コポコポとお茶を注ぐ音が響く室内。
そこにはツナが横たわっていた。

どうやら夢を見ているようで、微かに涙を浮かべている。




ツナ「(あ…!先週奮発して買ってお茶ってそれ?
うまいんなら俺にも入れてよ。今からリボーンと宿題やるから)」




ゆっくりと目を開いたツナ。
一番初めに目に入れたのは筆で書かれた<酢花゜>という文字だった。




ツナ「す…はな…?」




「パ。スパナ」




ツナ「ハハッ、本当だ…○がついてる…。
ゴメン、寝ぼけてた…」

スパナ「気にするな」




まるで友達と話す様な会話だった。
だが1つの出来事を思い出したらしくツナは目を見開いて飛び起きた。




ツナ「モスカ!!

お!お前が!!」

スパナ「その格好では風邪をひく」




慌てて起き上がったツナはスパナの言葉に何も着ていない事を知り、慌てて前を隠した。




スパナ「これを貸してやる。茶を飲め」




スパナは自分の着ているつなぎの予備と持っていたお茶を差し出す。
戸惑ったツナは自分の服がビチョビチョで干されているのに気付いた。

自分の所持品がドラム缶の上に乗っていることにも。




ツナ「お守り!!」




ドラム缶の上のそれを取ろうとしてツナは右手を上げる。
だが、その右手には……




ツナ「!!」




…手錠が付けられている。
そして、後ろにいるスパナが頭部に拳銃を突きつけた。




スパナ「騒ぐなボンゴレ十代目。
あんた、今、行方不明ってことになってるから」




     *     *     *




《こちらフリージア。
用水路18D‐4ポイントでブラック仕様のモスカの残骸を発見!!》

朱音「あ、ホント〜??じゃ、捜索よろしくねえ♪」

フリージア《ハッ、それではさっそく我々でボンゴレリング及びボンゴレの捜索を行います》

朱音「は〜い♪」




無線を切り、正一の元へ駆け寄る。




朱音「しょーいちー!さっきのスパナの報告の通りだよお♪

即ち、スパナのモスカ4機がボンゴレ十代目と遭遇、戦闘。激戦の末、相打ち。
ボンゴレ10代目は用水路に落下し、行方不明になった模様でっす☆」

正一「うむ。ただちに捜索隊を増員し向かわせろ!」

朱音「さー、いえっさー♪」

正一「朱音、モスカの戦闘記録(ブラックボックス)はどうなってる?」

朱音「炎上のしてるから、まだ回収していないはずだよお」

正一「すぐに回収して分析にかけろ!ボンゴレの落下ポイントを割り出せるかもしれない」

朱音「りょうっかい!」




     *     *     *




ツナがスパナに借りたつなぎを着用。
だが足元に裾が余ってしまっている上、袖も若干長く、サイズが微妙に合っていない。




「ぶふっ、だぶだぶじゃねーか」

スパナ「ん。Sサイズでもでかいな…」

ツナ「………………(……………どうしよ〜…死ぬ気丸もグローブもとりあげられちゃってるし…どう考えてもヤバイよ…。結局俺…殺されるのか?)


…って、ん?あ、あれっ。川南さん―――!!??」

諒「よ、ボンゴレ。基地内のどっかに央樹もいるはずだぜ」

ツナ「な、なんで…!?」

スパナ「騒ぐな、ボンゴレ」

ツナ「ひぃっ!!」




スパナに銃を向けられたツナの体を支配する恐怖。
諒が1人PCをいじりながら笑っている中、スパナはドラム缶の上に銃を置いた。




スパナ「未完成なんだろ?最後のアレ……………。
見た感じバランスが悪くてフルパワーで撃ててないように見えた」

ツナ「もしかして…X BURNERのこと…?」

スパナ「X…BURNER…。そう、X BURNERだ!

X BURNERが安定しないのは右手の炎と左手の炎の力のベクトルにズレが生じているからだ。
左右を完全なシンメトリーになるように工夫を施せばいい」




手を使って安定しない理由を話し出したスパナに困惑する。
いきなりそんなことを言われては仕方がないだろう。



諒「つまり左右の炎を均衡にすれば安定感が増すって事。
それで本気で撃てるよー、ってな」

スパナ「アキラの言うとおり。
ウチは日本人(ジャッポネーゼ)も日本(ジャッポーネ)も好きだ。ロボット工学が進んでるから。
カタカナや漢字もクールだし、緑茶の香りも神秘的」

ツナ「………はぁ…」

スパナ「でも一番興味あるのはボンゴレ十代目の技だ」




持っていた飴を再び口の中に入れたスパナ。
色々話した後<自分の技に興味がある>と宣言されどうしていいのか分かっていないツナにスパナは言い放つ。




スパナ「あんたの完璧なX BURNERが見たくなった。ウチとアキラが完成させてやる」

諒「手伝わせる気満々か」




そう言ったスパナにツナは困惑していた。




     *     *     *




バイシャナ「ぬう?」

山本「カンガルーの腹からグローブが!?」

獄寺「ってことはメスだったのかよ!!」




我流のお腹から出た晴のボンゴレマークがついたグローブが了平の拳に収まる。




了平「漢我流は俺をサポートする匣兵器。そして貴様を砕くのはこの拳だ」

バイシャナ「フォホホ、救いようもなく愚かなり。よりによって拳闘で挑んでくるとはな。
汝の拳は嵐蛇に少しでも触れた時点で分解されるのだぞ!!」

了平「御託はいい。かかってこんか」




それでもバイシャナは強気だった。
了平は素早いフットワークをはじめる。




獄寺「ありゃあ…ルッスーリアのステップだ!!」

バイシャナ「スピードで翻弄するつもりか。
だが我が嵐蛇が今まで素早い相手を餌食にできなかったとでも思うか?


見せてやれ!!」




バイシャナの指示で動き出す嵐蛇。
自分の体を縮め、バネと同じ要領で了平へと突っ込んで行く。
そのスピードは体と比例しないほど高速だ。

了平はそれに対して真正面から拳を振るった。




山本「(真正面から!!)」

獄寺「(あのバカ…!!)」

芽埜「(真っ向勝負!?)」

バイシャナ「(フォホホ、分解の炎に触れてしまったな)」




了平の負けを誰もが確信した………が、叫びをあげたのは嵐蛇だった。
グローブがあたった場所からひび割れ、血が噴出する。




囚われ




了平「おっと言い忘れておったな。


―――この拳には触れぬ方がいい。」




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