小説 | ナノ


▼ 私、高校生ですよ!

「はいドォーーーン!!!!!」



バァーーーン!!



とドアが開いて現れたのは、うん、ね……



わかるよね?



「さぁ!皆の衆!
跪きたまえ!!この伍未様のご登場よ!!」



そう、我らが伍未様。



「で、なんで伍未ちゃんあんな喋り方なんですか。」


「……………知らん」



ん?



お、おかしい!いつもならここで



「あの人がおかしいのは元からであって今に始まったことではないだろうが。そんな事もわからないのか?」



ぐらい言うハズなのに!!



と言う事で桐谷さんはおかしい!!



「お前の言うことなんざ言わなくともわかんだぞ単細胞が。」


「あ、桐谷さんだ!その毒舌は間違いなく桐谷さんだ!!」


「清香ちゃんの発言も毒舌どころか毒だよ‥」



あれどこが?



「まぁそんな事より」


「スルースキル尋常じゃねぇ」


「桐谷さんの様子がおかしいのと伍未ちゃんの言動!
それいわゆる!?」


「ウチの大学………」



バッ、と向井さんと桐谷さんが伍未ちゃんを押さえつけて口を手でふさいだ。



え、何これいかに?



「……あやしい」


「気にするな」


「そうそう清香ちゃんが聞くことは……グフゥッ」



あ、



向井さん伍未ちゃんにやられた。



桐谷さんなんか関節技かけられそうになってる!


伍未ちゃんて怖いガクブル



「実はねー、ウチの大学で文化祭あってさ、」



このシーズンに?



「で、演劇をやるの。私のゼミで。」



ふーん。なるほどな。



「で、白雪姫やるの。私は女王様♪」



ワォ適役。



と、言おうとしたけど瀕死の状態の向井さんを見てやめた。



「で、直人が鏡役、冷泉が王子様役。」


「今なんと。」



今とんでもない幻聴が…………



「冷泉が王子様役」


「ヒィッ」



とんでもない悪寒が!!


「こんな夢も希望もない人に童話の世界の王子様なんて言語道断だよ!」

「よし清香。今月の給料減らしてやる。」


「すんませんっしたぁ!!」



でも桐谷さんが王子様?


あれ、じゃあ白雪姫役は………



「あ、因みに清香ちゃんは白雪姫役だから♪」



カハァッ(吐血



その後伍未ちゃんはべらべら喋り続けた。



なんでも桐谷さんが王子様役をやるにあたって、伍未ちゃんが私がいるのに!とかなんとか言ったらしくて……



それでゼミの人がじゃあ彼女にやらせようぜ、とかなんとか



軽いだろ!



しかも伍未ちゃんはもう大学に申請してOKもらったとか……



何だろう……なんだか逃げられない‥「もう…桐谷さんがどこぞの女の人とちちくりあおうが別にどうも……………」


「彼女の台詞か?」



やべ、聞いてた。



***



そして文化祭本番



「時系列おかしいよ。」

「ハイ向井さん黙って。」



ガチャ、と試着室に入る。



「Hey清香ちゃん!」


「さぁーメイクするわよcome!」



ちなみに大学の皆さんは私が伍未ちゃんの姪だからか



はたまた桐谷さんの彼女だからか



ものすごく優しくしてくれる。



‥つぅか……演劇自信ないし。



相手桐谷さんだし…おそろしや……



「はい清香ちゃん!こっちちゃんと向き!」


「ふぁい!!」



あぁ首痛!!



