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想像以上の行動力



ーーーピンポーン


朝早くから来訪者を知らせる音が鳴った。


「・・・ふぁ」


ムクッと布団から顔を出し座って、小さく欠伸を噛み締めたりゅう。するとその隣で赤井も目が覚めたようで起き上がった。


「・・・何時だ?」


「7時。結構ゆっくり寝たね」


「・・・寝付いたのが5時だぞ?」


勘弁してくれ、と言わんばかりに布団へと再度潜り込んだ赤井に、ヒクッと頬を引きつらせるりゅう。


「ほぼあんたのせーでしょうがっ・・・」


昨日の夜、寝ようとして布団に入ったのは0時近かったが、確実に日は跨いでいなかった。にも関わらず寝たのが5時。それは赤井が何度も何度もりゅうを求めたから・・・。


「足りなかったか?」


フッと意地悪そうな笑みを浮かべる赤井にイラっとし、バフッと枕を彼へと投げつけた。


「その逆。もっと早く寝かせろ。この悪魔が」


そんな会話の間にも来訪者を告げる鐘はなり続けていて「はいはい、今出ますよ」と再度欠伸を噛みしめながら服を羽織、ベッドを抜け出した。


「大した用じゃなければ追い返せ」


そしてすぐに戻ってこい。と赤井は小さく呟き、ウトウトと目を閉じ始める。


「はいはい。あんたが変装解いてんのに部屋に入れないから安心して」


チュッと眠りに堕ちそうな赤井の額に口づけを落とした後、ウザいくらいになり続ける音に「うるさいな」と思いながら玄関へと向かった。



「そう何度も鳴らさなくても聞こえ・・・て、ます、って、えっ?」


ガチャリと開ければ予想外の人物が立っていて驚くりゅうに、その人物は気にした様子もなく笑顔で手を振った。


「やっほ!りゅうちゃん、元気だった?」


「・・・・本当に来たんですか、有希子さん」


そう、その人物は有希子さんで先日、赤井と「りゅうちゃんとお買い物したいから会いに来ていいかしら?」と言っていたのは覚えているが、本当に来るとは・・・


「もちろんよ!久しぶりね!!」


「いや、二日くらい前に別れたばかりですが・・・・;」


「赤井君は?」


聞いちゃいないよ、この人・・・


「今二階で寝て・・・・」


「起きてます、どうも。有希子さん。今日はどうされたんですか?」


立ち話もなんですから・・・と家へと入りながら有希子の問いに階段をみれば、寝ていたはずの赤井が上半身裸で降りてきた。


「服着てこいっ!!」


顔を真っ赤にしながら赤井へと怒鳴れば「あら?もしかしてお邪魔しちゃったかしら?」と含み笑いを零す有希子に対して「いえ、情事ではなかったのでお気になさらず」と返す赤井に肘鉄を喰らわしておいた。




「え?あの話本気だったんですか?」


「もちろんよ!」


赤井がコーヒーを用意してキッチンで落ち着いて話すと、有希子は先日話していた、りゅうと買い物をする、という目的を果たしに今回訪れたらしい。


た、確かに今週中に会いに来るとは言っていたが、本当にただ私と買い物するためだけに忙しい時間の合間を縫って私に会いに来たと・・・?;


若干頭が痛くなりそうなほどの有希子の行動力に、頭を抱えた。


「いいんじゃないか?今日は予定はないんだろう?」


折角有希子さんがわざわざ遠くからお前の為に来たのだから行ってこればいい。と赤井は言った。


「あら?赤井君も行くわよね?」


「・・は?俺も・・・ですか?」


「もちろん♪」


戸惑う赤井に有希子は笑顔で言い、赤井は少し悩んだのちに「まあ、いいか」と結論付けて変装の準備に取り掛かろうとする。しかしそれを有希子が止めた。


「でも、変装なしに外に出るのは・・・」


さすがにマズい・・・、とりゅうが言うと「日本じゃなきゃ問題ないでしょ?」とウィンク付きで言われ、りゅうと赤井はキョトンとした。







「ま、まさかのアイスランド・・・・」


有希子さんが工藤邸を訪れて早数分で空港に行き、着の身着のままアイスランドへとやってきた三人。りゅうはまさかの出来事にグッタリとして空港内で手続きしている有希子の後姿を見つめた。


「・・・アイスランドは平和の国一位だからな」


「いや、だからなぜ国外・・・・?」


赤井の見当違いの答えにりゅうは呆れたように視線を向けた。


「ここなら人目なんて気にせずにお出かけできるでしょう?」


いつの間にか戻ってきた有希子が、うふっと満面な笑みを浮かべて言うのをただただ苦笑いを浮かべるしかなかった。


「ですが、有希子さん。俺もりゅうも本当に何も持っていないのですが・・・」


せめて支度をしたいと言ったのだが、そんなのはあっちで全て買えばいい、と言われてついてきたのだが、赤井もまさか日本から遥か遠く離れた場所に連れて来られるとは思わず、少し戸惑いを見せていた。


