第十一訓 1



「ぎゃああああああ、助けてェェェェ!!!!」






真選組屯所のある一日はそんな叫び声から始まった。
『うるせェな』と起き出してきた副長と廊下でばったり出くわして、同じ部屋へと向かう。

朝……っていうか、まだすんごい早朝なんですけど。
朝5時になったばっかりなんですけど。






「ぎゃあああ………、あっ、トシ!継美!」

「朝から何騒いでんだ近藤さん」

「うるさいですよ……こちとら眠いのに…」

「ゴッ…ゴッ…ゴキブリィィ!!俺っ、俺の部屋に!!」

「なんなんですかあなた。ゴリラのくせにゴキブリダメなんですか」

「もーゴリラでもなんでもいいからヘルプ!!」






これ以上ぎゃあぎゃあ騒がれても嫌ですね……。
局長ともあろう人がゴキブリ程度で情けない。


女は女中さんとあたしたち4人しかいない男所帯なんですからゴキブリの1匹や2匹、そこらへんにいるでしょーに。






「仕方ねェな……俺らで退治してやるから、さっさと部屋戻って寝ろよ」

「えェ!?退治した後の部屋に寝かせる気!?」

「仕方ないでしょう。そこがあなたの部屋なんですから」






ゴキジェ●ト片手に近藤さんの部屋の襖に手をかける。
こんだけ騒いでるんですからまだいるとは思えないですけど、退治しないと落ち落ち寝てられませんからね。






スパン、ッ



「ったく。ゴキブリ1匹くらいで騒ぎやがっ…」

「本当です。ゴキブリくらい自分で退治し…」






 … … … 。






「うおあああああ!!!!」

「いやあああああ!!!!」





な、ななな、何かいた!
何か見たこともないものがいたんですけど!!

いや、見たことはあるけど見たことないものの方があってますか!?






「おはよ〜……あんまりうるさいから起きちゃったよぉ…」

「ふぁ〜あ……朝からギャーギャー何騒いでるんですかィ?」

「ゴッ…ゴキブリ!ものっそいゴキブリ!」

「ヘッヘルプ!ヘルプです!!」

「へェ、ゴキブリですかィ。仕方ねェや。俺らで退治してやるんで、さっさと部屋戻って寝てくだせェよ」

「えェ!?総悟まで!?」

「仕方ないじゃん。そこが近藤さんの部屋なんだからさ〜」






総悟と亜希がゴキジェ●ト片手に襖に手をかける。
……アレ?さっきのセリフ、なんだかデジャヴ。






スパン、ッ



「ったく。大の大人がゴキブリ1匹くらいで情けね…」

「ホントだよ。ゴキブリくらい自分で退治してくんなきゃ…」

「オイ、総悟、うしろ」

「亜希、うっ、うしろ!」

「「え?」」






2人が後ろを振り向く前にダッと駆け出す。

(ふっ、2人の足元に……!!)





「「ぎゃっ、ぎゃあああ!!ヘッ、ヘルプ!!ヘルプぅぅぅ!!」」






テレビとか新聞とか
ちゃんと見ないとダメだって









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