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偶然?+失態=無意識に口を滑らせる(1/2)





ーーーりゅう、お前は俺たちが守ってやる。


ーーー怯えなくてもいいのよ、りゅう。あなたには私たちがついてるわ。



お父さん、お母さんーー



ーーーーいやぁぁぁぁぁ!!


ーーーっ・・・落ち着け!りゅう!落ち着くんだ!!


ーーーお父さんっ!!お母さん!!!


ーーー俺が守るっ・・・父さんや母さんの代わりに俺が守ってやるっ・・・・



お兄ちゃんーーー


ーーーにぃーに・・・・?


ーーーりゅうっ・・・ごめ・・んなぁ・・・






ーーー可哀想に・・・


ーーー恨んでるでしょ?表では優しい顔して!心の中で私を憎んでるのよっ!私なんかっ・・・私なんかっ・・・


ーーーえ?


ーーー私なんかが居たばっかりに、あなたは息子も、義娘も、孫も、失ったんだから・・・


ーーーりゅうちゃん、辛かったのね・・・大丈夫、大丈夫よ。息子は愛した娘を守ったのよ?その息子を私は誇りに思うし、息子が守ったあなたを愛おしいと思ってるわ。



ーーーっ・・・ごめっ・・・ごめんなさいっ・・・おばぁっ・・・ちゃんっ・・・



ーーーりゅう、大丈夫?


ーーー・・うん、おばぁちゃんが居てくれるし、あなただっているもの。


ーーー・・そっか!私はずっとりゅうの傍にいるからね!だって私たち、親友だもんね!!




ーーーー・・・う・・そ?・・・おばぁちゃん・・・?桜・・・・?



ーーーーあはははっ、りゅうちゃぁん〜、君は僕のだよー?他の誰にも・・・渡さないっ・・・僕と君とを邪魔する奴は皆、皆僕が殺してあげる。




恐ろしいくらいに狂気染みた笑みを浮かべ、その手には血だらけの刃物を手にしている男の姿ーーーー








ーーーーバっ!!!



起き上がり、ハァハァと肩で息をした。



「夢・・・・」



クシャリと自身の前髪を掴み、膝に顔を埋めた。




暫くすれば呼吸が落ち着いてきたが、もう寝れる気がしなかった。


いや、寝たくなかった。



ハァ、と溜息を吐きながら時計を見つめれば寝ようと布団に入ってから1時間も経っていなかった。



着替えて、ヘッドフォンを耳に着けてから家を出た。



空はまだまだ暗く、りゅうは宛てなくフラフラと歩きだした。



暫く歩いているとある公園の入り口で足を止めてヘッドフォンを外した。



杯戸公園ーーー


小さい時によく、母と兄に連れられ遊びに来た覚えがある。



母は陽の光に弱く、日傘を差して優しく微笑みながら私たちを見守っていてくれて。


兄は、忙しい父の代わりに肩車などよく私を構ってくれた。



「・・・あの時に前世の記憶が戻っていれば、私は皆を失わずにすんだのかな・・・」



今も私は、この世界であの人達と笑いあえていたのかなっ・・・・・



門に背を預け、ズルズルとその場に座り、膝に顔を埋め、ギュッと膝を抱えた。



今でも目を閉じればすぐに思い浮かぶ狂気染みた気味の悪い笑みーーー



ブルッと肩が震えた。



しかし、次の瞬間、ゾッと背筋が凍りついた。



コツっと聞こえた足音ーーー



顔を俯かせたまま目をゆっくり開ければ、足が見えた。



足の大きさからして男だという事が分かると、頭に警報が鳴り響き、身体がカタカタと震え始めた。



耳に聞こえてくるはずもない声が聞こえた気がした。



ーーーりゅうちゃぁん〜?