顔にらくがき、もといメイクが済んで衣装に着替える。



あれ、てか私まだ桐谷さん見てないよ。



「はい清香ちゃん、舞台袖準備!!もう出番!!」


「あぁあぁあ!!」



拉致られ着いた舞台袖そっと覗けば



もう舞台が始まっていた。



***



「鏡よ鏡!!
この世で一番美しいのはだぁれ!?」



伍未女王は魔法の鏡に言いました。



けれど魔法の鏡は気が弱く……「……じょっ、女王様ですヴ……」



と、いつも答えるのです。



ですがその日、鏡は有りもしない勇気を出して言ったのです。



「しっ、……しら、……白雪姫っで、すいません!!」



あまりの女王の迫力に耐えられず泣きながら謝りました。



ですが女王は聞き逃さず言いました。



「えぇい!白雪姫ですって!?この私より美しいなんて!!」



そう言って狩人に言いました。



「白雪姫を殺しなさい!!そして全ての美貌は私の物に!!オーホホホ!!」



女王の笑い声は高らかにこだました。



狩人は白雪姫を連れ出して森に来ました。



そしてナイフを取り出し、言いました。



「お命頂戴いたす!ごめん!!」


「時代設定を間違えるなー!!」



ですが白雪姫の突っ込みに返り討ちになりました。



「何するのよ!うら若き乙女に!ヒドい!!」



白雪姫は狩人を打ちのめしてから森へと駆け出しました。



「何さ!まったく!てあら?」



そこには森の中に小さな小屋がありました。



なんだろう、と白雪姫は不法侵入を決め込みました。



「おじゃましまぁ〜す‥」


「女だァァアアア!!」

「姫様だぁあああ!!」

「やっふぃ!!」



おじゃましました、と言いたいくらいの歓迎ぶりの小人が七人いました。


白雪姫は事情を話すと小人達は



「まぁまぁ大変だったねぇ。」


「よかったらずっと居ていいのよ。」



と、言ってくれました。


「あなた名前は?」


「白雪姫、はあだ名なので清香です。」


「じゃあ清香姫ね!!」


と、小人達との生活が始まりました。



それはとても楽しい生活でした。



しかしそんな幸せな時間は長くは続かなかったのです。



「鏡よ鏡!世界で一番美しいのはだぁれ?」



そう、あの女王様がまた鏡に聞いたのです。



「まぁ?私が美しいのなんてわかりきってるっていうか?まぁ向井鏡が言いたそうだから聞いてやろうとさぁ?」



べらべらと喋り続ける女王様を前に、鏡は考えました。



(言う?言っちゃうか?でもまた割られるかも……前は寸前で止められたけどはぅわわわ‥)



その鏡の挙動不審さに女王は気づき言いました。


「なによ向井鏡!
はっきり言いたいなら言いなさいよ!!」


「ぴぃっ!
い、言えませんよ!白雪姫が生きているなんて!!」


「あぁ!?」



女王様はそこらのヤンキーより怖い声で鏡にガンつけました。



「白雪姫が生きているですって!?…フ、フフフ、オーホホホ!!この私を本気で怒らせたようね!!」



と、女王様の笑い声と共に雷が鳴った。



ぞくぅっ‥



と、悪寒が背中を走り、清香姫は身震いした。



その様子に小人達が気づき、清香姫に言いました。



「どうしたの?」


「具合悪い?」



小人達に迷惑をかけまいと清香姫は大丈夫だと笑いました。



翌日、



小人達が森に仕事があるといい、出掛けてしまいました。



家には清香姫一人になりました。



清香姫は掃除をしたりしていました。



コンコン、



ドアを叩く音がしました。



清香姫は無視しました。


ゴンゴン、



ドアを叩く音がしました。



清香姫は無視しました。


ドンドン、



ドアを叩く音がしました。



清香姫は無視しまし……


「ぅぉい!!」



人の声がして、清香姫は慌ててドアを開けました。



開けてみれば、そこにいたのは黒い服に身を包んだ老婆がいた。



「お婆さん、何かご用?」


「林檎はいかがですか?」


そう言って老婆は林檎を一つ清香姫に差し出しました。



「おいしいですよ?」



差し出された林檎は確かに赤く、とてもおいしそうでした。



「いかがです?」


「いや、そんなどこで取られたのかわからない得体のしれない林檎は結構です。それ無農薬?」



清香姫はあっさり断りました。



あまりの即答の速さに老婆は唖然としました。



「‥ま、まぁ騙されたと思って食べてみなさい。とても美味しいから」



ですが清香姫は警戒心が高いのか、まったく受け入れません。



そんな会話を数十分繰り返しました。



「……だから、食ってみろって言ってんだろーがぁあああ!!!!」


「むぐぅっ!」



ついに老婆の堪忍袋が切れて、清香姫に無理やり林檎を食べさせました。


「……なに、を……うっ……」



林檎を食べた清香姫は倒れてしまいました。



「ウフフ…オーホホホホ!!これで私が一番の美人よー!!!」



そう、老婆はあの女王様だったのです。


清香姫が食べたのは、毒林檎だったのです。



毒林檎を食べた清香姫は死んでしまいました。



女王様はその場から立ち去り、お城に帰っていきました。



しばらくすると、小人達が森から帰ってきました。



ですが、家の前で倒れていた清香姫を見て驚きました。



「せっ、清香姫!」



清香姫に駆け寄れば、清香姫が死んでいるのがわかりました。



清香姫から話を聞いていた小人達は女王様の仕業だとわかりました。



小人達は悲しみ、美しい清香姫を埋葬するのは嫌だと思い、



ガラスの箱に清香姫を入れました。







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