刀を抜きスクアーロの爆薬を交わした山本。
その場にいたものは無事な姿に三者三様の驚きを見せた。




ツナ「す……すごい!ロン毛の爆風をかわしたよ!!」

ディーノ「あれが山本の時雨蒼燕流。まだ粗さはあるが、この短時間でよくここまで…」

リボーン「まったくだぞ。
この1週間、山本が他の守護者の勝負以外ほとんど寝ずに稽古していたのは知っていたが…いくら野球で鍛えた体力と反射神経があるといっても、型をおぼえるのと実戦で使うのとではまるで次元の違う話だからな。

ましてや命がけの勝負だ。
カタギの人間がいきなり臆することなく戦えるとしたらよほどのバカか…


―――生まれながらの殺し屋だぞ」

ツナ「Σな!?山本が殺し屋って…何言ってんだよリボーン!!」

リボーン「ま、どっちみち…山本に目をつけた俺が一番すげーんじゃねーか?」

ツナ「結局自分の自慢話かよ!!」




鈴音「僕はバカに1票ね」

琉輝「Σおい!」




リボーンの話を聞いた鈴音がそう口にし、琉輝が呆れたような顔ですかさずツッこみを入れる。
なんだかんだ血が繋がっている双子のやり取りを繰り広げる2人を横目にディーノが口を開いた。




ディーノ「………だが…、これ以上時雨蒼燕流に頼るのは危険だ」

ツナ「またディーノさんそんなこと…、実際に技が効いたんですよ!」




スクアーロ《う゛お゛ぉい!!!
図に乗るなあ!!ヒヨッ子があっ!!!》




スクアーロは仕込み火薬を山本の左右に飛ばし、その爆発で山本を動けないようにする。
山本は左右を塞がれ、若干焦っているような様子を見せた。




山本《えーっと…、こんな時は…


こいつだ》



一瞬考えた山本は冷静になると、刃を水に入れ思い切り振り上げると再び刃を水に入れる。
するとどういうことか山本の姿見えなくなった。




獄寺「な…何だ!?」

リボーン「時雨蒼燕流守式弐の型」




―――逆巻く雨




スクアーロが切ったのはただの<水>。
山本は刀で水柱を作り出すと、体を縮めスクアーロの攻撃をさけたらしい。




ツナ「…………」

バジル「水の壁で姿をくらました上に身を縮めて防御。あれでは当たりません」

芽埜「これなら…大丈夫、大丈夫だよ!」

ツナ「そうだよね!

ほらディーノさん!!
やっぱりすごいよ!!山本も時雨蒼燕流も!!」




ディーノに同意を求めるツナ。
だがディーノは心配そうな深刻そうな表情を緩める事はない。




ディーノ「だといいんだけどな…」

芽埜・ツナ「!?」

ディーノ「俺にはスクアーロが喜んでいるように見える…」




スクアーロの《う゛お゛ぉい小僧!!なぜ防御の後打ちこんでこなかった!!》




琉輝「確かに。
防御の後、いくらでも打ち込めたよな」

鈴音「そうね」

亞琉「主様や琉輝なら遠慮なく袋叩きにしているところですね(クス」

芽埜「え゛。」




スクアーロ《愚かなアホがあ!
俺に唯一傷をつけることができた最後のチャンスを潰したんだぞぉ!!》




ツナ「え……?」

バジル「最後のチャンス…!?」




ベルフェゴール「ししし」

シエラ「さすがスクアーロ」

マーモン「どうやらスクアーロは確信したみたいだね」




了平「負け惜しみを言いおって!ハッタリに決まっている!」

琉輝「そ、そーだぜ。現に技は当たってんじゃねーか!


