瑠香の勝利に終わった星戦。
チェルベッロは彼女の勝利を認めると口を開いた。




チェルベッロ「では明日の対戦カードを発表します」

チェルベッロ「明日はいよいよ争奪戦、守護者対決最後のカード、雲の守護者の対決です」

リボーン「ヒバリの出番だな」

芽埜「ん?ちょ、ちょっと待って!!

守護者最後って…ええっ!?」

獄寺「あ!夜戦はどーなってんだ!?」




芽埜と獄寺が声を上げる。
すると……




チェルベッロ「夜の守護者であるお2人には時期ボスとなったお方に決定権がございますので」

チェルベッロ「紀本様、シエラ様が戦闘をする事はありません」

芽埜・獄寺「(何だソレ―――!!!)」




そういう答えが返ってきた。




リボーン「おい、XANXUS、どーするんだ?
次にヒバリが勝てばリングの数の上では6対4となり、すでにお前が大空のリングを手にいれているとはいえツナ達の勝利は決定し、夜の守護者として芽埜が就任するぞ」

ベルフェゴール「!」

ツナ「え……?」

山本「そーいやぁ」

リボーン「そん時は約束通り負けを認め、後継者としての全ての権利を放棄するんだろーな」

XANXUS「あたりめーだ。ボンゴレの精神を尊重し、決闘の約束は守る。
雲の対決でモスカが負けるようなことがあれば全てをてめーらにくれてやる」




芽埜と鈴音はXANXUSの笑みに何か引っかかりを覚えたがその後解散になった。
XANXUSにはモスカが絶対に勝つという自信があるということを、頭に刻んで。




     *     *     *




「君はどう思う?鈴蘭」

「………。」

「ほら、その可愛い口でいいなよ」

「…………。

何を、どう思えというの」

「XANXUSのことだよ。どう思うんだ?」

「………。


殺すわ。<あの子>に手を出すならば。」

「「よろしい」」




     *     *     *




その夜、芽埜が家に帰るとシャランが芽埜の部屋でランスの淹れた紅茶を飲んでいた。




芽埜「なんでいるの――!!?」

ランス「お帰りなさいませ」

芽埜「あ、……えと、ただいま?」

シャラン「わたくし、話したい事があってここに来ましたの」




そう言ってシャランがティーカップを置く。
芽埜は自身の目の前に置かれた紅茶に砂糖を入れようとした手を止める。




シャラン「ボンゴレリング、おしゃぶり、そして<マーレリング>。
それが世界を作り出した3つのものですわ。


―――それを<トゥリニセッテ>といいます」

ランス「おしゃぶり、マーレリングに<夜>の属性は<ありません>」

芽埜「え…?
で、でも、ボンゴレリングは<夜>だよね…?」

シャラン「初代夜空は、U世の代まで守護者として働いたそうです。でも、それは<夜>の守護者としてだったと言います」


芽埜「どうして?」

シャラン「初代夜空にとっての<大空>がではないからですわ」




その言葉に芽埜が目を見開く。

自身のリングは<夜>。
それはつまり芽埜にとっての<大空>が<ツナ>ではないということか?




シャラン「貴方のリングが<夜空>になるかどうかは、そこなのですわ。
貴方が真に<ボスに相応しい>と沢田綱吉を認めれば<夜>のリングがきっと<共鳴>してくれると思いますの。