「あっ・・・いやっ・・・」


「−−−!」


「やっ・・・やだっ・・・・」


「−−いっ!」


「はっ・・・はっ・・こなっ・・いでっ・・・」



耳を塞ぎ、目線を足元から外せず、上を見る余裕もないりゅう。



「俺だ!りゅう」



「いやっ・・・・」



震えるりゅうの目線にあわせるようにしゃがみこみ、彼女の肩を男は掴み、心配そうに顔を覗き込む男。



そこで漸くりゅうは、その男が、あの男とは違うことに気がついた。



「あっ・・・・赤井・・・秀一っ・・・?」



目を見開き、男を凝視すれば、赤井は小さく、あぁと呟いた。



「・・・・ははっ、あの男がっ・・もういるはずないのにっ・・・バカみたい・・」



本当・・・バカみたい・・・・そう呟き、膝に顔を埋めるりゅうに、赤井はどうしていいか分からず、ただ静かにその場に座った。



赤井は未だに震えている彼女の頭にポンポンと手を置いた。


一瞬ビクッと震えるりゅうだったが、顔を埋めたまま、されるがままになっていた。



「・・・りゅう」



暫く無音の空間が続いたが、りゅうの震えが収まってきた頃、赤井は彼女に声をかけた。



その声にピクッと彼女が反応するものの、顔は上げる気配がなかった。



「このままでは風邪を引く、お前さんの家まで送る」



そう赤井が言うが、動く気配がないりゅう。



「りゅう・・・」


「・・・・帰っていいから・・・・」


「?」


「あんた一人で帰っていいから、放っておいて」



顔を上げず、消え入りそうな声で呟く彼女。



「相当疲れてるようだ、家に帰って寝た方がいい」


「・・・・ぃ」


「ん?」


「どうせ寝れない、だから外に出たのよ・・・」



だから放っておいて・・・



それきり、全く反応が無くなった彼女に赤井はふぅ、と溜息を吐いた。



気配で彼が立ち上がったのが分かった。



そのまま早く立ち去ってくれ。


そう心の中で叫ぶが、次の瞬間、フワリと浮く身体に目を見開いた。



「なっ・・・・」


あまりに予想外な出来事に、りゅうは顔を上げて赤井秀一を見上げれば、思ったよりも近くにあった顔にさらに驚いた。



なんで抱き上げてんのーーー!?俗に言うお姫様抱っこだ。



「おっ・・降ろしてっ・・・」


頬を赤く染め、先ほど近くであった為、目線を下にずらし、足をバタつかせた。


「暴れるな、落とすぞ?」


もう落としてもいいから離せっ!


「ぜひっ!!」


グイッと彼の胸を押すが、ちっとも離れられない。


「あっちに車を置いてきた」


だからなんだよっ!!


「わっ・・・私、男嫌いなの!!触られたくもないっ!」



「ホォー?」


面白そうにりゅうを見下ろす赤井にりゅうはバッと顔を上げれば、またもや間近でバチッと視線が合った。



「っ!?」


ボッと一気に顔を赤く染めてから顔を思いきり逸らすりゅうに、赤井はククッと喉を鳴らした。



「嫌悪感を出している表情には見えんが?」



「はぁっ!?」


自意識過剰なんじゃないかと言ってやろうとしたが、顔を上げることができず、彼は歩き出した。



漸く下ろされたと思えば、彼の車の助手席のようで。



「・・・・・(なんか疲れた・・・)」



もう抵抗する余裕もないかのように、グッタリと助手席の窓に額をつけた。



パタンと扉が閉まる音に目を向ければ赤井秀一が運転席へと乗り込んだ所だった。



「・・・身体の震えは止まったようだな」



チラッとこちらを確認し、エンジンを着け出発する彼に、スッと視線を外へと移した。



「・・・おかげさまで」


「そうか」


代わりにものすごく疲れたけどね!!



暫く車を走らせる赤井に、はて?と首を傾げた。



「あのさぁ・・・・」



「なんだ?」



「どこ向かってんの?」


私の家、反対方向なんだけど?そういう意味を含め言えば彼はあぁ、と呟いた。


「俺の家だ」



「あぁ、あんたの家ね、へぇー、こっちなんだ・・・・ってはぁっ!?」



行き先を尋ねれば彼は当たり前かのように言い切りやがった。



「家には帰りたくないんだろう?」


い つ !!そんなことを言った!?


「帰っても寝れないと言っていただろう?」


彼の言葉に、そんな事を言ったかと首を傾げたが、何分早く一人になりたかった為適当に言った言葉は覚えていない。



「・・・・・家でいい」


「遠慮するな」


遠慮じゃねーわ!


心で叫ぶも、彼は着いたぞ、と言った。



あー、もう!何でこうなったかな!?



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