明かされた真実(1/2)
沖矢とコナンの鎖を取った後、爆弾を四人で解体し始めた。
残り五分程残し、全ての爆弾の解体が終わった。
その後で、蘭と園子の鎖を外し終われば、フゥーっと一息吐いた。
「後はマトリの連中が鍵持ってここを開けてくれれば・・・・」
煙草に火を点けて吸い始めた雨宮がそんな事を言えば沖矢は持っていた携帯に耳を当てた。
「爆弾も解体済み、りゅうも無事です。後は待つだけですので・・・はい。ありがとうございました」
それだけ言ってピッと携帯を切った。
「・・・昴?」
「ちょっと知り合いにこの状況を伝えるためにずっと通話中にしてたんですよ」
ニコッと笑う沖矢にりゅうは「ジョディさん・・・?」と問えば「まぁ、そんな所です」と返ってきた。
その言葉に少なからず疑問に思ったがすぐに沖矢から言葉が返ってきた。
「そういえば・・・」
「・・・ん?」
「大丈夫ですか?コナン君に聞いたのですが一人で歩けないくらいフラフラした足取りだったと・・・」
「あぁ、だからボウヤと蘭ちゃん達がここに居るのね」
「大丈夫ですか?」
沖矢とりゅうの会話に蘭も同様に心配そうに聞いてきた。
「ちょっと頭痛が酷くてね。今は大丈夫」
「・・・どうかしたんですか?」
スッとりゅうの頬へと手を置く沖矢に「・・・後で話すね」と小さく呟いた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そんな様子を見ていた雨宮とユウナが顔を見合わせた。
「・・・おい、ガキ」
「江戸川コナンだよ」
雨宮が近くに居たコナンへと声を掛ければコナンは少しムッとしながら答えた。
「変な名前だな」
「・・・ほっとけ」
「コナン君、もしかしてあの人ってりゅうの・・彼氏さん?」
ユウナが問えば「そうだよ」と即答するコナンに二人は頭を抱えた。
「いや、薄々そうかな?とは思ってたけどっ・・・」
「あー、悪い事したな;昔の事とはいえ、彼氏の前で話す事じゃあねぇよな;」
そんな二人を見てコナンは苦笑いした。
「昴さんなら大丈夫だよ・・・・多分」
「最後のその多分って何!?」
コナンの言葉にすぐさまユウナがツッコむ。
そんな話をしていれば雨宮の携帯が鳴った。
「もしもし?あー、終わったか?ここは地下の物置だ。牢の鍵もあったか?」
マトリの仲間からの電話だとすぐに分かり、そちらを向けば雨宮が指で丸を作った。
牢の鍵があったようだ。
「俺達二人ともう一人は自由には動けるが、男一人、高校生が二人、ガキが一人が牢に・・・あ?名前?あー・・・・」
携帯から耳を離し、雨宮がりゅうへと視線を向けた。
「?」
そんな雨宮にりゅうが首を傾げれば雨宮は気まずそうにポリポリと頭を掻いた。
「お前・・・苗字なんだっけ?」
「「はぁ!?」」
そんな問いにりゅうとユウナは声を合わせた。
「お前の苗字なんて覚えてねーし!」
「まぁ殆ど呼んだことないからね」
雨宮が言えばユウナも「まぁ、確かに」と苦笑いした。
「・・・・・」
呆れながらも苗字を言おうとすれば「あ、思い出した」と雨宮が言った。
「降谷・・・だったよな?」
雨宮の言葉にガクッと肩を落とすりゅう。
沖矢とコナンはその言葉に僅かに眉を寄せた。
「あれ?降谷だっけ・・・?んん?違うくない?確か・・・銀・・・」
「ユウナの方が合ってるよ・・・;」
「銀・・あぁ、そうか」
雨宮が「そうだそうだ」と呟きながら電話を再開させた。
「・・・降谷って確か昔の・・・」
ユウナの言葉にりゅうが溜息を一つ吐いた。
「そっちの苗字をよく覚えてたよね。逆に吃驚だわ」
「降谷ってりゅうさんの苗字なの!?」
コナンがなぜか慌てたように聞いてきたのでりゅうは首を傾げつつも「昔の話だよ」と返した。
「昔の・・話?」
「降谷は母親の旧姓だよ。五歳までは私は降谷だったからね」
「旧姓ですか?」
沖矢が首を傾げれば困ったように笑うりゅう。
「私の母親が結構酷い人でね、五歳の時捨てられたんだわ」
「「えっ!?」」
いきなりの言葉に驚く蘭と園子。
沖矢も僅かに顔を顰め、コナンは顔を俯かせた。
「あ、でも捨ててくれたおかげで私は父親に引き取られたんだけどね?」
「父親・・・ですか?」
「そそ。父は私たちも引き取りたかったみたいだけど、母親の方が手放さなくて、父に引き取られたのは白夜兄さんだけ。父は母と別れた後、違う人と再婚したんだけど、その人がまたいい人でさー、血の繋がりがない私と兄を・・・愛してくれた」
「そういえば、りゅう。あんた零さんとは会ってるの?」
「・・・・え?」
ユウナの言葉に首を傾げながら振り返るりゅう。
「え?」
「・・・れ・・い?」
ユウナが言った名前を反復するりゅうに、ユウナは怪訝な表情をした。
「りゅう・・・・?」
「お前、さっき頭痛で倒れた時も思ったが・・・記憶がないのか?」
いつの間にか電話が終わったらしい雨宮がスッとりゅうの隣にしゃがみこんだ。
「え・・・?記憶?」
ーーーズキンっ
いきなり酷く頭が痛み「うっ・・」と頭を抱えた。
「りゅう!?」
ユウナもすぐさま近寄り肩を支えた。
「記憶・・・?降谷?・・・零・・兄さん・・・?」
呟いた後、更に痛みが増し、そのまま気を失うりゅうを、雨宮とユウナが支えた。
「おいっ・・・・」
「さっきより酷くない?病院にっ・・・」
「どうやらやっと来たようですね」
りゅうが気を失ってすぐに、扉が開かれる音が聞こえて、沖矢とコナンはそちらへと視線を向ければ数人が牢へと近づいてきた。
「雨宮さん、柊さん!」
「救急車一台、至急手配しろ!」
入ってきた部下らしき人物に雨宮が指示を出せば「はい!」とすぐに返事が返ってきた。
そして牢が開かれて、直ぐに沖矢がりゅうの元へと行き抱きかかえた。
地下から出る際に、心配そうなユウナと雨宮に沖矢は「後程話がしたい」と言えば二人は顔を見合わせた後、困ったようにだが頷いた。
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