夜のリングの表面には何も書かれていないでしょう?」




芽埜のリングは半分の状態でも確認できた模様がない。
真っ黒に塗りつぶされたかのように<何もない>のだ。




芽埜「リングを完成させたら…リングが共鳴してくれるの…?」

シャラン「まあ、予測ですけれどね」




そうなったらこのリングは一体どうなるというのだろうか。




     *     *     *




瑠香「先輩!」

雲雀「やあ」




その頃瑠香は雲雀からメールが入ったので応接室へとやってきていた。
どうやら彼は応接室から試合を見ていたらしい。




瑠香「か、勝ちました。
見ていて……くれましたか?」

雲雀「うん」

瑠香「(見ていて、くれたんですね……)
あっ、あと、明日……先輩です」

雲雀「うん」




あとは、あとは、と一生懸命話題を探すものの出てこない。
瑠香は出てこない言葉を絞り出すことはできず、黙り込む。




瑠香「お、お茶入れましょうか!」

雲雀「今から?」

瑠香「あ…えっと………」

雲雀「くす、」




雲雀は軽く笑うと、椅子から立ち上がり瑠香に近寄っていく。
そして……




―――すっ




瑠香「…!」




瑠香の目の前に手を差し出した。
雲雀の目は<早くしろ>と訴えているかのようで、瑠香は彼の手を取る。

外に居た自分とは違い温かい手。
雲雀の熱を感じて瑠香は自分が生きているのだと、感じた。




雲雀「送るよ」

瑠香「は、はいっ//」




特別な事なんて何もいらない。
ただ彼女は……




瑠香「ふふっ」

雲雀「なに?」

瑠香『何でもありません♪』

雲雀「?」




雲雀のそばにいたいだけなのだ。
彼のそばに、ずっと………




     *     *     *




ツナ「おとといから用があったみたいだけど…帰って来てるかな……?」




翌日、ツナは中山外科医院に来ていた。
リボーンが<モスカが絶対に勝つ自信があるのだ>というから、雲雀が負ける夢を見てしまったのだ。




「そこ、何してるんだ!!」




ガラス張りのドアに張り付いて中を見ている怪しい人になっているツナに声がかかる。
言葉を投げかけられたツナは肩をはねさせて、スイマセン!、と謝ったが……




「ちょっと琉輝。おふざけが過ぎるわよ」

琉輝「ハハ、すまん。

綱吉ー、俺だぜ?頭上げろよ」

ツナ「あ、琉輝さ」




―――ガンッ!!




ツナ「Σん゛っ!!?」




ツナの頭に当たったドア。
中から現れたのはおとといから病院にいた……




「……ボス」




クロームだった。
琉輝は昨日、用事があって黒曜に帰ったのだがやはり<安静>ということもあり病院に帰ってきた次第だ。




ツナ「えと…あの…、な…何て呼べばいいかな、クロームさん…?ドクロ…さん?」

クローム「どっちでも」




素っ気ない態度で去っていくクロームに、ツナも距離を掴みきれない様子だ。




鈴音「凪、何処に行くの?」




―――ピタッ




鈴音が話しかけると彼女は戸惑った顔でこちらを振り向く。




クローム「犬と千種がどっか行っちゃって…………」

ツナ「え……(そーいや置き去りにされてたもんな…)


