第三訓 3



土方さん、総悟の刀を借りて銀髪の人を斬りに行っちゃった。
うちらは総悟の案で別の建物からそれを見ることにして。


初めは土方さん優勢かなーって思ってたんだけど銀髪の人は結構強かった。
自分が肩を負傷しながらも、土方さんには傷ひとつ付けなかった。
刀を刀で折っただけで、それ以上のことはしなかった。






「…フフ。面白ェ人だ。俺も一戦交えたくなりましたぜ」

「うちもやってみたいなー」

「やめとけ。お前たちでもキツいぞ、総悟、亜希。アイツは目の前で刃を合わせていても全然別のところで勝手に戦ってるよーな男なんだよ。勝ち負けも浄も不浄も超えたところでな」














*     *     *















「………あの、すいません」

「ハイ?」






池田屋ん時の瞳孔開き気味の警察に肩斬られて病院に行く途中、俺は話しかけられた。
俺の状況見てから話しかけてこいよ、とイラつきながらも振り向いたら、あの警察と同じ格好をした女がいた。
その背中には女が振るうには重い大太刀が背負われている。






「何?アイツの敵討ちとかですかコノヤロー。こちとら早く病院行かなきゃなんねェ負傷者だっつのに…」

「違います。今回あなたにはご迷惑をかけたので、治療費ぐらいは払わせていただきたいだけです」

「へェ…。あいつらの仲間にもちったぁマシな奴がいたんだな」

「皆が皆、そうだと思われるのは心外です。肩、お貸ししましょうか」

「や、へーき」






『そうですか』と呟いた女はどこかで見たような覚えがある。
あの警察がゴリラと知り合いだっつーなら、この女もゴリラの………。


「決闘しろ、じゃねーんですよ!!」

「ぐがふッ!?」



……あ。
こいつ、ゴリラを蹴り飛ばした女じゃねーか。
名前は確か―――。






「継美、だっけか」

「………覚えていらっしゃいましたか。先日はあの人がご迷惑をおかけしたようですいません。今回のこともそれが起因となって起こったことですから、申し訳がなくて…」

「まァ、さっきの奴が真選組を護ろうとしてやってきたのはわからなくもねェからな。ゴリラのことは水にでも流しとくぜ」

「………ふふ。ありがとうございます。えーと……」

「銀時。坂田銀時だ。気軽に銀さんとでも銀ちゃんとでも呼べよ。敬語もなしでいーぜ」






どこか嬉しそうに笑った女の頭をぐしゃりと撫でる。
髪型が崩れたのを気にしてか少しムッとした表情をしたものの、すぐに笑みに変わった。






「ありがとう、銀さん」

「おう」








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