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Phantom再び(1/2)







盗聴器でFBIの動きを確認しつつ少しでも撹乱させる為に近所の病院をいくつも回った。



「これで3人目・・と」



ポチャンっと手に入れた携帯を水の中に落とし病院を去る。



それを何回か続けていた。



その間に楠田陸道は死亡。


ジョディの声で移動するべきだと言う声が聞こえてくるが、赤井が今動くべきではないと答えていた。






「おいおいおーい・・・マジでか・・・;」



そこで聞こえてきた声にりゅうはバイクを停めて慌てて電話を掛けた。




≪・・・・どうした?≫


聞こえてきた赤井の声に「どうしたじゃないわ!!」



と怒鳴ってやった。



彼は咄嗟に受話器を耳から離したのだろう、すぐ近くから、シュウ?と不思議そうな声が聞こえてきた。




≪いきなりなんだ。今忙しい所で・・・≫



「作戦会議中でしょうね!だから余計よ!!」



私の言葉に赤井は盗聴器で聞いていたことを悟っただろう。



≪・・・そもそも朝まで連絡が取れないんじゃなかったのか?≫



「私の折角の撹乱作戦を台無しにしてくれた無能なFBIに文句が言いたくてねっ!!」



≪撹乱?≫



「楠田陸道を拘束しそうだったから、そこ以外からも連絡が取れなくなった病院もあった方がいいと思ってっ・・・」



≪ホォー?お前まさか他の病院で奴らの仲間が分かってたのか?≫



ーーーーえっ!!?ーーー



向こうで聞こえてくる驚いたような声に顔を顰めた。



「・・・さっきから思ってたんだけど部屋出ろよ・・・」



電話中位・・・そう言うと彼は淡々と答えた。



≪作戦会議中と知っていて電話を掛けてきたのはお前だろう?≫



「・・・・そうだけど・・・」



≪だったら文句を言うな。で?≫



早く先に進めろと言わんばかりの赤井。



「ある程度、違う病院にも潜り込んでるであろう可能性はあったから調べてはいたのよ。んで、怪しいと思う奴らが数人いて今そいつらの携帯を沈めて回ってたのにっ・・・」



そこまで言えば彼からまた、ホォー?と言う口癖が聞こえてきた。



≪他の病院からも連絡を途絶えさせた・・という事は奴らはまだここだとは断定していない・・・と?≫




ーーーちょっとシュウ!その電話誰からなの?!その情報確かなんでしょうね!?ーーー




ボウヤやジョディ達の声が後ろで聞こえてきたが赤井がシッと小さく言えば向こう側が静かになった。



「その予定だったんだけどっ・・・・昼間に呼び寄せたFBIって事はかなり人数がいるんでしょ?・・・奴らが様子を見にその病院に行ったとしたら・・・・」



ーーーなるほどな、俺たちの姿と数を見て、奴らはここだと断定した・・・と?ーーー




「あー・・・もうやる気なくした・・・私がさっきまでやったことをこんな簡単に無にしてくれてさっ・・・」



ーーーわかったわかった。悪かったーーー



「思ってないでしょ!!?」



軽いな!おい;



