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知らない土地で放置されました(1/2)






ボウヤになんだかしてやられた感が半端なく不機嫌そうにボウヤと服部君の後ろをゆっくりと着いていく。



なんでも服部がここに居る理由は、知り合いが事件に巻き込まれて亡くなった敵討ちに犯人を上げるとの事。


しかも亡くなった人は賊の一人だったそうで・・・



ボウヤと二人で暗号を解きにかかるために京都をあちこち歩き回るそうだ。



コナンは京都の事はさっぱりらしく、服部が道案内をかって出たのだ。



「ねぇ、私毛利さんの所に戻っていたいんだけど?」



「え?どうして?」



りゅうの言葉にコナンが服部との会話を中断し、後ろを振り向き首を傾げた。




「どうして?じゃないわ・・・私が居なきゃ服部君のバイクで移動できるでしょう?」



そう、コナンとりゅうの二人が居る為、服部は乗っていたバイクを手で引いているのだ。



二人だけなら恐らく二人乗りで移動できるのだろうし・・・




「あー、俺がこのバイク引いてんの気にしてんやったら構わん構わん、歩いても行ける距離やし、たいして気にもならんわ」



無邪気な笑顔で言われればりゅうは、むぅと口を閉じた。



「ははっ・・服部、りゅうさんはただ俺たちから離れる口実が欲しかったんだよ」




「・・・分かってるなら私の事は放っておいてもらえますかね?」



「ダメだよ、昴さんと約束しちゃったし、それに・・・」



りゅうさんも一緒に回ってくれるってさっき言ったよね?と笑顔で聞いてくるこのガキがウザい事この上ない。




「・・・・クソガキがっ・・・」



ソッポを向いて小さく呟けば「聞こえてるって・・・;」と半笑するコナンの姿。




それから渋々三人で回っているが、手掛かりになりそうなものはないらしく、お昼ご飯を食べながら服部の初恋話を聞き、コナンが吹き出したり・・・




「りゅうさんご飯は?」



「お腹空いてないから要らない」



コナンの言葉通りりゅうはご飯を注文せず、コナンと服部が食べている横でお茶を啜りながら庭の景色を眺めていた。




「なんや小難しい姉ちゃんやな・・・」



服部が言えばコナンは、「まぁ・・けどいい人だぜ?」と言っているのが耳に入る。




いい人ねぇ・・・なんか歌詞にもあった気がするけど、「いい人」って「‘どうでも’いい人」みたいに聞こえる時がある。



まぁ、ボウヤはそう言う意味で言っているんじゃないとは分かっているが・・・



私がここに居る意味はあるのだろうか・・・?



というか、蘭ちゃんに誘われたのだからやはり蘭ちゃん達と行動してた方がよかったのでは?と思い、ブンブンと首を振った。




女子トークにはついてけないからやっぱ、お寺に毛利さんと居ればよかった・・・と溜息を小さく吐いた。




お昼を食べ終わった服部たちは次の場所へと移動した。




「あれが鞍馬寺の西門や」



バイクを砂利へと停め、コナンと服部は歩き出すがりゅうはバイクの傍の店の壁に凭れ掛かった。



「あれ?りゅうさん行かないの?」



「行っても何もないだろうし、ここで景色見てる」



「(え?何もない・・・?もしかしてりゅうさん・・)」



あのさ・・っと口を開こうとすれば電話が掛かってきたらしく、電話を取るりゅうに、コナンはまぁ、後でもいいかと口を閉じ、行こうぜ、服部、と声をかけて二人は鞍馬寺へと向かった。







「もしもし?」



《今大丈夫ですか?》



「うん、別に大丈夫だけど・・・あんたが余計なこと言うからボウヤに連れ回される羽目になったんだけどっ・・・?」



《方向音痴のあなたが悪いです》



「自覚あるから迷う位歩き回んないわよ!!」



《方向音痴の方は最初は大体そう言うんですよ、けど結局歩き回って・・・》



「あーもう!音痴音痴うっさいわ!」



《それよりあの暗号はどうなりました?》



「へ?何?ギブアップしたのに気にはなるの?」



《あんな絵を送られてきたら気になるでしょう?》



はぁ、と溜息を吐いたのが電話越しでわかった。




「あの絵ならやっぱあんたには無理だわ」



《というと、りゅうはもう分かったんですか?》



「昴の京都に纏わる何かって言葉で大体は・・・」



《ホォー?聞かせてもらっても?》



「あの絵、ドングリが書いてあったでしょう?あれは童謡の歌にあるドングリコロコロを示してて、キーは‘歌’」



《歌?》



「京都には昔から子供にも有名な歌があるのよ、本当の題名は知らないけど子供たちの間では‘手まり歌’って言われてたはず」



《手まり歌ですか?》



「ま〜るたけえ〜びす〜におしお〜いけ、あ〜ねさ〜んろっか〜くたこに〜しき、しあやぶった〜かまつま〜んごじょう、せったちゃ〜らちゃ〜らう〜おのたな、ろくじょうしっちょうとおりすぎ、はっちょうこえればとうじみち、くじょうおおじでとどめさす・・・ってね」



