追い討ちをかけるように<昔潰した流派>だと告げられる。
山本は肩を切られた時バランスを崩し座り込んでいた。




ツナ「時雨蒼燕流を昔、潰しただって…!?」




スクアーロ《剣帝という男を倒し、極めた剣を試すため、俺は強ぇ相手を探していた。

そんな折、細々と継承されている完全無欠の暗殺の剣が東洋にあると聞いた。


それが時雨蒼燕流。


見つけたぜぇ、継承者と弟子の3人をな。
貴様と同じ八つの型を使いやがった。だが所詮は古典剣術の亜流!!


すべての型を受け!!見切り!!切り刻んでやったぞぉ!!》




ツナ「そ…そんなことって!」

リボーン「恐らく本当の話だぞ。

スクアーロの技の見切りは反射レベルよりもう一ランク早い」


バジル「なんて奴だ…。山本殿の時雨蒼燕流まで」




アイス「……………

(スク、過信は……しないで。)」




驚きを隠せないツナ達。

ヴァリアー側ではアイスが1人、離れた場所からスクアーロの姿を見ている。
まるで、祈るように……。

己は鈴音と戦って自覚した。
自分の中に彼女よりも強いという過信があった―――と。

だからこそ、似たような状況にあるスクアーロを見つめる瞳には心配の色が浮かんでいるのだ。




そんな中、山本は驚いても諦めていなかった。




山本《聞いてねーな、そんな話…》

スクアーロ《ん゛ん?》

山本《俺の聞いた時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵なんでね》




リリア「あくまで時雨蒼燕流…とうわけですわね」

ディーノ「いかん!!」



スクアーロ《う゛お゛ぉい!!バカか貴様!!》

山本《やってみなきゃわかんねーって》

スクアーロ《もう、加減はしねぇぞぉ》




山本とスクアーロが同時に動き出し、再び開戦。


先手必勝。


スクアーロは刀を振ると同時に仕込み火薬を山本の近くに飛ばす。
そして火薬が爆破し出来た水しぶきに隠れ、柱の破片を飛ばした。


破片には気付いたらしいが避けられず、右目に当たり右目が使用不能になってしまう。




スクアーロ《う゛お゛ぉい!!動き出したらとまらねーぞぉ!!》

山本《くっ》




柱の破片が右目に当たり倒れてしまう山本に容赦なく向かってきたスクアーロ。
山本は五月雨を放つが、待っていたかのようにスクアーロはニヤリと笑った。




琉輝「(今、笑った…よな?)」




スクアーロは五月雨を刀で受け止めた。
その瞬間山本に異変が起こる。




そこにスクアーロの再攻撃。
山本は……




スクアーロ《死ねっ!!》

山本《くっ》




動かなかった。
否、動けなかったのだ。


右腕を左手で強く打ち、スクアーロの攻撃を避けようとする。
だが、遅かったらしく攻撃を食らってしまった。


山本は圧倒的不利状態に追い込まれてしまう。




マーモン「スクアーロが放ったのは鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)」



渾身の一振りを強力な振動派に変え、相手の神経を麻痺させる衝撃剣。




ベルフェゴール「自分の腕を撃って硬直を解くとは刀の奴もやるじゃん」

マーモン「でも鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)の衝撃は素手をバットで殴られるより強いんだ。しばらくあの手は使い物にならないだろうね」

ファレス「この勝負、貰ったも同然だな…」




アイス「………………」

ラッド「(アイ姐…)」




ラッドがアイスの姿を物悲しげに見つめる。
アイスはただ1人、ヴァリアー側で負けてしまっているのだ。

ゆえに気まずく輪から外れている。
もしこの勝負でスクアーロが死ぬようなことがあれば姉は……とそこまで考えてラッドは頭を振った。

最悪の展開など、考えたくもなかったのだ。




スクアーロ《どーした!顔色が悪いぞぉーっ!!》

山本《!》




スクアーロは山本に迫る。

山本はそれから逃げようとコンクリートの柱を利用し、2階にあがる。
2階に上がると右手を早く使えるようにしようと息を吹きかけ始めた。



その時……




―――ガガガガガ!!!




ものすごい音と共に足元のコンクリートが破壊され、スクアーロの剣がすぐそこに迫ってきた。




スクアーロ《散れ》




防御もできなかった山本は剣撃を何度も食らってしまう。
ツナ達が驚いている中、山本は水量が多くなった水の中へ―――落ちた。




獄寺「や…山本……」

芽埜「武…くん…?」

ツナ「山本――!!」

バジル「な…なんて剣撃だ……。突く…、刺すというより…空間をかじるような!!」




レヴィ「鮫の牙(ザンナ・ディ・スクアーロ)…」




レヴィが技の名を呟く。
それと同時に体育館の影が声を漏らす。




「………あれでは………。S・スクアーロ…恐ろしい男……」




レヴィ「ボス……」




<終わった>とでもいうようにXANXUSを呼ぶレヴィ。
XANXUSは座ったまま鼻で笑い飛ばすと……




XANXUS「何年経っても…変りばえのしねー野郎だ」




そういってシエラを自分のほうへ引き寄せた。
彼女は抵抗もせずなされるがままだ。




マーモン「さすがスクアーロというとこかな。ちゃんと最強に雨の守護者の使命を体現している。

戦いを清算し、流れた血を洗い流す鎮魂歌の雨」




スクアーロの顔には山本の血がついており、上の階から落ちてくる水が雨のようにスクアーロについた血を洗い流していく。
それを見たツナたちはぞくりとした寒気を感じた。




スクアーロ《さあ小僧!!心臓を切り刻んでやるぞぉ!!》




ツナ「山本……!!」




山本《ちくしょ〜、こーも一方的かよ…。
負けたなんて知ったら、オヤジ怒るだろーな………》

スクアーロ《う゛お゛ぉい、まだやるか?得意の時雨蒼燕流で》




絶体絶命の山本対余裕なスクアーロ。
何も言わない山本にスクアーロは自慢話のように時雨蒼燕流の事を話し始めた。




スクアーロ《どぉしたぁ!!継承者は八つの型すべてを見せてくれたぜぇ。
最後に八の型<秋雨>を放ったと同時に無残に散ったがなぁ!!!》

山本《!》




雨の守護者の使命




山本《(八の型<秋雨>?
なんだよそりゃ…、聞いたことないぜ……)》




山本は自分の知らぬ型の話をされて内心首をもたげる。

そして考えた末、1つの考えが浮かんだ。




山本《!、そーいうことかよ…オヤジ》




それが合っているのか、間違っているのか。
今の状況では刀のみが教えてくれる<答>だった……。




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