Wasted but Wanted


「よく跳ねる高校生!?知らんのォ…見た事もないわい」

「そうか…」

「お――い」

「ほいじゃが、野菜を買うてくれりゃ思い出すかもしれんのォ…」

「本当か!」

「おいっ!!」




今日のザ・オススメは1個4500円のメロンだとか。
高いのか?安いのか?どっちなんだ。
安いなら買ってでも聞き出すが………。




ガシッ、ズルズル




「あそこの八百屋のジジイはいつもああなんだよ!訊くなら他の奴にしろ!」




―――なんだ、騙されていたのか。

買わなくてよかったな…。
いや、まあ、俺は買えないんだが…まあいい。




ピピピ、




「何だよこんな時に!?まさか指令だとか言うんじゃ…」

「残念だかそのようだ!5分後に虚!近いぞ!!」




走り続けていればこの方向は遊子たちが通う小学校だと言う事が分かった。
……子供を襲う気なのか。




「見えた!」

「あれか!?……?
まてよ…もうスデに誰か戦ってんじゃねぇ…、!!」

「む…!あれはもしや改…「…あのボケェ…!!」あッ!?おいコラ一護っ!?」

「ルキア、」

「奏司…」

「見ておく事にしようぜ」

「だが…!」

「いいから」




―――一護がどうするか見物だろ?

虚はまだ弱い奴だ、そんなに急く必要もない。
それに―――。




「近付きたくない…」

「…何?」




気持ち悪いだろ、アレ…!
何だアレ、幼虫?幼虫なのか?
俺はああいうのが苦手なんだ…!
あいつ元人だろ?よくあんなフォルムで満足出来るな…。




「誰だか知らねーが…弱えェくせに出しゃばってんじゃ…ねェよ!!」




改造魂魄相手に伸ばされた触手が一護の斬魄刀により斬られる。
それと同時に一護は自身の胸元に掴みかかった。




「てンめ、この怪我してんじゃねぇか!!誰の体だと思ってんだコラァ!!こんな雑魚にそんな血塗れにされるぐらいなら戦おうとかすんじゃねぇよ!!」




ザスッ!

虚は見向きもされぬまま斬魄刀に突き刺された。
幼虫型とは言え可哀相だがそんなことはいい、早く倒せ一護!
俺の目の前からその幼虫を消してくれッ!!!




「…ギ…くそォ…てめェら…2人まとめて喰ってやるァ!!」

「「うるせェ!!」」




……喧嘩していたのが一転、虚相手に同時に攻撃した。
案外仲がいいんじゃないのか?

だが虚が倒れる前に改造魂魄が動き出す。
そして虚を下から蹴り上げると屋上から落下。




「バッ…カやろ!」




ガシッ




「大丈夫か?」

「ナイス奏司!!」




一護の体を抱き上げると屋上へ戻る。
この改造魂魄はアリの行列を守ろうとしてあんな無茶な行動を取ったらしい。
これを潰さないように聖者の様な行動を取ったのか、という一護に改造魂魄は、そうだ、と言った。




「悪ィかよ!俺は…俺は何も殺さねぇんだ!!」

「「………。」」

「…俺が作られてすぐに尸魂界は改造魂魄の破棄命令を出したんだ…。そして造られた次の日にはもう、俺は死ぬ日付が決まってた!
俺はあの丸薬の中で毎日怯えてたよ。まわりの仲間が1日毎に減って行くのを見ながら。
運よく他の丸薬に紛れて倉庫から抜け出せた後もいつか見つかって破棄されるんじゃないかとビクビクしてた。…ビクビクしてる最中ずっと考えてた…。

―――命なんて他人が勝手に奪っていいモンじゃねぇんだ、って…。

こうして生まれてきたんだよ!自由に生きて自由に死ぬ権利ぐらいあるはずじゃねぇか!!
虫だろーが人間だろーが…俺たちだって…同じだ…。だから俺は殺さねぇ…何も…殺さねぇんだ…!」

「「………。」」




そんな時見知った気配を感じ振り向けば其処には喜助がいた。


―――そうか……回収しに来たのか。

なら邪魔するわけには行かねーな。
一護の気持ちを汲めば助けてやるべきだが、〈掟〉だからな………。
面倒な事になってみろ、責任問題だぞ。




「や――っと見つけたと思ったらボロボロじゃないスか。こりゃ用意した道具、殆ど無駄になっちゃったっスねぇ…」

「…あ…」




無慈悲に伸ばされた杖がトン…と一護の額を付く事は――なかった。
何故なら俺が杖を掴んだからだ。




「!
あ、何するんスか、勾宮サン!」

「どうせ連れ帰った所で破棄するんだろ」

「そりゃそうっスよ」

「ちょっと待て!
…奏司が…見えるんだな…。何者だ、あんた…?」

「はて、何者かと聞かれましても…」

「「強欲商人だ」」




ちょっと悪いな、と一護から義魂丸を抜く。
そしてルキアに投げ渡す。
元々ルキアの買ったものだ。
あいつが好きにすればいい。

それに今更罪がどうのといわれたって俺はもう罪人だから関係あるもんか。




「くっ…朽木サン!駄目っスよ、それ返してください!」

「何だ?浦原。貴様の店は客に売った商品を金も返さずに奪い取るのか?」

「そ…そんじゃ仕方ない。金を…」

「必要ない。こちらはこの商品で満足している…それに元々が霊法の外で動いている貴様らだ。そうまでしてこいつらを回収する義理も無かろう?」

「……知りませんよ?面倒な事になったらアタシら姿晦ましますからね」

「心配するな、最近は面倒にも慣れた」




一護の手元に義魂丸を渡すとルキアが歩き出す。
俺も一護の体を一護に投げ渡し、歩き出した。




「あ…ありがとな…コイツ、捨てないでくれて…」

「必要ない。礼ならもう言われた」

「ああ、そうだな」

「……あ?」




多少、偉そうだったがな。














*おまけ*

《――今日午後1時頃空座町で空飛ぶ少年が…》

「…で…どうするよ、コレ…」

「「………。」」




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