そ…そっか…。
あの…昨日は戦ってくれて…」




お礼を言おうとしたツナに対し、クロームは全速力で走り去っていった。
クロームはお礼など一切聞いていない。

自分の目的に一直線だ。




琉輝「ドンマーイ」

ツナ「え、えっと…はい。あの、あとでお礼伝えておいてください。


琉輝さん達は何で?」

琉輝「昨日用事があって黒曜帰ってたからさ、戻ってきた」

鈴音「僕はその付き添い」

ツナ「へえ…」




3人はドアを開け医院の中へと入っていく。
そして用事があるというディーノ及びロマーリオを探した。
その時。




「どーだ、ロマーリオ」

「!」




ある一室からディーノの声がかすかに漏れてきているのがわかる。




「変化はねーな…。だがボス、どのみちこれ以上ここには……」

「わーってる!今日中…いや、昼までには何とかする」

「………(ディーノさん仕事かな…。…なんか忙しそうだな…)」




ドアを開き3人でそーっと中に入ろうとすると……




「誰だ!」




ディーノとロマーリオの2人にバレてしまった。




琉輝「来いって言われたから来たんだけど」

ディーノ「そ、そうだったよな!ハハッ、すまねぇ。

ツナ、早ぇじゃねーか!」

ツナ「おはようございます!眠れなくて…あの…(よかった……。いつものディーノさんだ……)」




ツナは先程のディーノの剣幕と違う彼を見て少しホッとする。




ディーノ「どーせ、俺から恭弥の調子でも聞き出そうってんだろ?」

ツナ「い゛っ(す…するどい!)」

ディーノ「茶でも入れてやる…。こい」

ツナ「あの…でも忙しそうだし…」

ディーノ「弟分と話す時間ぐらいあるぜ。

………ん…、クロームって娘……消えてら」

ツナ「あ…、さっきでていきましたけど…」

ディーノ「そか…。


そりゃあ恭弥が負けたら全部終わっちまうんだし、心配だよな。
こいつらも心配なのか暇なのか………同じこと聞きにきたぜ」




ディーノの後をついていけば、とある部屋の前で立ち止まる。
ドアを開けば、ぐっすりと眠っている獄寺、山本、了平、芽埜の姿があった。
ツナが大声を上げても起きないところを見ると爆睡しているのだろう。

机の上には個人の持ち物であろう並盛牛乳のパックやタバコとその吸殻や名桜指定の学校カバンがある。




ディーノ「全員が自分のケガを見てもらいてーなんてもっともらしい口実つくってきたがな。
芽埜なんて怪我もねーのに」

ツナ「みんな…」

ディーノ「そんで安心したのか寝ちまいやがった」

ツナ「え…、じゃ…じゃあ…」

ディーノ「恭弥は完璧に仕上がってるぜ。家庭教師としての贔屓目なしにも強ぇぜ、あいつは」

琉輝「良かったじゃん」

ツナ「はい!

(あれ……?安心したら何だか俺も眠く…)」




「おまえは修業だぞ。今日中に死ぬ気の零地点突破を完成させるぞ」




ツナ・ディーノ「(ギクッ」




ウトウトし始めたツナに追い討ちがかかる。
振り向けばそこにいるであろうリボーンは……




琉輝「なあ、もしかしてそれ俺とか言う?言っちゃう?」

リボーン「言っちゃうぞ」

琉輝「………マジか」




銀髪のヅラを被って黒曜の制服を着ていた。
どうやら琉輝を意識したらしい。
その横にひょっこり現れたシャランは鈴音の格好で、そのまた横に現れたランスは亞琉の格好だった。




ツナ「つか、何言ってんだよ!!
今日の勝負で決まるんだぞ!!もう俺が修業する意味なんてないんじゃ……」

リボーン「最終決戦だからこそだぞ。おまえ、もしもの時どーすんだ?」

ツナ「(!!、もしも…?)」




     *     *     *




その頃イタリアのオレガノ、ラル、ターメリックの3人は屋敷内に侵入していた。




ターメリック「そっちはどーだ、オレガノ!」

オレガノ「ダメ!誰もいないわ…」

ラル「こっちもちがうな」

オレガノ「そう」




未だに帰って来ない親方様と総督様、つまりは家光と東眞のことを心配して入ってきたのだ。
3人で2人を捜索中だがなかなか見つからないところを見ると奥の奥まで行ったらしい。


