらさすがに3時間経った今なら起きているはず・・・と思い充電を満タンにした携帯で赤井へと掛けるが、無機質な音が流れるだけ。




ツーツー・・・・



何度掛けても繋がらない携帯に、胸騒ぎを覚えた。




目に入ったのは携帯の日付。




「13日の・・・金曜日・・・」




嫌な予感がしつつ、暗くなっている夜空を見た。




「父さん・・・母さん・・・にぃーに・・・・」




赤井・・・大丈夫よね?



死なないって・・・ずっと傍に居るって・・・



そう・・・約束してくれたよね・・・?



ホテルに戻って何気なく点けたテレビのニュースに目を見開いた。



来葉峠・・・・



そこで燃えているのは・・・



彼の車だった。



「・・・・あ・・かい・・・?」




見間違えるはずがない、あの車のナンバーは・・・彼の車。



大丈夫ーーーー


そう自分に言い聞かせて、震える手で電話を掛けた。




「お願いっ・・・出てっ・・・・」



何度掛けても機械音が流れるだけーーー




居ても立ってもいられず、変装を解き、警察へと向かった。



警察署へと着いた後、そこで見かけた人物たちに目を見開いた。



「あれは・・・・」




ジョディの車に・・・その後部座席にはジェイムズの姿。




今私は変装を解いているためりゅうの姿。



ジェイムズは顔を知ってはいるが、しっかりは覚えてはいないだろう。




ゆっくりと震えそうになる足取りでその車のすぐ横を通り過ぎた。




「シュウっ・・・・うぅっ・・・・」




聞こえてきたジョディの泣き声に赤井の名。




つい止まりそうになる足をなんとか力を入れて不自然にならない様に平然と通り過ぎた。





車から離れ、道を曲がってすぐに力が抜けたようにその場へとズズッと壁を背に座り込んだ。




「・・・・うそつきっ・・・・・」




どの位その場で座り込んでいただろう。



ザッと音が聞こえ慌てて顔を上げれば。




「あっ・・あなた・・・・」




「!!」



恐らく仕事が終わったであろう佐藤の姿があった。




そうだ、ここは警察署の近く。



こんなとこでいつまでもこんなことをしている場合じゃない。



慌てて立ち上がりフイッと顔を背けて歩き出せば、佐藤に呼び止められた。




「ちょっと待って!」



「・・・何?」



いつも以上に不機嫌そうな、低い声に佐藤は一瞬怯むも、意を決したように目の前まで歩いてきた。




「顔色が悪いわね、座り込んでた事といい、具合でも悪いんじゃないの?」



顔を覗き込んでくる佐藤に嫌そうに眉を顰めた後、別に、と呟き歩き出そうとすれば。





ーーーカクンッと足の力が抜けたようにその場で倒れそうになる。



それを佐藤が慌てて支え、地面に直撃することはなかったが。



「ちょっ・・大丈夫なの!?」



「大丈夫よっ・・・」


グイッと佐藤の体を押し、立ち上がろうとするが思ったように動かない体に、足が震えていることに気がついた。




なんでっ・・・どうしてっ・・・



内心焦りながらも、早くこの場を立ち去りたい一身で無理やり立ち上がろうとするが立ち上がれず・・・



「・・・・・・・」



その様子を見ていた佐藤がグイッとりゅうの腕を持ち、自分の肩へと回した。



「ちょっ・・・」



その様子に慌てるりゅうだったが、佐藤が歩けないんでしょ?とフッと優しく笑った。



「・・・・・・」



「とりあえず私の車でいい?」



無言になるりゅうに尋ねる佐藤だったがそれさえ無言だったため、まぁいいか。と車へと足を進めた。




「病院は・・・・」



「いらない」



「・・でしょうね;」



とりあえず聞いてみれば即答され、やっぱりと思いながら苦笑いする佐藤。




車に着き、助手席へと座らせた後、佐藤が運転席へと乗り込み走り出した。




「・・・・ねぇ」



暫く無言ではあったが、突如声を上げたりゅうに佐藤は何?と聞く。




「あんたさ・・・自分の事、死神だって思ってるって・・・・」




「あぁ・・私の回りの大切な人は・・・死んじゃうから・・・・」



「・・・私、ボウヤの事事件ホイホイだってずっと思ってた・・・・」




「ボウヤ?・・・・あぁ、コナン君のこと?あははっ、確かにね!」



「・・・でも、人のことなんて言えないわね・・・」




「え?」



「事件ホイホイも・・・死神も・・・私の方・・・死を呼ぶ死神ホイホイは・・・私なのかもしれない・・・・」




チラッと視線をりゅうへと向ける佐藤。



窓に頭をつけて外の景色を見ているりゅう。



窓に映るりゅうの表情には・・・微笑があった。



でもその笑みが寂しそうで、孤独そうで、佐藤は自身の胸がツキンと痛むのを感じた。



「・・・・何か・・・あったの?」




そう尋ねる佐藤の問いに、りゅうはもう何も話さなくなったーーー



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