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優しい笑み(1/2)







「え?埼玉方面?いやいやいや、なんで私が埼玉に詳しいと思ったのかが分かんないんだけど・・・は?ちょっ・・・・切りやがった・・・」



音楽を聴きながらボケーっとしていればいきなり鳴り響いた着信音。



出ないでおこうか?とも思ったが、出来る限りは出ると言ってしまったし、今現在誠に残念ながら暇なのだ。



忙しかったら絶対スルーしてやるのにっ・・・そう思いながら電話を取れば、もしもしの言葉よりも真っ先に‘遅い’の一言。



その言葉に、忙しかったもんでね!と言い返してやれば、ほぉー?忙しいなら出ないと思ったんだがな?と返ってきた。



読まれてるっ・・・そう思って慌てて何の用?と言えば、いきなり言われた言葉。



「埼玉方面には詳しいか?」


は?埼玉?行ったこともありませんが?


そうして冒頭に至るのだが、奴は私の言葉を過り、すぐに**まで来いと言って電話を切りやがった。



「・・・・バックレていいかな・・・?」



そう思うもバックレた後、赤井秀一に何を言われるか分かったもんじゃない。



「・・・下手したらまた怪我してる腕掴むんだろうな・・・・」



無言で・・・・そう思ってバックレた方が厄介だと結論付けて指定された場所へと向かった。




「意外に早かったな」


「そういうあんたは呼び出しといて遅かったね」



「乗れ」



無視かよ!!



拒否権なしの言葉に私はハァーと溜息を吐きながら助手席へと乗り込んだ。



私が乗って、シートベルトをするのを彼は横目で確認し、行くぞ、と一言呟き出発した。





「・・・・・・」



「・・・・・・」



暫く無言でいた・・・のだが・・・



「いや、説明しろよ」


いい加減なんの説明もない状況をツッコめば彼は不思議そうに首を傾げた。


こっちが不思議だわ!



「何がだ?」



「何がだ?じゃねーわ!この状況を!に決まってるでしょ!?」



「あぁ、俺たちのボスが誘拐されたんでな、迎えにだ」



「へぇー、ボスねぇ・・・FBIのあんたの上官が誘拐・・・ははっ、よっぽど腕に自信があるみたいね?」


その犯人。



「いや、犯人は人違いでボスを誘拐したらしい」


間抜けかっ・・・って違う!!そうじゃない!



「なんで私がそれにつき合わされなきゃならないわけ!?」



「暇だろう?」



「〜〜っ・・・・」



確かに暇でしたけどっ!!?



黙った私に彼はフッと笑った。



「FBIと関わりたくないって言ってんでしょーが」



「彼なら問題はないさ」


いや、あんたが問題なくてもこっちにはあるっつーの・・・


だめだ、やっぱこの男疲れる・・・;



「・・・ってかなんで誘拐されたって知ってんの?」



「待ち合わせしている途中で連れ去られて行く所を目撃してたんでな」


だったらその時点で捕まえろや・・・



シレっと言う赤井にジトッとした目で見れば彼は気にしていない様に煙草に火を着け始めた。



その様子を目を細めて見た後、窓を全開に開けてやった。



「なんだ?嫌いなのか?」



「禁煙してるもんでね、人の煙草の吸ってるところも、煙の臭いも苛立つのよ」



「ククッ・・・難儀なことだな」



消す気はねぇのか、この男はっ・・・・



瞬く走っていると彼はパトカーの後ろにピタッと張り付いた。



「・・・ねぇ、まさか前の車がその誘拐犯とか言うんじゃないでしょね・・・」



「やはり少しは頭は切れるようだな」



馬鹿にしてるだろうっ・・・こいつっ・・・・



逐一この男の言葉に腹が立つものの、言い返せば更に疲れることが目に見えてるため内心だけに留めておく。



「警察相手なら私参加もしたくないんだけど?」



「案ずるな、俺たちも警察にはお近づきにはなりたくないんでな」



あーそうですか・・・・




そこからは暫く無言で車を走らせる中、外の景色をボーっと見ていれば急に、禁煙のきっかけは?と聞かれた。



「何?あんたも禁煙したいわけ?」



「辞められるのならやめた方が節約にもなるんでな」



節約て・・・;絶対必要ねーだろ、そう思うが口には出さなかった。



「・・・・私の場合はただ正体を少しでも隠すためよ」


煙草の残り香で銘柄が割られ、何らかの理由で私の存在が奴らに露見したとき、怪しいと思われた時点で吸っている煙草も目に付くはず。



外の景色を見ながら呟けば赤井は何も言わずただ聞いていた。



「それに・・・・」



「?」


「振られっぱなしの‘恋人’相手に振り向いてもらえないかなーって言う願掛け?みたいなもんよ」



まぁー、ぶっちゃけその‘恋人’に振り向かれたらたまったもんじゃないけども。



「ホォー?恋人ねぇ・・・・その恋人には随分ご執心みたいだな?」



「あんたもねー」



「・・・・そもそもお前の言葉には矛盾がある」



急に声のトーンを真剣にする彼に首を傾げて彼を見れば、彼はチラッとこちらを見た後、すぐに視線を前に戻した。



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