繋がりさえ裏切る覚悟があれば




「ただい…、えっ?!」

「お帰りー」


部屋の散らかり様に色々言いたい事があるけれど、部屋にいる人物にも色々言いたい事がある。


「犬塚、とりあえずお菓子のカス散らかってるから」

「!、悪ぃ」

「油女は蟲をしまえ」

「…分かった」

「日向はおどおどしなくていいから」

「!、う、うう、うん…!」


そう言っても尚おどおどとしながらソファに座っている日向さんに小さく溜息を吐き出すとスザクに片付けるよう頼んだ。来てるもんはしょうがないし、ご飯でも作ってあげよう、そうしよう。今日のご飯はカレーだけど…嫌いだったりしないよね?


「あ、あ、赤砂さん…、その、」

「?」


野菜を切っていればそろりと台所に顔を覗かせた日向さん。首を傾げれば"手伝うよ"という小さな消えそうな声が聞こえた。顔を真っ赤にして俯いている日向さんに照れ屋なのを知り、"ありがとう"と返事を返す。


「じゃあ、皮剥いてもらっていい?」

「!、うん…っ」


ジャガイモとピーラーを手渡して切る作業に専念する。その横でするすると皮が剥かれていくのを見てくすりと笑みが漏れた。その後、日向さんと二人でカレーを一緒に作り、お皿に盛って、出来上がったカレーを机に運んだ。


「おー、うまそー!」

「そうだな」

「へっへー、カイアの料理は美味しいんだよ!」

「赤砂さん、料理上手いんだね…」

「んー…まあ、慣れってやつかな」


暁いた頃は毎日作ってたし…、慣れたら楽しいもんだよ料理って。そう思いながらカレーを食べていれば油女から"演習はあったのか?"と問われた。


「あったよ。スズ取りだろ?」

「嗚呼」

「一回失格になってな…」

「お前らのとこチームワークもくそもなさそうだもんなー」

「そうなんだよ。まあ、色々あって認めて貰えたんだけどさ…」


本当に、何か疲れた気がする。でも、まあ、これで………、


「明日から晴れて下忍だし、任務出来るね!ねっ、カイア?」

「そうだな」


どうせロクな任務じゃないんだろうけどさ。


繋がりさえ裏切る覚悟があれば


誰とでも、仲良くしていいんじゃない?




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