The Superchunk


私は十四番隊が亡くなってから総隊長の意向で心のケアもかねて四番隊に預けられることになった。
はじめ四番隊には私の居場所はなくて、治療専門の霊圧とか殆どないから結構よそ者扱いで、とても寂しかった。
けれど今は皆優しいし、気さくに接してくれている。
烈さんも私の事を何度も気にかけてくれて何度も慰めてくれて、何度も間違った道に行こうとする私を止めてくれた。
感謝してる。
してるからこそ……今回は巻き込んだら駄目なんだって、思った。


―――だから、ごめんなさい。




「烈さん、勇音さん、花太郎くん、四番隊の皆さん、今まで……お世話になりました」




隊舎の前でそう告げて、私は駆け出した。


―――〈白道門〉。
そこに行けば……市丸隊長が、いるはずだから。
分からないけど、一緒に行こうと誘われた。
あれは西方郛外区に歪面反応が出て、廊下が煩くなった頃だった。




「しーらとーりちゃん♪」




私の名前を呼んで部屋に来た市丸隊長が読めない笑顔を浮かべて言った。




「一緒に行かへん?僕1人じゃ心細ぉて…」




意図は分からないけれど、今回はそれにわざと乗ってみることにした。
今はいけないけれど必ず行く、そう告げれば彼は、ほんま?嬉しいなぁ。んじゃ白道門の内側に来てな、と言って姿を消したのだ。
門の所へ行けば他の隊の人がザワザワと何かを語り合っているのが聞こえる。




「…旅禍は瀞霊門の外側に落ちたか……」

「あちら側となると我々の出番はありませんね…」

「ああ、何せ瀞霊門の外には…じ丹坊がいる。」




―――じ丹坊さん……か。














「さぁ、どっがらでもかがっで来い!小僧!」

「でかい…。何だあいつ…、あんなの人間の大きさじゃない……!一体何者なんだ……?」

「彼の名は〈じ丹坊〉といいます。尸魂界全土から選び抜かれた豪傑の1人で、この四大瀞霊門西門…通称〈白道門〉の番人をしています」




十四番隊は瀞霊廷の守護もやってますから(、というか主な仕事がそれなんで)知ってるんですけどね。
50年ごとに門番と勝負をして駄目だと感じたら門番を替える役目も負ってたんですよ。
その役目は専ら(霊圧を70%抑えられた状態の)副隊長で、判断するのは三席だったんですけどね。


―――え?隊長は何かしないのか?

あの人はいっつも室内で書類整理に追われてましたよ。
何故なら門番と3日3晩のフルバトルが繰り広げられるもんですから、12日ほど副隊長と三席がいないんですよ。
故に隊長が嫌々書類整理をしていたんですよね。




「番人…、てことは…中に入るにはあいつを倒すしかないって事ですね…」

「ああ。じゃが、そう容易いことではないぞ。何しろ奴がこの任に就いてから300年、奴の守るこの〈白道門〉だけは1度たりとも〈外敵に〉破られたことがないのじゃからな!」

「そ、そんなに強いんですか」

「あぁ、その斧の一振りで30体の虚を打ち殺したこともある伝説的な剛力の持ち主じゃ」




夜一が黒崎さんを呼び戻して作戦を練ろうとする。
だが井上さんと茶渡くんは話を聞かず走って行ってしまう。




「コラー!織姫!チャド!儂の話を聞いとらんかったのかお主ら!?戻れ!もーどーれー!」




夜一は叫ぶが2人には聞こえていない模様。
その瞬間、じ丹坊が2人に気付き斧を振り下ろす。




ガ、キィッ!




