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今日も平和です。(1/2)



これは組織も壊滅して、りゅうの心境も大分落ち着いてきたころのお話ーーー



「りゅう」


名を呼ばれて振り返ればそこには赤井の姿があった。彼も組織が壊滅してから沖矢昴から元の姿へと戻ったのだ。


「あー、ごめん。まだ支度終わってないや」


すぐ終わらせるからもうちょっと待って。と言いながら手に持っていた携帯を置いた。


「急いでいないからゆっくりで構わない」


「ん、ありがとー」


りゅうが支度をしている鏡台の隣にあるベッドへと腰かける赤井は、先ほど彼女が持っていた携帯へと視線を向けた。


「メールか?」


「ん?あぁ、お兄ちゃんからね」


「降谷君から?」


何かあったのか?と心配そうな表情の赤井にりゅうは小さく笑った。


「今度の日曜日休みだから秀一が空いてたら飲みに来てもいいかってさ」


「ホォー?降谷君が来るのならウィスキーでもいくつか揃えておくか」


「・・・バーボンとスコッチあれば十分でしょう?」


3本くらいづつあるのにどんだけ飲む気よ?と呆れたような表情を浮かべるりゅうに赤井はフッと笑った。


兄と秀一が和解したのは組織を潰す少し前。どうしたってFBIと公安が手を組まないと奴らを壊滅させられなかった。FBIと公安、簡単に言えば兄が秀一を許してお互いに助け合う事を筆頭に、CIAやSISと言った組織に潜入していた他国の組織も一丸となり壊滅させることに成功したのだ。


兄と秀一の和解がなにより難しかったのを覚えている。今は元の姿に戻った工藤新一君と後々にこういうほどだ。


「組織壊滅以上に、赤井さんと降谷さんの話し合いの方が骨が折れた・・・」とーーー
でもその甲斐あって、今ではもうすっかり飲み友達と化していて、お互いに時間が合えば飲みに行ったり、宅飲みしたり・・・


もう妹のりゅうに会いに来ているのか、赤井と飲むために来ているのか分からないくらいだ。


「まぁ、いいや。じゃあ今日の帰りにお酒でも見に行く?」


「そうだな・・・、いや。後日買いに行くとしよう」


「え?なんで?」


「お酒を買うなら車での方がいいだろう?今日は歩いて出掛けようと思っていたからな」


「・・・だからどんだけ買い込む気よ?」


赤井の言葉に、溜息を一つ吐いて立ち上がった。


「お待たせ」


「じゃあ行こうか。お姫様」


チュッと手の甲へと小さく口づけを落とし、フッと笑う赤井。一気に顔を真っ赤に染めたりゅうはフイッと顔を背けた。


「気障っ」


「くくっ、相変わらずお前はすぐに真っ赤になるな」


サラッと髪を撫でられて頬へと手を置く赤井。そして今度は唇に口づけを落とした。


「んっ・・・・」


いきなりの事でも、彼の突拍子もないその行動に驚きはしないが慣れる事はない。更に顔を朱に染めるりゅうに、赤井は満足気に笑った。


「りゅう!」


外へと出てすぐに、会いたくない人物に会って顔を顰めるりゅう。


「ちょっと!そんな嫌そうな顔しないでよ!」


もう!傷つくでしょ?と困ったように笑うのは佐藤だ。


「あんた何してんの?」


「私はちょっと今事件の捜査中で・・・」


そこまで言ってチラッとりゅうの隣に居る赤井へと視線を移した。それに気が付いた赤井は小さく会釈をする。佐藤もそれにつられる様に会釈しりゅうの手を引っ張った。


「ちょっと、りゅう・・・」


「何?」


赤井から少し離れた位置でコソッと耳打ちしてきた佐藤に、溜息を吐けばいきなり言われた言葉に呆れた。


「彼、本当にあの沖矢さんだった人?全然雰囲気も面影もないけど・・・」


「そんなのあったら、変装してた意味ないでしょ?」


そんなどうでもいい話ならまた今度ね。とりゅうは彼女から離れた。


「あ、そうそう、りゅう!今度いつ空いてる?ご飯でも行きましょうよ!」


「あー・・・また連絡する」


「絶対よ?じゃないとまた、連絡来るまでメール攻撃だからね!」


「ハイハイ」


仕事中なら早く仕事に戻れ、と手をシッシッと振れば「そんなに邪険にしなくてもいいでしょ!?」と苦笑いされた。


「あ、りゅう!」


「今度は何?」


去ろうとしたりゅうと赤井の背へとまた声を掛けた佐藤を、振り返って見ればある男の写真を見せられた。


「この男、今逃走中なんだけどこの辺りで見失っちゃって、もし見かけたら連絡頂戴」


「・・・・捜査協力しろと?」


「連絡くれるだけでいいから!ねっ?」


嫌そうな表情を浮かべるりゅうに、佐藤は申し訳なさそうに笑って「お願い!」と両手を顔の前で合した。


「・・・因みにこの男は何をしたんですか?」


今まで黙っていた赤井が質問すれば「・・・喋った」と小さく呟く佐藤。そりゃ喋るわ!と小さくツッコみをりゅうが入れた。


「殺人未遂よ。今朝未明に、ある家へと空き巣に入った犯人がたまたま起きてきた住人を刺し重傷を負わせ、鍵の束と顧客名簿を奪って逃走したの」


「鍵の束?」


「その家の主人は有名な鍵師でいくつもの家の鍵を所持していたみたいでね」


「なるほど。その盗んだ顧客名簿と鍵で新たに空き巣に入る為の家を狙うため・・か」


「えぇ。そしてさっき住人からの通報でその犯人らしき男を捕まえたんだけど・・・」


「・・・捕まえたのに、逃がしたの?」


佐藤の言葉にりゅうは「馬鹿じゃない?」と冷めた目で見る。「うっ・・・;」と言葉を詰まらす佐藤に赤井がコツンとりゅうの頭を小さく小突く。


「刑事さんたちにも色々事情があるんだろう。そう言ってやるな」


「・・・色々事情が、ね」


「あはは・・・;ただ単に、逮捕する瞬間持ってた催涙スプレーをかけられちゃった刑事が居たってだけなんだけどね」


全く、いっつもツメが甘いんだから!と少し怒っている佐藤を見て「あぁ、高木さんか」とすぐに察したりゅう。


「まぁ、そういう事だから!見かけたらよろしく!」と言って佐藤は去って行った。


嵐が去った。とりゅうはげんなりした様子で項垂れていて、赤井はそんな彼女を見て喉を鳴らしていた。


「んー!気持ちいいね!」


近くにある川が流れている公園へとやってきたりゅうと赤井。青空に水の流れる音、そして気持ちいい風が流れて、りゅうは伸びをしながら後ろに居る赤井へと振り返った。


「そうだな」


シュッ、とマッチを擦って煙草へと火を点けながら赤井は笑顔のりゅうを見て、優しく微笑んだ。


「・・・・あれ?」


「どうした?」


川を眺めていたりゅうが何かに気が付き首を傾げたのを見て、赤井も不思議に思い彼女へと近づこうとした。


「お、おい・・・」


いきなり、ジャブジャブと川へと入っていくりゅうに、ギョッとしながら止めようと手を伸ばすが「大丈夫大丈夫、サンダルだし今日はいい天気だからすぐ乾く」と言いながら歩みを進める彼女に「やれやれ」と小さく溜息を吐く赤井。


「・・・これ」


「どうした?」


ある程度の所で止まり、水面へと手を伸ばしあるものを拾い上げた。それを見て赤井は目を細めた。


「・・・鍵の束に見えるけど」


「奇遇だな。俺もそう見える」


あー!もう!折角忘れようとしてたのに!!と頭を抱えるりゅうに、赤井は辺りを警戒した。


「りゅう、すぐにそこから上がってこい」


川から上がるようにと、手を差し出す赤井に「うん」と頷きながら手を伸ばそうとしたその時ーーー


「ソレを返せ!!!」


流れている川の間にある草に気配を殺して隠れていたのだろう。男が血に汚れたナイフを振りかざしながらりゅうへと迫っていた。


赤井へと手を伸ばしていた腕を引っ込め、後ろへと避ければ男はりゅうの方を向いてさらにナイフを振り上げた。


「っ・・・・・」


それも避けようとしたりゅうだったが、血濡れたナイフを見てヒュッと息が一瞬出来なくなる。


「りゅう!」


その瞬間、赤井はすぐさま男へと蹴りを繰り出し、彼女との距離取らせ、二人の間に立つ。


「あっ・・・ごめん」


背へと庇う様にりゅうの身体を男から隠せば、りゅうはハッとしてバツが悪そうに俯いた。


「気にするな。大丈夫か?」


「うん・・・」


「りゅう、さっきの刑事に連絡するんだ」


「ああ、そうだね」


川から出て、秀一と犯人とで睨み合っているのを少し離れた位置で見ながら佐藤へと電話を掛けた。


<もしもし?>


「あ、佐藤?あんたがさっき言ってた男、○○公園の川に居るよ」


<!!分かったわ!すぐにそっちに向かう!りゅう、犯人は人を刺して興奮状態にあってとても危険よ!私達が行くまで無茶はしないで・・・>


到着を待つように、と佐藤が言おうとした所でりゅうが「あー・・・」と気まずそうな声を発した。


<りゅう?>


「うーんとね、ゆっくりでもいいよ」


<はっ!?そういうわけにはっ・・・>


「だって犯人もう・・・伸びてるし」


<えっ!?>


「・・・というか、」


<何!?>


「早く来ないと溺れるかもね」


<ええっ!?>


川の中に気絶した男をそのままに、赤井は川から上がり濡れた靴下を脱いでいた。


「りゅう、大丈夫か?」


フワッと優しく笑いながら歩み寄ってくる赤井に「うん」と小さく呟き笑顔を返すりゅう。


「刑事は?」


「あぁ、すぐ来ると思うよ」


早く来ないと溺れるって言っておいたから・・・。と言いながら川に浮いている男を見ようとすればそこに男の姿はなかった。


「あれ?」


「あぁ、流されたな」


「いやいやいや、流されたな、って何冷静に言ってんの!?」


シレっと当たり前のように言う赤井にりゅうは慌ててツッコんだのだった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(りゅう−−!!)
(あ、佐藤。丁度いいところに・・・)
(犯人は!?溺れるってどういうこと!?)
(なんかね、ちょっと目を離した隙に流れてっちゃったみたいで・・・)
(流れっ・・・!!?)
(今から探しに行こうとしてたんだけど、後は任すね)
(ちょっ、ちょっとりゅう!!?)
(協力してあげたんだから、事情聴取は受け付けません。じゃね)
(佐藤さーーん!!)
(高木君!!他の皆も!早く男を探して!!川で流れてっちゃったみたいなの!!)
(ええっ!!?)
(まぁ、心配はないだろう。表を向けておいたから呼吸は出来る)
(ほっ・・・、それなら溺れ死ぬ事はないわね)
(ただ、岩などの障害物に当たった時の弾みでうつ伏せになる可能性はあるな)
(やっぱり大至急さがしてーーーー!!!)
(くくっ・・・)
(秀一・・・・、あんたね;)
(お前を少しでも怖がらせたんだ。これくらいやっても罰は当たらんだろう?)





沙羅様!この度はリクエスト企画にご参加頂きありがとうございます!
リクエストで、二人で捕まえる、との事でしたが赤井さん一人で捕まえてしまいました・・・。違う話がいい、などの事がございましたら遠慮なく言ってくださいね!!沙羅様のみ、書き直し依頼承ります!
はじめて、組織壊滅後のお話を書いたんですが・・・楽しくて!(笑)
壊滅した後の話だったり、その辺のお話を書きたくなりました(笑)新しい楽しみが・・・早く壊滅話まで本編を持っていきたいです^^
本当にありがとうございました!このようなサイトではありますが、またぜひ!いつでも遊びに来てください!



           →おまけ

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