そんな中オレガノが扉を発見し、扉を開ければ、何かの施設の様な場所が現れた




ターメリック「塗りつぶしているが、こいつは旧イタリア軍の兵器に関するレポートだな」

オレガノ「!?、軍!?なぜそんなものが………」

ターメリック「噂だとばかり思っていが…。
大戦後…イタリア軍が隠滅しようとしたワケありの研究を裏でマフィアが買いとったと聞いたことがある…」

オレガノ「そんな…。
じゃあ、この施設はまさか…」

ターメリック「つい最近まで稼動していたようだな」




3人で手分けして資料を探す。
そんな時……




ラル「おいっ!どうやらここで作っていた兵器ってのはヴァリアーに届けられたようだぜ……」




ラルの口から衝撃的な言葉が飛び出た。




ターメリック「なに!」

オレガノ「何を考えているの?9代目は……。
こんなものを何に使おうっていうの!?」



オレガノが持ったレポート。
中を見ればそれはロボットの作製のレポートで、そのロボットは<ゴーラ・モスカ>と<酷似>していた。




     *     *     *




レヴィ「ぬ…(不気味な………)ボス…そろそろ時間です」

XANXUS「フッ、血が騒ぐかゴーラ・モスカ………。期待している」




―――グォングォングォン




モスカは機械音を慣らしながらシューッ、と煙を出し、返事をする。

シエラはそれを見つめ……否、直視する事も出来ずにこっそりと涙した。
<彼女>はことの<真相>を知っていたのだ………




     *     *     *




修行の最終段階はかなり危険らしくツナは苦戦中だった。




バジル「さ…沢田殿!!大丈夫ですか!!」

芽埜「綱吉!平気!?」

ツナ「あ……あっぶね〜〜」

リボーン「ヘタしたら死ぬとこだったぞ。バカツナ」

ツナ「んぎゃ!!!」




ガッとリボーンに蹴り飛ばされたツナが尻餅をつく。




リボーン「余計なこと考えてたな」

ツナ「いでっ!!追いうちかけんなよ!!」

リボーン「………」

ツナ「つーかまだやんの!?もう行かないとヒバリさんの試合が始まっちゃうよ!!」

リボーン「ヒバリの勝負は獄寺や山本達にまかせて、お前は技を完成させることだけに集中しろ」

ツナ「そんな!!本気で言ってんのか!?」

リボーン「俺は本気だ」

ツナ「え……?リボーン…」



リング戦が始まる、とツナは抗議したがリボーンは技が完成しなければ行かせるつもりはないらしい。


彼はくるりと振り返ると芽埜に視線をよこす。




リボーン「芽埜、お前はどうする?
お前は見に行っても構わないんだぞ。修行は終わってんだろ?」

芽埜「修行は、シャランちゃん曰く<十分>らしいんだけど………残って、いい…?
芽埜は、綱吉を見ていたい」

ツナ「え……?」

芽埜「(綱吉が、本当にボスに相応しいかを…見ていたいの)」



それが<夜空>に為るきっかけならば。

芽埜はそう思ってツナを真剣な目で見つめた。




     *     *     *




獄寺「いいかてめーら!!何が何でも勝つぜ!!」




その頃並中では獄寺がそう息巻いていた。
だが主役はまだ登場していない。




鈴音「何言ってるの?」

山本「そーそー。何言ってんだ?戦うのヒバリだぜ」

了平「お前がいきりたってどーするのだ?」

獄寺「ぐっ、……んなこたわーってんだよ!!
十代目は俺らを信頼して留守にしてんだ。俺らの目の前で黒星を喫するわけにはいかねーだろーが!!」

琉輝「ハハハ!」

山本「変な理屈だな!」

獄寺「てめーらには一生わかんねーよ!!このっバカッ!!」

了平「タコヘッド!!俺もわからんがなぜか極限に燃えてきたぞ!!」




主役が来ていないのにこのはしゃぎよう。
鈴音は彼らを遠巻きに眺めて小さくため息をついた。

<彼らにはついていけない>。
そう思いながら。




「あれ、獄寺くんたち、何してるんですか?」

「君達……何の群?」




そんな時、やっと主役が登場した。




獄寺「んだとてめー!」

山本「まーまー。えーと俺達は…」

了平「応援に来たぞ!!」

雲雀「ふうん……消えないと殺すよ」




雲雀の言葉に了平までもが青筋を立てる。




了平「なんだその物言いは!!極限にプンスカだぞ!!」

山本「まーまー、落ち着けって。
俺達はぐーぜん通りかかっただけだから気にすんなヒバリッ、なっ」




今にも暴れそうな獄寺と了平を止め、笑顔で言う山本。
そこに瑠香が口を挟んだ。




瑠香「私も、精一杯応援しますねっ」



笑顔でそう言う瑠香に雲雀は暫く黙り込んだ後、ぽすん、と彼女の頭に手を乗せる。
そして……




―――ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ…




雲雀「(小動物………)」

瑠香「髪!!髪乱れちゃいますっ!!

先輩!?先輩、聞いてますか!?雲雀せんぱーい!!」




一心不乱に瑠香の頭を撫で回した。
獄寺たちはそれを見て雲雀の溺愛ぶりもここまでいったか…と苦笑を漏らす他なかった。




―――ザッ




その時、雲雀の後ろに現れたロボット、ゴーラ・モスカ。
彼はそれを認識すると、モスカに向かって構えた。




最後の守護者戦




「そうか…あれを咬み殺せばいいんだ」




ただ1つの単純な<意思>を込めて。





*前 次#
戻る



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -