我ら、報復の為に死に至りて


「ふ、ぁぁ〜……」




学校、屋上。
学校が終わるまで俺はずっとここで眠っていた。
登校しないと一心が煩いが、登校すればテストテストと煩い。


―――俺はテストは嫌いなんだ!




「奏司!」

あ゛?

「っ」

「隊長、朽木さんです。霊圧抑えて」

「!
っああ…ルキアか。悪い」




やっかいな教師かと思った。
霊術院でもたまにこうやって黙らせてたからな…。




「昔の癖でつい…な」

「い、いや……それで、相談なのだが」




俺の隣に腰掛けたルキアが言う。
〈滅却師とは何だ〉――と。



―――滅却師…ねぇ。




「……ハァ…」

「知っているなら教えてくれ!頼む!もしかしたら一護が面倒に巻き込まれておるかもしれんのだ」

「滅却師……。
俺も久しぶりに聞くんだが…まあ、いいか」




すっと起き上がり柵に肘をつきながら話す。
蜂陳は俺のカバンの上で丸まっている。
すっかり寛ぎモードだな、オイ。




「滅却師、嘗て世界中に散在していた対虚戦に特化した退魔の眷属…そして200年前に滅んだ一族だ」

「滅んだ…」

「ああ。今で言う一護の様な力を持つ人間たちが虚の存在に気付き、それに立ち向かうために修行を始めたのが始まりとされてる。
勿論死神と同じ様に虚を倒す為に始めた修行だが……死神と滅却師には決定的な違いがあったんだ」




そしてそれは昔から両者の間に深い溝となって横たわってきた。
同じ力だったら手を取り合えたのかもしれないが……滅却師の力はそうもいかなかったのだ。




「違い?何だ、それは」

「虚を滅却するころす昇華するころさないかだ」

「!」

「虚を斬魄刀で浄化して尸魂界へ送ろうとする死神に対し…石田たち滅却師は徹底的に虚を殺す事に拘ったんだ」




考えて見ればそれは至極人間的な判断だった。
虚は人間の魂を喰らう。

―――仲間や身内を傷つけ殺した虚をどうして安らかに尸魂界に送らねばならないのか。

そう思うのは人間にしてみれば至極当然のことなわけで……。
だから滅却師は信念を持って頑なに虚を殺そうとした。
仲間の仇を討つ――その信念ゆえに滅却師は滅ぶ事になったんだ。




「…ん??」

「どうした?」

「………これは、」




ピピピッ




「くそっ!虚か!!こんな時に!すまぬ、奏司!続きは、また…、






反応が、消えた…?」




一護の奴えらく手際のいい…、とルキアは言うが違うが手際どころの話じゃない。


―――こ、れは……。

再び鳴りだし止まる、という動作を繰り返す伝令神機はいかれたんじゃない。
正常に作動し、正常に指示を送っている。




「な…何だこれは…!虚の数が…どんどん増えていく……!!何だ…この空は…?何だ…この重く乱れた魄動は…?


何だ…!?一体何が起こっているのだ…!?」




―――………最悪だな。

ルキアを抱えて瞬歩で屋上から去る。
義骸で瞬歩はキツイものがあるが致し方ないだろう。




「ルキアは一護と合流しろ」

「奏司はどうするんだ」

「手当たり次第――昇華おわらせる」

「!!」




来た以上、斬って送ってやるよ。
それに…いつも言ってるだろ。




「面倒事は……キライだ」




さっさと終わらせるに限る。




「行くぞ、蜂陳」

「はい、隊長」














サァ…ッ




白に十四の文字が、風に靡いた。




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