意味があったわけじゃない、ただ、




―――二日後


大蛇丸の木ノ葉崩しによって三代目火影様がお亡くなりになって雨の中葬儀が行われた。木ノ葉丸くんは泣き通し、皆も辛い表情で………そんな中、数人葬儀に参加していない人物がいた。カカシ先生も見ないし、カイアちゃんやスザクちゃんもいない、ミーさんは参加したくても両足の骨折に肩の骨の脱臼と…まあ、怪我が酷いため来れないみたいだし………。


「………イルカ先生」

「!」

「………なんで人は…人の為に命をかけたりするのかなぁ…」

「………人間が一人死ぬ…なくなる。過去や今の生活、そしてその未来と一緒にな…沢山の人が任務や戦争で死んでゆく、それも死ぬときは驚くほどあっさりと…簡単にだ。ハヤテだってその一人だよ………死に行くものにも夢や目指すものはあるんだ。両親兄弟友達や恋人、里の仲間たち自分にとって大切な人たち…互いに信頼し合い助け合う。生れ落ちたときからずっと大切に思ってきた人たちとの繋がり……そしてその繋がった糸は時を経るに従い、太く力強くなっていく…理屈じゃないのさ!その糸を持っちまった奴はそうしちまうんだ…大切だから…」

「……………うん…なんとなくは俺にも…分かるってばよ…でも………死ぬのは辛いよ」

「三代目だって、ただで死んだわけじゃないよ。ちゃんと俺たちに大切な物を残してくれてる…」

「?」

「ま…いずれお前にも分かるようになるさ」

「うん…!それも何となく分かるってばよ……」


ナルトくんたちのそんな会話を聞いていれば何処からか赤い着物を見に纏った人が現れた。あ、あれ…あれって……


「カイア…!?」

「何と非礼な…!」

「………様ないな、火影とあろうものが」

「「「「「!!」」」」」

「…昔貴様に言ったであろう、いつか貴様は無様に死ぬぞと。そうしたら貴様は笑い飛ばしたな、吾の言葉を。"自分が無様に死んでも意思はきちんと継がれる"と………くくっ…それがこの様か…まあ、認めてやらぬ事もない。この里がまだ此処にあるのは貴様の其の死ゆえだ……だが、この餓鬼はやらぬぞ、それだけは別の話だ」

「何を言ってるんだ…!?」

「無礼な…!」

「口を慎め、弱き人の子よ」


バッと此方を振りかえったカイアちゃんの瞳は朱ではなく蒼に染まっていた。誰…?カイアちゃんじゃ…ない…??


「………まぁ良かろう。今は平和を喜べばいい」


そう言って倒れていく体を慌てて誘えれば自分ごと尻餅をつきそうになってシカマルくんに助けられた。"馬鹿かお前"というその視線はどうか仕舞ってください…!


「………?」

「大丈夫か、カイア」

「………」


ぼーっと宙を見つめているカイアちゃんに首を傾げた次の瞬間………


「………う…、気持ち悪い…!吐きそう…!」

「カイア―――!!??」

「うえ…、」

「吐くな、吐くんじゃない、カイア!!」


バッとカカシ先生がカイアちゃんの体を抱き上げ行ってしまった。多分着物の腹部の締め付けすぎなんじゃないかなぁ…?


「っていうか、さっきのは何かに憑依されてたのかな?目の色違ったし……」

「さあな」


結局カイアちゃんの処遇に付いては"何かの憑依"で済みました。














「ったく…吐きそうになるまでなんで締め付けるわけ」

「し、知りません。気付いたらあそこにいて腹部が…、うっ」

「吐くなよ!!」

「は、吐きませんけど……」


うう…お腹窮屈だった…はぁ…


「……お前又軽くなってない?」

「え…?」

「予選の時もこうやって医務室に運んだでしょ、あの時も軽かったけど今日はもっと軽くなってる」

「…先生の力が強くなっただけですよ…」

「あ、そう?」

「体重は変わってません」


恥ずかしかったからそっぽを向いた。二日前から先生とは会っていない…というより思いっきり避けてた。だって、訳も分からずキスした仲なのに普通の顔して"おはようございます先生!"なんて笑えるほど僕は神経図太くないのです。


「………カイア、」

「ふぁい!?」

「……はぁ…」

「……すみませ「カイアはさ」……?」

「たまにサスケより大人びてるし、俺より強いのかと思わせたりするし、一番読めない奴だよ、ホント」

「ええ?」

「でもね、お前が一番子供じゃないかって思う事もある」


すとんとベットの上に寝かされた。あ……此処、どこ…??


「俺の家」

「!!??」

「いや、そう身構えるのやめなさいって。流石に手は出さないから」

「((じとーっ」

「出さないって言ってんでしょ…信用ないのね、俺」


出さないって言いますけど、2日ほど前に僕のファーストキスをマスク越しに奪ったのは誰ですか。あ…いや、マスク越しだしセーフなの…?!


「寝てないんでしょ、暫く」

「え……?」

「隈出来てるから」


すっと目の下を撫でられた。


「暫く寝てろ」

「でも………」

「今更でしょ」

「え?」

「心配かけたくないとか色々思ってるんだろうけど今更だから」


寝ろと頭を撫でられた。


「心配かけさせたくねェとか思ってんならお門違いだし、今更じゃねェか」


………そう、ですね……


「お休み、なさい…」

「ああ」














 ガラッ


「ミー、具合はどう?」

「あ、テンテン…まあまあ…かしら」

「そう。でも、回復はしてるんでしょ?」

「……回復…そう、ね…してるんじゃ、ないかしら」

「?」


多分、回復はしてるのよ……腕はね…でも、足が一切動かないのが、不安要素なのよ…。


「…って、早く入ってきなさいよ!」

「誰か来ているの?」

「ちょっとね」

「?」


ほら早く!と誰かの腕を引いたテンテン。そして、引かれて入ってきたのは―――…


「「!」」

「じゃあ私は帰るから!」

「ちょ…っ」


テ、テンテンのバカ――!!!!!何で二人きりにするのよ!!!


「「………。」」

「……久しぶりだな」

「…そ、そうね…」


……空気悪い!!!あ、そう、だわ…謝らなきゃ…。


「其のネジ、私…ご「……悪かった」……え…?」

「今まで悪かった」

「な、何で貴方が謝るの?」

「俺がリーの事を馬鹿にしたから怒っていたのだろう?」

「…ネジ…」


"悪かった"ともう一度言うネジに対して私は何も言えなかった。謝ろうと思ってたのに、どう謝ればいいのか分からなくなって………


「何で、」

「?」

「何で先に謝るのよ、バカ」

「(バカ!?)」

「私の方が…謝りたかったのに…!」

「ミー……」

「ごめんなさい…ネジ…、私、何も分かってなかった…」

「…いいんだ、もう」

「え…?」


"いいんだ"…そう言って笑う貴方は……今までにないくらい優しい顔をしていて、目が離せなくなった。


意味があったわけじゃない、ただ、目を離せなかっただけ


きっと、意味なんてないんだって…心に言い聞かせて……




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