決着(1/2)
ベルツリーからウォルツを狙撃しようとしていた犯人、ケビン・ヨシノの犯行はコナンによって未然に塞がれた。
そしてコナンを狙って発砲を続けるケビンだったが、コナンが絶体絶命の時に、浅草スカイコートからの狙撃を受けた。
「あんな所からの狙撃!?・・・・昴さん!?そうか、昴さんもサイコロの謎を解いて・・・」
コナンがフッと笑うと携帯が鳴り、電話に出ればジョディからで・・・
なんでもベルツリータワーに上ろうとしたがオーナーが貸し切っていて登れないと言う。
しかし、その貸し切ってるのは園子で、なんとか理由を話、ケビン・ヨシノを確保してほしいと頼んでいた。
「・・・・制圧しきれなかったか・・・」
沖矢はビルの屋上からスコープを覗き、仕留めきれなかったヨシノに苦虫を潰したように呟いた。
「・・・・気を付けろよ、りゅう・・・」
その頃りゅう達はスカイツリーからの眺めを見ていた。
子供たちは残りの写真を撮ろうー!と散り散りに走り出した。
蘭だけは電話の着信が鳴ったようでその場にはいたが、微かに聞こえてくる子供達とは別の足音に顔を顰めてそちらへと急いだ。
「昴っ・・・まさか仕留めれなかったの?」
沖矢が狙撃をするならば犯人は屋上で動けないか即死のはず・・・にも関わらず居るという事は・・・・制圧に失敗したのだろう。
まぁ、そんなもしもの時の為にりゅうが来たのだが・・・・
その場に行けば蘭もすぐに追いついたようで・・・・
園子が床に倒れ込んでいて、ヨシノは歩美を人質にしていた。
「・・・・・・・」
さぁ、どうしたものか、と思い園子を抱えて子供たちに「陰に隠れなさい」と指示を出す。
「蘭ちゃんも早く!」
「っ・・・はい!」
りゅうの言葉に子供達と蘭は柱と案内板の陰に隠れた。
するとFBIが到着したようで、銃撃戦が始まった。
銃撃戦と言うよりも、マシンガンを連射しているのはヨシノだけなのだが・・・・
その様子をスコープ越しに見ていた沖矢は眉を寄せた。
「奥は使わせるなよ・・・こっちに連れてこい・・・りゅう」
「・・・・・(なんか気のせいかな?昴の声が・・・無茶難題な事を言われた気がする・・・;)」
連射されているのを陰から見ながら苦笑いが漏れた。
そして逆上しているのか、邪魔ばかりはいるから苛立ちが半端ないのか、犯人は怒鳴り声を上げた。
「・・・・・・何持ってるの?あれ・・・」
「え?」
りゅうの言葉に蘭も気になったのか少し顔を覗かせた。
「何かの・・・スイッチみたいですね」
「スイッチ?・・・まさか爆弾!!?」
「えぇっ!!?」
慌ててもう一度ヨシノが持っている物を見るりゅう。
間違いない、あれは爆弾っ・・・・
何処に仕掛けたかは知らないがまずいっ・・・
もしも電気機器を壊す為に設置した物ならば昴が狙撃できなくなる。
タワーを崩すためならば犯人諸共私たち全員・・・・
「助からないわよっ・・・・」
そんな呟きなど聴こえていないFBIは動き、歩美を助けようと飛び出した。
「ジョディさん!!」
キャメルが囮になり銃口を歩美から外す様に罠を仕掛ければそれに掛かるヨシノ。
「(掛かったっ)そこまでよ!!」
「動くなっ!!!!!」
りゅうがFBIの動きに気がつき叫ぶも時すでに遅しーーー
ヨシノが握っていたスイッチは押されてしまい爆発が起こり大きくタワーが揺れた。
「くっ・・・(遅かったかっ)」
それと同時に眼を瞑るりゅう。
「・・・・なるほど、闇に乗じて逃走する算段だったと言うわけか・・・・どうする・・?」
真っ暗になったタワーを見て沖矢は呟き、ただジッとスコープを覗いていた。
「ヨシノ!!悪あがきはやめろ!!」
キャメルの声があたりに響いた。
「ばかっ!!闇に乗じて逃げる算段なら暗視ゴーグルを持ってるはず!迂闊に動くなっ!!」
りゅうの大きな声が聞こえたのか、キャメルは、ハッとして慌てて物陰に隠れた。
ジョディも暗視ゴーグルの存在に気がついたようで物陰に何とか隠れた。