ーーー思っているさ、多少はな・・・ーーー



「喧嘩売ってるのかな?」



ヒクッと引き攣る頬。



ーーーまぁなにんにせよ、奴らがここを断定したのは間違いなさそうだなーーー



「・・・あんたたちのせいでね」



ーーーとりあえずお前が奴らの仲間だと思った奴らを教えてくれーーー



「・・・残念。奴らならさっきから撤退してるわよ」



チラッと先ほど忍び込んだ病院から去って行く男の姿。



ーーー・・・そうかーーー



「もういいや、とりあえず今日はやる気をなくしましたので帰らせていただきます。さようならーーー」


プチっと返事を聞く前に携帯を切って、杯戸病院近くでとったホテルの部屋へと帰ろうと方向転換し、バイクを走らせた。








「・・・・・・・」



ツーツーっと無機質な音が流れ出した携帯を見て赤井は溜息を吐いた。



「赤井さん?」



コナンが首を傾げて聞けば赤井は肩を竦めて困ったような表情をした。



「切られてしまったよ・・・どうやら我々の動きで自身が行った行動を無にしたのでご立腹だそうだ」



「ちょっとシュウ!その相手って・・・・」



「・・・気性の荒い猫・・・かな?」



ジョディの言葉にジェイムズが言えば赤井は小さく頷いた。



「きっ・・気性の荒い猫ぉ?」



「まぁ気にするな」



話をなかった事にしようとする赤井にジョディが気にするわよ!と怒鳴るがそれどころじゃないだろう?と言う言葉に渋々黙った。











りゅうは部屋へと入るとすぐさまボフッとベットへと身体を沈ませた。



「・・・だから・・・誰が気性の荒い猫だっ・・・」



そして暫くすれば赤井が遠ざかる様子が分かった。



赤井が居なくなったであろう部屋から聞こえてくるボウヤのとジョディとジェイムズの声。



彼は5年前から2年前までの3年間組織に潜っていた事。



そこで上手く立ち回り頭角を徐々に現してコードネームをもらい、幹部のジンとの仕事までにこぎつけた事。



そして組織に潜る際に利用したのが哀ちゃんのお姉さんで、宮野明美。



彼女が死ぬ直前、最近になって突然連絡がきたそうだ。


10億円強奪事件を成功させてしまい、理由もなく消された・・・と。



2年間音沙汰がなかった彼女から連絡がきたことから彼女は、FBIに利用されていたとわかっても、赤井の事が忘れられず、彼女が死んだと聞かされた時の赤井の様子から彼もまたーーー




そこまで聞いて、ピッとイヤホンを耳から雑に取った。



「・・・・分かってたことでしょうーが・・・あいつが宮野明美を・・・本当に愛してた事位・・・・」



それでも人から聞かされると、もやもやする心。




「・・・別に私もそれを承知で赤井の事ーーーー」



・・・ん?


赤井の事・・・なんだ?



言いかけた言葉にはて?と首を傾げた。




ーーーいい加減気づけーーー



ーーーお前は俺以上に鈍感なようだーーー



赤井の言葉が頭に浮かびブンブンと首を振った。



「誰が鈍感だっつーの・・・・」



好き・・・・なんだろうな・・・



赤井の事・・・・



きっと・・・うん、・・・多分。



とりあえず少しづつ、少しづつではあるが確実性が増している自分の感情。




「・・・・あとちょっとだけ・・・待ってね」



ここには居ない赤井の姿を思い浮かべてりゅうはよいっしょっと、風呂へと向かった。




まさかこの時に聞いていなきゃいけない言葉があったなんてーーー




私は疑いもせずに盗聴器を聞く気すらなかった。




お風呂から上がって盗聴器を耳につければFBIが水無怜奈を病院から脱出する際にストレッチャーを使うらしいが、赤井があまりいい案だとは思えないが・・・と言っていた。




作戦会議が終わった後、聞こえてきた声と、多少焦ったような赤井の声に耳を澄ませた。





ーーーーあ・・・・・ーーー



カンッと何かが落ちた音が聞こえた。




「・・・珍しい、コーヒーでも飲もうとして手を滑らせて缶でも落としたのかな?」




ーーーちょっと・・・大丈夫?ーーー



心配そうなジョディの声。



ーーーーあっ・・あぁ・・・ーーー



「・・・・・なんか焦ってる?」



彼にしては珍しく言葉を詰まらせる声に首を傾げた。




ーーー碌に寝てないんじゃないの?目の下に隈もできてるしーーー




「・・・多分それは元からじゃないか?」



ジョディの言葉に無駄だとは思いつつつい、ツッコんでしまう。



ーーーまぁ、警備がてらに外の空気でも吸ってきますよーーー



そう言ってその場を去った赤井の後でまた出てきた宮野明美の話題に今は聞く気にはなれずに盗聴器を外した。



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