言うつもりなんてなかったのに(1/2)
「・・・・・・・・・」
どうしてこうなった?
りゅうは今目の前で行われている、安室透とFBIのやり取りに頭を抱えたくなった
今日、杯戸公園まで散歩してたのが悪かったのか・・・そう思いながらある事件に巻き込んでくれたコナンへと小さく蹴りを喰らわせておいた
「いてっ・・・」と呟き、ボウヤは、ははっと苦笑いして「ごめん」と両手を合わせてきた
ハァーと溜息を一つ吐き、その光景を見ていた
なんでもジョディの友人の女教師が階段から突き落とされたらしく、その現場がたまたま私が散歩していた杯戸公園で・・・
捜査を進めた結果、犯行現場は杯戸小学校だと判明した。そこで私はおさらばしようとしたのだがボウヤに「話があるから!」とどこか焦ったような真剣な表情で言われて、渋々OKを出し、着いてきたのがいけなかった
途中から安室さんまでも登場し、しかもその階段から落ちた女教師は安室さんの依頼人らしい
そこでかち合ったFBIに敵意剥き出しの安室に、キャメルとジョディは怒りが抑えきれない様子であった
ただ、コナンとりゅうは安室の言った一言が気になって、顔を見合した
「早く出て行ってくれませんか?僕の・・・日本から」
彼は確かにそう言った
「・・・・・・・・」
その様子をただ黙って見ていればそんな視線に気がついたのだろう。安室はりゅうの方へと顔を向けて苦笑いした
「りゅうさん・・・、本当にあなたは事件に巻き込まれるのがお好きなようだ」
「お好きなわけがないでしょう?前にも言いましたけど・・・・」
まぁ今回はボウヤに無理やり巻き込まれたようなものだが・・・そう言いながらコナンを小さく睨めばコナンは「はは・・・;」と困ったように笑った
ただFBIに向けていた敵意がりゅうの方を見た瞬間一気に薄れたのが分かった
「あのさ・・ちょっとゼロ・・・」
「ん?」
コナンが呟いた言葉に反応する安室
「安室のにぃーちゃん、ちょっと・・・」
そう言いながらコナンは安室の腕を引き、りゅうが立っている隅の方へと連れてきた
「・・・・・・・」
その様子をただジッと見つめるりゅう
安室はコナンの小さな声を聴くためにしゃがみこんだ
「安室のにぃーちゃんてさ・・・敵だよね?・・・・悪い奴らの・・・・」
「っ・・・(ばかっ)」
コナンの言葉に安室の表情がガラッと変わり、りゅうもまさかの言葉に息を飲んだ
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ボウヤからしてみれば一種の賭けなのだろう。二人はお互いにジッと目を合わせていた
フッと口元に笑みを浮かべて安室が静かに話し出した
「ゼロ・・・僕の子供の頃のあだ名は本当にそうだったんだ。君は少々、僕の事を誤解している様だ」
笑みを深める安室の表情にコナンは目を見開いた
りゅうはその様子を見ながら髪で隠れているイヤホンにソッと手を当てた
「それじゃあそろそろ謎解きと行きましょうか」
安室はコナンの元を離れて目暮達の元へと歩いて行った
コナンはただジッとその場に立ち竦んでいた
「ボウヤ・・・・」
りゅうが声を掛ければ彼は小さく言葉を発した
「りゅうさん・・・どう思う?誤解だと思う・・・?事件の真相を瞬時に見抜くあの洞察力、ベルツリー急行で灰原を消さなかったあの行動、ゼロと言う単語に反応したあの態度」
スッとしゃがんでコナンへと視線を合わせたりゅうも言葉を続けた
「・・・一番怪しいのはさっきFBIに言ったあの言葉・・・僕の日本から・・・あの信念・・・」
コクンと頷くコナン
「ゼロっていうのは存在しない組織であれと付けられたコードネーム。日本の安全と秩序を維持するために存在する・・・」
「公安警察の俗称・・・・でも、安室さんが公安?」
本当に?と顔を顰めて言うりゅうにコナンは苦笑いした
「りゅうさん警察嫌いだもんねぇ;でも・・・安室さんがもし本当に公安であって、組織に潜入しているのならこっちの事情を話せば最悪の事態は避けられると思ったんだけど、そうじゃないなら・・・・」
「練りに練ったあの計画はばれちゃうね」
「っ・・・・・いや、待って。まだバレた訳じゃねぇっ・・・奴にはまだ知りえない情報がある・・・」
「それを・・・確かめるために何か仕掛けてくるでしょうね」
「・・うん。でも何を・・・?」
「ねぇ、ボウヤ・・・・」
りゅうが今さっき知りえた情報を教えようとしたのだが、安室の方をジッと難しい表情で見つめているコナンに「聞いてないか;」と言葉を飲み込んだ
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