「・・・・蘭ちゃん、園子ちゃんと絶対にここを動かないで」
「えっ!?りゅうさんは!?」
りゅうの言葉にすぐ傍に居た蘭が驚いた様に声を上げた。
「・・・大丈夫、照明が切れる前から目を瞑って暗闇には慣れさせた・・・多少は見える。子供たちの傍に行って安全を確かめたら私がなんとかするから・・・ね?」
「でっ・・でもっ・・・・」
「大丈夫、あなた達は私が・・・私と昴が護るから」
そう、二人で護ると・・・護り通すと決めたものっ・・・・
「え・・・・?(昴・・さん?)」
聞き間違いか、と思うほど小さく呟いたりゅうの声に蘭は少し驚くもりゅうが「絶対に動いちゃだめよ!?」と言い残しその場を走る。
ーーーーザっと出来るだけ音が鳴らないように子供たちが居るであろう柱へと来たりゅうは灰原と元太の肩を掴んだ。
「うおっ!?」
「きゃっ・・・」
「しっ!」
驚く声を上げる元太と灰原にりゅうはすかさず黙るように言えば、灰原と元太の間に居た光彦が「りゅうさん?」と小さく呟いた。
「えぇ、ねぇ。あなたたち、歩美ちゃんの位置が分かるような仕掛けとか持ってない?」
りゅうの言葉に哀ちゃんがハッとした。
「探偵団バッチ!」
「え?」
バッチ?と首を傾げるりゅう。
「これにはモスキート音が発生するようになってるの」
「・・・ケビン・ヨシノっていくつだっけ?」
「そもそも・・・りゅうさんだって聞こえるかどうか・・・」
「私は大丈夫、微かな音だって聞こえる。モスキート音なら10代までの音なら聞こえるから」
耳はいい方なの。とフッと笑い言うりゅうに灰原もフッと笑った。
「・・・・・どう?」
スイッチを入れたようで微かに聞こえてくるキィィンという高い音。
「うん、大丈夫。これでここからでも正確に位置が分かるわ」
「だけど・・・音だけじゃぁ・・・」
灰原の心配そうな声にりゅうは彼女の頭をポンポンと撫でた。
「大丈夫、目ならもう慣れた。近くに行けば奴の姿を見ることが出来る」
「歩美ちゃん大丈夫でしょうか!?」
「うん。私が絶対助けるから」
「絶対だぞ!?」
「えぇ、約束する」
光彦と元太の言葉にフッと笑い言った後、彼らの頭もポンポンと撫でた。
「あと一つ・・・何か光るもの持ってない?出来るだけ眩しいの・・・」
と言えば探偵団は三人とも時計型ライトと携帯などを貸してくれた。
「歩美ちゃんが分かる様に赤いライトで知らせてあげて」
りゅうの言葉に灰原が頷いた。
子供たちを更に後ろに下がらせた後、柱を背にしスッと立ち上がり一呼吸した。
「フゥー・・・・」
昴が狙撃できないこの暗闇、恐らくボウヤも動いてる・・・・
「だとしたら・・・ボウヤが必ず大きな光を灯してくれるはずっ・・・」
沖矢もスコープ越しに暗闇のタワーを見ていて悔し気に歯を食いしばるも必死に自分を落ち着けていた。
「もう一度チャンスは来る・・・あのボウヤなら必ず・・・・りゅうも黙ってはいない・・・」
「もう一度・・・チャンスをっ・・・」
りゅうは呟いた後、走り出した。
「なんだっ!!?」
走り出した瞬間、足音が聞こえたのだろう。ケビンは銃口をりゅうへと向けた。
「はい、残念!」
その瞬間を見計らって光るものを全て奴へと向けて投げれば彼の目が眩んだのだろう。
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
乱射するヨシノ。
「皆!物陰から絶対に出ないでっ!!」
歩美ちゃんが哀ちゃんの傍へと行った事を確認した後、乱射するヨシノへと蹴りを繰り出した。
「はぁっ!!」
「くっ・・・・」
りゅうの目はもうすっかり暗闇に慣れていて、近くに行けば犯人の姿はすぐに捉えることが出来た。
銃を持つ腕を狙い繰り出した蹴りは上手い事当たってくれて奴からマシンガンを手放させることに成功した。
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