《ホォー?京都の通りを歌で覚えるためのもの・・・ですか。なるほど、この絵は京都の通りを指すと・・・?》



「そ、だからボウヤ達が巡ってるのは意味なし、それが分かれば昴が家に居ても地図を広げれば分かるってことなんだけど・・・・ん?」



《どうかしましたか?》





「りゅうさん!そいつ捕まえて!!」



こちらに走ってくる二つの足音に気がつき壁から背を離して覗いてみればヘルメットを被った男とその後ろからボウヤの姿。



とりあえず足でもかけるかと思い、足を出すのだが、こちらに走ってくる男は背に背負っていた長いバックを構えた。



「剣道?」



持っているものこそ違うが、その構えは隙がなく、相当腕が立つと瞬時に分かる。



ブンッと振り下ろされたそれを携帯を持っていた方の手で受け止めるも、素手で受け止めればそれなりに痛いもので・・・



「っ・・・・」



少し怯んだ隙に第二波で胴を貰ってしまい、蹲る。



「くっ・・・・」



その隙に男はバイクへと乗り去っていく。



「大丈夫?!」


コナンが慌てて駆け寄るも大丈夫だと手をヒラヒラさせる。



「早く追えば?」



「けどっ・・向こうはバイクだし・・・」



コナンは悔しそうな表情を浮かべた。



「工藤!ほれ!行くぞ!!」



いつの間にか来ていた服部がもう一つのヘルメットをコナンへと投げ、バイクを発進させる。



「方向音痴のねーちゃんはここで待っとれ!後で迎いに来るさかい一歩も動くなや!!」



どいつもこいつもっ・・・・



「あんたのせいで方向音痴だって皆から言われるじゃないっ!!」



携帯に向けて声を荒げれば、向こうからはバッチリ聞こえていたのだろう、ククッと喉を鳴らす昴の声が聞こえた。



《それより、大丈夫か?何があった?》


笑った後で心配されてもねぇっ・・・



「さぁ?よく分かんないけど、調べられて困る奴が居るんじゃない?それと私は別に大丈夫、竹刀とか木刀だったら打ち身にはなるんでしょうけど・・・」



そんなに硬いもんじゃなかったし、向こうだってなぜか手を抜いていて・・・



《手を抜いていてそこまで硬いものじゃないとすれば・・・簡単に折れてしまうものが入っていたのかもしれませんね》



「んー?あぁ・・・弓矢だね」



りゅうは何があったのか確かめるべく、彼らが行ったであろう場所へと移動し、木に刺さっている矢を引っこ抜いた。



《歩き回ってるんですか?》



「目と鼻の先で迷うかっ!」



今からもとの場所に戻るわよ・・・そう呟きながら元の場所へと戻って先ほどと同じ体勢で壁へと寄りかかった。



「・・・・この景色には桜はないけど・・・森林浴がしたくなる位綺麗なところよ?」




《・・・今度行きましょうか、森林浴・・・》



「・・うん」



《桜も・・・お花見に行きましょう》



「・・・うん、そうだね」



沖矢とそんな話をしていると心が温かくなる。








「・・・・ねぇ」



《はい?》



「私、いつまで待ってればいいと思う?」



日が暮れ始め、いつまでも戻ってくる様子もない場所に一人きり・・・



《・・・犯人に夢中で忘れているかもしれませんね・・・》



「忘れられても困るんだけど・・・」



《大丈夫ですか・・・?》



一人で、暗くなっている場所で待っているりゅうを心配する沖矢の声にりゅうはふふっと笑った。



「大丈夫よ、だって・・・」



あなたの声が聞こえてるもの・・・



《・・・そうですか》



「うん・・・」



《・・・やっぱり私も行くべきでした》



「へ?」


《そしたら、今ならあなたと二人きりだったでしょうし・・・》



この腕で抱きしめることができるのに・・・と言う沖矢の言葉にりゅうは一瞬固まり、照れくさそうに笑った。



「ばーか・・・」



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