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一難去ってまた一難(1/2)






「・・・・で?なんで毎回私は事件ホイホイと一緒に出掛けなきゃいけないのかな?」



只今、蘭、園子、小五郎、コナン、りゅうの五人がある場所に着いて、テニスバックを手に歩いていた。



「事件ホイホイって・・・もう普通に僕の前でも言うよね、りゅうさん・・・」




「今更でしょう」



「そうだけど・・・まぁ今回はちょっとした気分転換になればと思って・・・」





「・・・で、今回もまたあんたからじゃなくて、蘭ちゃんからのお誘いだし・・・」




だって僕からだとりゅうさん、断るでしょう?と笑顔で言ってきた。




そんなボウヤを呆れたように見れば彼はニコッと笑った。



「それに、安室さんがバーボンだと断定できて一段落したし・・・」




「あ、その事なんだけど昴から聞いてなかったんだね。バーボンの正体」



「えっ!?昴さん知ってたの!!?」



驚くコナンにりゅうは頷いた。



「だって私にバーボン・・・安室さんに気を付けろって教えてくれたのは昴だよ?」



「・・・ははっ・・・;(普通に聞いてみればよかった・・・)」



コナンは疲れたように半目で笑った。




「ところで・・・テニスを園子ちゃん達に教えるスペシャルコーチって誰?」



ずっと気になってた毛利さんが言った言葉、それをボウヤに聞けばボウヤも首を振った。




「着いたーー!!」




園子の声に反応して前を向けばテニスコートに着いたようで・・・そしてそこに居たのは・・・





「っ・・・・・」



りゅうは驚き、一歩後退った。



「なっ・・・(なんで・・・ここにこいつがいるんだよ!?)」



コナンも驚きに目を見開いていた。



目の前にはテニスのサーブをする安室透の姿ーーー



そのサーブを見て観客から拍手が沸き起こる。



「凄い!安室さん」


蘭と園子も手を叩き、顔を明るくさせている。



「ジュニアのテニスで優勝したらしいってポアロの店長に聞いて驚いたよ」



小五郎が笑顔で言えば安室が近寄ってきて笑顔で答えた。



「まぁその直後に肩を痛めてしまってこのサーブ、数は打てないんですけどね。ですが教えるだけなら支障はないので」



「よろしくお願いしまーす!」



安室の言葉に園子がすぐに返し、そしてそのまま視線が合った。



「っ・・・・・」



「りゅうさんも来てたんですね。お久しぶりです」



言葉を詰まらすりゅうに気にすることなく言葉を掛ける安室。




「・・・・ポアロ休んでるって聞いたけど・・・」




漸く出た言葉は素っ気ない言葉、だけど気になっていた事でもあった。



ポアロを休んでいたのはもう正体がばれたから消えるのだとばかり思っていたのに、こうやってまだ尚同じ場所に留まるという事は・・・消えると言うわけではないらしい・・・



「ちょっと夏風邪を引いただけですよ。週明けにはポアロの仕事にも復帰しますし」




「・・・・そうなんですか、お大事に」



それだけ言ってりゅうはコートから出て行く。




「あれ?りゅうさん?」



蘭が首を傾げればりゅうは振り返ることはせず「暑いの苦手だから日陰に居る」とだけ返した。



「・・・・・・」



そんなりゅうの後姿を安室は苦笑いし見ていた。




そして園子たちにサーブから始めましょうか、と言う安室に対してコナンは未だに呆然としたままで・・・・




「コナン君、ボール危ないから下がっててね」



ニコッと笑いながら言う蘭にコナンは「いや・・危ないのは・・・」と小さく呟くが安室の「危ない!」と言う声に遮られた。




「!!!?」




ゴンっ!!と飛んできたラケットに頭を強くぶつけたコナンは倒れて気を失った。



その様子を離れた場所で見ていたりゅうも慌てて立ち上がり、持っていたタオルを水で濡らして駆け寄った。




「コナン君!!?」



「待って、蘭さん!頭を思いきりぶつけたんです、揺すってはだめです」



慌ててコナンを抱き起そうとする蘭を安室が止めた。




ーーースッとぶつけたであろう場所に濡らしたタオルを当ててゆっくりと横に寝かしたりゅう。




「りゅうさん・・・・」




「大したスピードじゃなかったから脳震盪だとは思うけど・・・あんまり揺すらないように何処かゆっくり休める場所へ移動した方がよさそうね」




「じゃあ俺は医者を呼んでくる」



りゅうの言葉に小五郎が慌てて身近の人間に医者はどこにいるかと聞きに行った。




「私の家の別荘まではちょっと時間かかるわよ?」



園子が心配そうに言えば、見知らぬ人が慌てて「私たちの別荘が近くにあります!」と言ってきた。




「ごめんなさい!私のせいでっ・・・・」



「歩いていける距離ですか?」



「はいっ・・・・」



「だったらとりあえずそこで休ませましょう」



そう言ってコナンを抱き上げようとすれば安室さんが待ったを掛けた。




「りゅうさん、僕が運びますよ」



いくら子供とは言え男がいるのに女性に運ばせるわけには行きませんから、と笑顔で言う。




「・・・・・・」



その言葉にスッとコナンから離れて安室と場所を交換するりゅう。




そしてすぐにラケットをぶつけた人達の別荘へと向かった。




医者に診てもらい、包帯を頭に巻けばコナンは目を覚ました。




「・・・・ここどこ?園子ねーちゃんの別荘じゃないよね?」



コナンがボーっとしながら言えば診ていた医者が「意識もはっきりしているし軽い脳震盪だろう」と言った。



手足の痺れ、吐き気などがあった場合はすぐに検査した方がいいと残し、帰って行った。




「ありがとうございました」



蘭が出て行く医者に頭を下げれば小五郎が「大したことなくてよかったな」とコナンへと言う。




「ここはあんたにラケットぶつけた人たちの別荘よ」



園子が先ほどのコナンの質問に答えればコナンはキョロキョロと辺りを見渡した。




「ごめんね!ボウヤ・・・汗で手が滑っちゃって・・・・」



パンと手を合わせながら謝る一人の女性とその後ろで呆れたようにしている女性の姿。



「だから言ったのよ、グリップテープをしっかり巻きなさいって・・・あんた汗っかきだから・・・」




「けど残念だったなー、俺の携帯の電池が切れてなかったらその衝撃映像をムービーで撮ってネットにUPしたのに・・・」



いきなりやってきた一人の男の言葉に、蘭は眉を下げ、園子と小五郎は顔を顰めた。




「・・・・・・」



りゅうもその様子を部屋の隅で壁に凭れながら黙って聞いていた。




「子供を襲う殺人サーブならぬ、殺人ラケットってな・・・・」



ニィッと笑いながら楽しそうに言う男に、またやってきた違う男が怒ったように声を荒げた。




「子供が怪我したっていうのに、何言ってんだ!お前は!!」



「冗談だよ・・・。俺はこの重い空気を和ませようと・・・・」




「その冗談が元で!‘うりゅう’は死んだかもしれないんだぞ!!?」




男二人が言い争う中に聞こえてきた言葉にりゅうは嫌な予感がした。




「・・・・(またなんか事件の気配がするのは・・・気のせいかしら?)」



溜息を吐き、疲れたような表情を浮かべた。



そしてなぜかミックスダブルスをしようと言う話になっていた。



「あれ、でもそっちは女の子が三人・・・」



りゅうを見ながら言う男にりゅうは「私テニスしに来たわけじゃないから」と素っ気なく答えた。




「やるならやるでそっちでどーぞ」




そう言うと、じゃあ、4対4でやろうと話になったがその前に少し休憩という事でお昼ご飯を一緒に食べることになった。





「・・・・・・・私パス」




りゅうはそう言って部屋から出て行こうとした。




「え?りゅうさん、ご飯は・・・」




蘭が心配そうに言えばりゅうは振り返って「いらない」と答えると出て行った。




「・・・・りゅうさんって結構気難しい人よね」




園子がそんな事を呟けば蘭は苦笑いした。



「だけど、いい人だよ?」




「うん、それは分かってるから嫌いじゃないわよ?」




園子と蘭がそんな話をしていれば安室は去って行ったりゅうの後姿を見ていた。




「どうかしたのか?」



小五郎が安室へと問えば彼は「いえ」と笑った。



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