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あなたの隣に居てもいいですかーーー(1/2)






ジンが銃を宮野明美に突き付けている姿を見つけて、ビンゴ、と口角を上げた。



「(このビル位置・・・・ナイスポジション・・・)」



ライフルを構え、ジンの左肩に合わせた。


向こうはライフルを持っていない。


ここから発砲しても恐らく私の姿を確認することなどできはしないだろう。


まぁ、確認できたとしても問題はない、バッチリ変装済みだ。



ジンが引き金に指を掛けた瞬間ーーーー



バンッーーーー



撃った弾が見事左肩を貫いた。



その様子に宮野明美が驚きに目を見開き、横に居たウォッカが慌てているのが見えた。



「ふふっ・・・さぁ、こちらを向きな・・・ジン・・・」



その時があんたの最後ーーー


この11年に及んだあんたに対しての私の‘遊び’は終わるーーー



「その頭にーーー一発ぶち込んでやるっ・・・」



ギッと憎しみが籠りそうな程の感情を必死に押し殺し、スコープ越しに睨みつけた。




ドンっーーーー



「!!!!?」



一発の銃声にりゅうは大きく目を見開いた。



ジンが、撃たれた左肩を気にも留めず、右手に銃を持ち、宮野明美に向け、発砲したのだ。


撃たれたにも関わらず・・・弾が発射されたであろう方向も見向きもせずーーー









「・・・・ただ明美を殺すことだけに集中したんだろうな・・・・」





全て、あの時起こった事の真相を話せば、赤井は静かにそう答えた。



「・・・・拘りすぎたんだ・・・組織の情報じゃなく、ただ、宮野明美が狙われてるのを利用して・・・ジンが出てくるのをひたすら待った・・・・」



立ったまま、顔を俯かせて、拳を握りしめるりゅう。その表情は正面に立っていたが、赤井からは確認することはできなかった。



「何度も明美を殺すのに、邪魔が入ることを・・・相手がスナイパーで、どこにいるか悟らせない事を承知で・・・ジンは出てきたんだろうな」



宮野明美が撃たれて、頭が真っ白になって、ただスコープを覗いている事しかできなかった。


その時、アイツがーーー‘ジン’がこちらを向き、ニヤリと笑い口を動かしたのが分かった。




ーーー次はテメェの番だ。



「・・・・・私は、宮野明美を・・・エサにした」



挙句、殺されて・・・・



「お前がそうしてなかったら・・・明美はもっと早くに殺されていた」



「彼女が死ぬのを・・・防がなかった」



「防がなかったんじゃない、防ごうとしたが、防げなかったんだ」



「っ・・・私がっ・・殺したっ・・・・」



「殺したのはジンだ。それに間接的に殺したというならばーーー」



俺も同じだーーーそう言った赤井の声は震えていたような気がした。




「っ・・・どうしてっ・・・なんでっ・・・」



嫌ってくれないの?


憎んでくれないの?


突き放してくれないの?


カクンと膝が崩れ、その場に泣き崩れたりゅうに赤井はソッと近づいた。



ポンッと頭に置かれた手に、温もりをーーー安心を覚えてしまってーーー



ポロポロと涙が零れ落ちる。



「うっ・・・ふっぇ・・・・」



「・・・・泣くな、りゅう・・・」



「泣いてっ・・・ないっ・・・・」



「フッ・・・そうか」



そんな強がりを言えば、彼は困ったように笑って、私を抱きしめた。



縋ってしまってーーーいいのだろうか?


助けてほしいとーーー手を伸ばしてもいいのだろうか?


許してほしくない、嫌ってほしいとーーー


憎んでくれればーーーそう思った人にーーー


赤井秀一にーーー



顔を両手で覆い言葉も満足に出せない私に、彼は言った。



「俺の傍に居たいのかもしれない・・・そう言ったな?」



「・・ふっ・・ぅ・・・」



聴こえているが、言葉を返すことができない。



「いればいい。お前がそう望むなら、俺が傍にいてやる」



「・・・・上から目線・・・っ・・・」



こんな時まで上から目線の彼に、つい、その言葉だけはツッコんでしまった。



「あー・・・いや、すまない、俺は口がうまい方ではないからな・・・・」



どこか気まずそうな声に顔を覆っていた両手を外し、見上げれば、うーん・・・と何かを悩んでいる彼の姿。



「?」


首を傾げて、赤い目をしたりゅうを見て、赤井はフッと困ったように笑い、頬へと手を置いた。


「・・・・傍にいて欲しい、俺が・・だ」


その目が、声がーーー愛おしいものを見るような、縋るような声がーーーー



一気に胸を貫いたかのように涙が止まり、顔が熱くなった。



「っ・・・・・」



「りゅう・・・・」



呼ばれた名に心臓がトクンと跳ね上がった気がした。



あれ?そういえばいつから名前で呼ばれてたっけ?


お前さん、やお前・・・と言っていた中、そう言えばちょくちょく呼ばれていたことを思い出した。



その事に更に顔が熱を持った。



「そんな顔をするなーーー抑えが効かなくなりそうだ・・・・」



フッと笑った赤井の顔は面白そうな、意地悪そうな表情でーーーー



頬に手を置いたまま、思ったより近い赤井との顔の距離にーーーー



バクバクと大きくなっていく心臓の音ーーー



「・・・っ(ガキじゃあるまいしっ・・・なんでこんなっ・・・)」



スゥッとさらに近づく顔に、顔を真っ赤にしたまま停止している。



鼻がくっつくほどの距離ーーー


唇が触れるか触れないかの距離で赤井はフッと口角を上げた。



「目を開けてするのがーーーお前の好みか?」



「っ・・・・・」


その言葉がーーーその声がーーーその不敵に笑む赤井の表情がーーー


全てが思考を甘くーーーー狂わせるーーー



「目・・・閉じろ、りゅう・・・」



言われるがまま、思考回路がショートしたまま・・・



目を閉じたーーーーー



優しく触れるだけのキスーーー


その間ーーー


一秒かーーー1分かーーーー



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