あの防御のあとはどうにも解せないけども。」

芽埜「(まだ言ってるの?!)」




山本《ハハ…、最後って…ずいぶん言ってくれるな。言っとくけど時雨蒼燕流はこれだけじゃないんだぜ》




リボーン「そうだぞ。時雨蒼燕流は守型四式、攻型四式の状況に応じた八つの型がするんだ」




山本は刀を構えて、初めて攻勢に出た。
攻撃を剣で受け止めるためスクアーロが剣を構える。


だが剣や刀がぶつかるような金属音は聞こえない。



何故なら……




バジル「山本殿の手に刀がない!!」

芽埜「え!?」




左手に持っていた刀はいつの間にか空中に投げ出されていた。
山本は刀を右手で取り、横に薙ぐ。




「時雨蒼燕流攻式五の型」




―――五月雨




まともに食らったスクアーロは水の中へ倒れこんだ。




バジル「い…今のは…っ」

リボーン「<五月雨>。
一太刀のうちに刀の持ち手を入れ替え、軌道とタイミングをずらす変幻自在の斬撃だ」

獄寺「ま…まーまーやるじゃねーか」

ツナ「すげぇ…山本…」




ベルフェゴール「めでたい連中だな」

マーモン「うむ…、ヴァリアーのボス候補になるということがどれほどかわかってないね」

ファレス「フン…」




スクアーロ《う゛お゛ぉい!!効かねぇぞ》




水の中から飛び上がり、着地したスクアーロの体に傷はない。
スクアーロは無傷。
間違いなく当たった……はずだった。




亞琉「一瞬ですが…」

芽埜・ツナ「?」

亞琉「あの方の刀の軌道に合わせ、一瞬身をひいていらっしゃいましたね」

鈴音「そうね……
(けれど、問題はそこではないわ。彼、何を考えているの……?)」




鈴音の視線は山本の手元へ向いていた。
その視線は鋭い。




リボーン「奴に動きを読まれていたとしか考えらんねーな」

バジル「しかし拙者の見る限り、山本殿が持ち手を替えるためのモーションの不自然さは見当たりませんでしたよ…」

ツナ「じゃ…、じゃあどうして……!?」




スクアーロ《う゛お゛ぉい。お前の使う無敵の流派とやらはこんなものかぁ!?》

山本《!》




ディーノ「(まずいな…やはり怖れていたことが…)」




スクアーロ《それとは別に一つ腑に落ちねぇことがある。
貴様なぜ今の一太刀に<刃>ではなく<峰>を使った?》




芽埜「え…峰打ち?」

鈴音「そうよ。あの男峰で打ったの。
(何を考えているのかしらね)」




山本《そりゃあ、俺はあんたに勝つためにやってんで、殺すためじゃねーからな》




そういった山本にヴァリアーはナンセンスだのふざけているだのと各々の感想をこぼす。
ツナ側も同じようで獄寺が甘いことを…と顔をしかめている。




鈴音「………己の力に過信でもあるんじゃないの?彼…」

リボーン「さぁな」




ヴァリアーは本気でやらずに勝てるほど易い相手ではない。
鈴音は先日身をもって味わった為、顔をしかめてため息をこぼした。




スクアーロ《う゛お゛ぉい、ずいぶんナメてくれるなぁ!!まだ自分の置かれた状況がわかってねぇようだなぁ!!

その生意気な口をきけなくしてやる!!》




山本の答えにキレたらしいスクアーロは再び山本へと向かっていく。
山本は<逆巻く雨>で再び攻撃を避けようと、水柱を作り出す。


だが、そこで予想外の出来事が起こった。
対するスクアーロも水中を作り出し、対抗して来たのだ。




山本《?》




ディーノ「これではお互いに視界が!!」

リボーン「先に見つけた方が勝ちだな」




先に相手を見つけたのはスクアーロで、それに気づいた山本は慌てて振り返る。
直撃は避けたものの、肩を切られてしまった。




芽埜「武くん!!」

ツナ「山本!!」




スクアーロ《どうだぁ!痛いかぁ!?最後に絶望的なバットニュースを教えてやる。貴様の技はすべて見切ってるぜぇ》




時雨蒼燕流




スクアーロ《その時雨蒼燕流は昔ひねりつぶした流派だからなぁ!!》

山本《!!》




それはディーノが予想していた最悪のバッドニュースだった。




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