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嘘のような出来事



「・・・・・・」


目を開ければ見慣れた天井。


夢か・・・とすぐに察したのは、夢の中でもしかして・・・と思っていたから。


意外に楽しかったな、と思いながらフッと小さく笑えば「珍しいな」と隣から聞こえてきた声にそちらを向いた。


「起きてたの?」


「ああ、暫くお前の顔を見ていた」


「・・・・そんなもん見てないで寝なさいよ」


「くくっ、随分と楽しげだったからつい、な?」


ポンポンっと頭を撫でながら赤井は優しく笑った。


「どんな夢を見ていたんだ?」


「うーん・・・忘れちゃった」


ふふっと、笑いながら彼の胸元へと抱き着けば、それに応えるように背に腕を回して抱きしめてくれる彼。


「それは残念」


「でも、あなたの夢・・・」


「俺の?」


「あなたと・・・お兄ちゃんと・・・もぅ、ひと・・り」


話しながらウトウトとするりゅう。最後まで言い切らずに彼女はまた夢の中へとおちていった。


「・・・ゆっくりおやすみ」


チュッと額に小さく口づけた後、赤井はりゅうの言った言葉を繰り返した。


「俺と、降谷君ともう一人、か。・・・スコッチ、もしかすると君かもしれんな」


今は亡き、助けたくとも助けられなかった男を思い浮かべた。


「・・・まさか、な」


もしも彼が生きていたら・・・りゅうと出会っていたら、もしかすると彼がりゅうとこういう関係になっていたかもしれない。


「・・・彼は人を惹きつけるものを持っていたから、もしかすると・・・」


もしそうなったとしても、もう手放せないな。と苦笑いを浮かべながらりゅうを自身の腕で抱きしめ、赤井もまた眠りについたのだった。


       チャンチャン


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