それなりに上手に
「チョウジ!やっぱり此処だったのね――!」
「よ、良かった…!探してたんだよ?」
「!」
「ったく!アスマ先生が早く来いって怒ってんよ!」
「いの、のい、ごめん…。何か変な奴が襲って来て…」
変な奴?
辺りを見渡して見るけどいるのはナルトくんだけだ。
帰って来てるとは聞いてたけど会ったのは久しぶりだなあ。
「ナルトくんが変な奴=Aなの?」
「いや…ナルトのことじゃなくて…えっと…」
「ナルト――!!おっひさ――!」
「もういいよ、チョウジ。この空気がめんどくせー…」
何ていうか、シカマルくんらしい?
あっ、そうだった。
「ご、ごめん、お姉ちゃん!チョウジくん!」
「「?」」
「私、綱手様に呼ばれてたの」
「でも、アスマ先生は何も言ってなかったじゃない」
「いやぁ…お互い忘れてたんじゃないかな」
「「「…はぁ…」」」
皆して溜息つかなくたっていいのにー…!
それから皆と分かれ火影邸へ。
「しつ「その新人は
あのダンゾウが推薦して来た」?」
「ダンゾウという男は…かつて三代目と対立していたタカ派の男だ。暗部の中に別動部隊として暗部養成部門の根≠組織し、その主任の座についていた男だ。お前も名前くらいは聞いた事があるだろう?」
聞いちゃいけない話しだ。
分かってても、体が…動かない。
だから、一生懸命気配を殺すしかなくて…。
何で私、動けないの…?
「根≠ヘすでに解体されてるし奴も一度失脚した身……が、相変わらず何を考えているか分からん男だ」
「考えすぎなのでは…」
「………まあいい…。扉の向こうにいる山中のいを連れ直ぐに顔合わせをしてくれ」
ば、バレてるよ〜…!
扉が開き顔を覗かせたのは暗部の格好をした男の人だった。
「初めまして」
「は、初め、まして」
「ボクはヤマト。君は山中のいであってるかい?」
「は、はい…!あの、それで、私何で…?」
「山中のい、お前にはこの任務を頼みたい」
「…え?これ、あの、」
「お前の様な奴が一番適任だろう」
あ、裏も表も隠せそうにないからですか。
うう、何だかそれは忍びとして失格な気もするけど、私だからなぁ…。
「それと、先ほどの話を聞いていたなら分かるだろうが七班に新しく入る新人には気をつけておけ。いいな?」
「はい!」
「ヤマト、のいの事も頼んだ」
「はい」
それからヤマト先生(でいいのかな?)と一緒に七班と顔合わせをする事に。
何だか、壮絶そうだなぁ…。
「ども…」
「てっ、てめーは!!」
「!」
「………えー…これからカカシ班は…このボクがカカシさんに代わって…」
「ナルト、アンタ知り合いなの?」
「さっきはごめんよ」
さっき?
もしかして、シカマルくんたちの言ってた変な奴≠チて彼、かな?
「同じ班の仲間になる人の実力を知っておきたかったんだ。何せどれくらい援護しなきゃならないタマ無しヤローか分からないからね」
綺麗な笑顔から凄い言葉が飛び出した…!!
でも、何だか薄っぺらい笑顔だから、本当の顔がそういう人なのかもしれないんだけど、ね…。
「なんだとー!!」
「ちょ!これから仲間になるんだから!いきなり喧嘩しないでよ!…でもちょっとアンタ感じ悪いわね…」
「アハハ…そうですか?僕は好きですよ、貴方の様な感じの良いブス」
「ンだとコラー!!」
「君、今ナルト君に何て言ったか覚えてる!?」
ヤマト先生がサクラちゃんを羽交い絞めにして止める。
だ、大丈夫かなぁ?この班…。
苦笑していればナルトくんが此方を見て『何でのいが?』と今更な疑問を口にした。
ほ、本当に大丈夫かな、この班。
何だか心配…。
「今回は特別に彼女も同行する事になったんだ。とにかく…これから五人で直ぐ任務に入る事になる…ってのに何だコレ…。同じ檻に入れて慣らしてる時間なんてないよ。ホラ、自己紹介」
「うずまきナルト」
「春野サクラです」
「サイといいます」
「や、山中のいです」
若干二名隣のサイくんを睨んでるけど…大丈夫かな??
「顔合わせはこれで終わり。これからボクらカカシ班の任務を説明する」
これから私たちは天地橋を目指し、大蛇丸の組織に潜入している暁≠フスパイを拘束し連れ帰る。
私には別の仕事があるけどそれはまあ、追々だ。
ともかく、スパイを連れ帰れたなら大蛇丸とうちはサスケ、そして運が良ければカイアちゃんの情報も手に入る。
そうなれば大蛇丸暗殺とサスケくん奪取両方の作戦を立案出来て、カイアちゃんを連れ戻すことも可能になるかもしれない。
それ程この任務は重要だって事。
だから―――…。
「心してかかるように!今から一時間後正門に集合!忍具を揃えた後出発する!」
とりあえず、私はアスマ先生たちと任務に行く為に準備はしてたから一時間暇になる。どうしようかな…なんて思って町を歩く。
今から正門に行っても一時間待ち惚け……それ何て罰ゲーム?
私、待つのは嫌いじゃないけど一人正門に立ってるのは結構きついと思ってる。
だって『あの子仲間に見捨てられたんじゃない?』的な視線が突き刺さるんだもの…!
「…って事なんだけど」
「だからって俺のとこ来るなよ」
「あ、ご、ごめんね…シカマルくん、」
シカマルくんは中忍試験とかで忙しいのに時間潰しの相手してほしいなんて可笑しいよね…!
うう、うううう…。
「ねえ、シカマルくん」
「ん…?」
「…サスケくんや…カイアちゃんが戻ってきたら、皆…笑いあえるのかな」
「!」
サスケくんが戻ってきたら、ナルトくんは嬉しいだろうし、彼はそれを望んでる。
サスケくんが戻ってきたら、サクラちゃんも嬉しいだろうし、彼女はそれを望んで止まない。
サスケくんが戻ってきたら、スザクちゃんも嬉しいだろうし、昔みたいに屈託のない笑みが見られる。
カイアちゃんが戻ってきたらナルトくんはもっと嬉しいだろうし、彼はそれを望んでる。
カイアちゃんが戻ってきたらサクラちゃんも嬉しいだろうし、彼女はそれを望んで止まない。
カイアちゃんが戻ってきたらスザクも嬉しいだろうし、彼女が―――…。
「傷つかなくて、済むんじゃないかって、」
私は外にいる人間だからよく分かるんだ。
ナルトくんが二人を望んで、サクラちゃんが悲しんで、スザクちゃんが葛藤してるってこと。
渦中にいる人の事は私にはよく分からない。
でも一つだけ分かる。
「そんな世界が有るのなら、」
―――ぎゅう、
背後から抱きしめられた。
その腕は『何も言うな』とそう言っている気がして―――…。
それなりに上手に生きる術は知っている、のに、
(あの世界でそれは通用しないのです)でも、ごめんね。
止められないや。
「早く、訪れればいいのに、」
はらはらと零れ落ちる涙が背後から拭われて、
「んん…っ」
強引に唇が重なり合った。
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