「大丈夫よ!優作のカード、持ってきちゃったからパーーっと使いましょ!」


そういいながら見せたカードはブラックカードで、りゅうは頬を引き攣らせた。さすがにそれは使えない、と抵抗しようとするが、それより先に有希子に手を引かれ町へと連れ回される事になった。



そして丸一日、彼女に連れまわされ、買い物したものはほぼりゅうのもので、ホテルに戻ってからもりゅうは気まずそうな表情を浮かべていたのだった。


「りゅうちゃん、私ちょっと用事があるから一時間くらい外すわね」


「あ、はい。お気をつけて」


有希子が出て行ってすぐに、赤井が部屋へとやってきた。


「・・・随分疲れているな」


「そりゃあそうでしょうよ。私買い物とか手っ取り早く終わらせたい方だから、一日中買い物するって慣れてない」


ベッドへと腰かけて、はぁーと大きくため息を吐くりゅうの隣に赤井が座り、その頭をポンポンと撫でた。


「苦手なら苦手だと断ればいいだろう?」


「・・・何度も言おうとしたけど、あんな無邪気な笑顔で‘娘とお買い物を一日するのが夢だったの!’って言われたら何も言えなくて、つい・・・・」


こんなに買ってもらってしまった・・・。と項垂れるりゅう。「あぁー・・・申し訳なさすぎるし、娘との夢が私なんかで良かったのか不安すぎるっ・・・」と更に悩みだす。


「好意を素直に受け取ってもいいんじゃないか?」


「・・・・・うん」


「お前だって楽しかっただろう?」


赤井の言葉に、有希子と買い物した一日の出来事が脳裏へと浮かんだ。


‘りゅうちゃん!’


‘可愛い!’


‘楽しいわね!


‘今、すっごく幸せ!’


今日一日で、一生分の誉め言葉、そして母親から言われて嬉しい言葉を沢山言われた気がする。母が生きていたらこんな感じだったのだろうか?いや、母は体が弱い人だったから有希子さんみたいに長時間、一緒に買い物は無理かもしれない。でも、どんな服を着ても‘可愛い’‘さすが私の娘ね’と褒めてくれる気がする。今日の有希子さんみたいに、一杯の温かい言葉、愛情籠った言葉をくれる気がする。


「・・・うん。疲れたし、申し訳ない気持ちで一杯だったけど、楽しかった。幸せだった」


そう言って微笑んだりゅうはとても綺麗で、赤井は堪らずギュッと抱きしめた。


「わっ・・・いきなり何?」


「別に。ただ、愛おしいと思ってな」


赤井のその言葉に一気に顔を赤らめるりゅう。「なっ・・・ななっ・・・」と口をパクパクするりゅうに赤井は、くくっ・・・と喉を鳴らしたのだった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(だそうですよ、有希子さん)
(はっ!!!?)
(うっ・・・ふぇ、良かったっ・・・りゅうちゃんずっと、気まずそうだったし楽しくなさそうだったから私、あなたにとって嫌なことしたかとおもっ・・・うわーん!)
(ちょっ!?有希子さん!!?泣かないでください!私本当に楽しかったです!ただ、全部出してもらっちゃってそれが気まずくてっ・・・・)
(その事なら心配ない)
(え?)
(そうそう、私は全然構わないって言ったんだけど赤井君がりゅうちゃんと自分の分は自分でって持ってたカードで全部彼が払っちゃったから)
(えっ!!?カードなんて持ってたの!!?)
(さすがに財布くらいは持ってくるだろう?)
(・・・・・あ!!)
(・・・お前は本当に何も持って来なかったんだな)
(す、すみません・・・)
(いいのよ!赤井君だって持ってこなくてもよかったのに!)
(男としては女性に払わせるわけにはいかないでしょう?)
(っ・・・やだ!もう本当!赤井君ってイケメン!!)
(恐縮です)
(・・・・・・(なんか、自分が情けない;))





まめ様!当サイトに遊びに来ていただけてありがとうございます!そしていち早く企画に参加して頂き嬉しかったです!リクエストしてくださったデートはこの後のおまけにて、しっかり描かせて頂きます!有希子さんにお膳立て・・・の部分が思いのほか長くなってしまい、このような出来上がりになってしまいました><
もしもお気に召さなかったら、まめ様のみ!書き直し依頼をお受けいたしますのでお気軽に一報くださいませ!
書きたいなー、と常日頃思っていた内容でしたので、楽しくワクワクしながらかけました!本当にありがとうございます!
このようなサイトではありますが、またぜひ!遊びに来て楽しんでいただけたら嬉しいな、と思います!
本当にありがとうございました!    



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