風圧で地面は抉れたものの斧は宙に足を付けた隊長に受け止められている。
刀身細いのによく受け止められますよね、隊長も副隊長も異常ですよ。
(自分も異常だと言うのに気付かない蜂陳だった。)




「久しぶりだな、じ丹坊。コイツらに手出しはさせねえよ……」

「お前は…!勾宮隊長でねえが!何時戻って来でたんだべ?ここ100年ばっかし門の点検がねえがら退屈でなぁ…」

「あーそれは悪かったな。守里には後で言っとくぜ。

……とりあえず、俺らの現リーダーはそこのオレンジ頭だ」

「オイ!!誰がオレンジ頭だ!!」

「(無視)

ルールはアレだろ?1つ、外から帰ったら手を洗う。2つ、床に落ちた物は食べない。3つ―――決闘するときは1人ずつ。分かってる、忘れてねえよ」




刀を軽く振ってじ丹坊の斧を刀から払った隊長が井上さんと茶渡くんに向かって刀を構え笑う。
ああ…考えただけでも恐ろしい。




「いいな?」

「え…でも…」

 いいよな? 

「「…ハイ」」




隊長は面倒なときに霊圧使って脅してくるんです。
なのでそれでも従わなかったら本格的に脅しをかけてくるので気をつけてくださいね。




「奏司、お前が止めるとは思っとらんかったぞ」

「は…?」

「ん?」

「止めたんじゃねえよ。どうせ通れないに決まってるだろ」

「何故じゃ?」

「いや……門の向こう、絶対誰かいるだろ」




隊長は、面倒くせぇ…、と言わんばかりの顔で刀を鞘にしまい、扇子に戻した。
その後黒崎さんとじ丹坊は暫く戦っていたが、黒崎さんの圧勝で勝負は着い模様。
途中じ丹坊が笑ったり泣いたりしていましたが……まったく理解が出来ませんでした。
何故なら先ほど隊長とじ丹坊の刀と斧がぶつかり合ったとき地面がかなり隆起したので。




「通れ!白道門の通行をじ丹坊が許可する!」

「お……おうっ!」




じ丹坊は正式に門を通してくれるらしい。
まあ、彼は負けたら潔く門を開けますからね。
それに……悪い奴じゃないと判断したのでしょう。




「黒崎…っていうだか、お前え」

「ああ、黒崎一護ってんだ」

「いちごか…ずいぶんと、まあめんこい名前だなや…」

「うるせえよ!!一等賞の〈一〉に守護神の〈護〉だ!めんこくねぇっ!!」




黒崎さんがそんな話をしていた時、隊長がじ丹坊を呼んだ。




「どうしだ?」

「……俺の噂はどうなってる」

「!
ずっと…薄れるこどはねえ。皆、お前えの事悪い隊長だと噂してる」

「………。」

「でも、信じでた」

「?」

「オラはお前えの事信じてだ!」

「じ丹坊………」

「お前えと直接会って話した事は数えるほどしかねえ。薬師寺副隊長みてえな優しくてめんこい子が慕う隊長があんな事するはずがねえってオラは…!」

「…ありがとな、じ丹坊。この騒ぎが終わったら守里と遊んでやってくれ」

「ああ…!
……そんじゃ、一護……気ィつげろや…。お前らが何のためにごの門をくぐるのが知んねえがごん中は強ええ連中ばっかだど!」

「わかってるさ」




頷いた黒崎くんを見てじ丹坊が門に手をかけた。
重い門を一気に持ち上げた瞬間、じ丹坊が声を震わせ動きを止めてしまう。


―――この、霊圧は……!




「さ…三番隊隊長……市丸ギン……」

「あァ、こらあかん」




一瞬にして、じ丹坊の左腕が―――斬れた。
そのまま鮮血を散らし落ちてゆく腕を見ながらゆっくりと武器に触れる。
これは一種の自己防衛であり、意思表示でもある。


―――何かするのならば―――お相手しましょう。




「門番は門開けるためにいてんのとちゃうやろ」




初めから又厄介な相手が来ましたがどうせここから入れるとは初めから思っていませんから。
それに……またどうして貴方が……。




「――…白鳥、」

「………」




すっと眉を下げた白鳥が刀に手をそえた。




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