「ライオン!あいつまた…!」

「また…?」

「また!?″また″って前にもこんな事が!?」

「ええ、」

ウワバミさんが話してくれた。
私やハナさんが来る少し前、えんちょーさんがあの金色の子を連れて来た、と。

「オラッ」

金色の子が暴れ続ける。
えんちょーさんは、抵抗しない。

ウワバミさんも話を続けた。

「奴は変身した途端に暴れ回って見境なく園や私たちを攻撃してきたの」

「……」

「それ以来、園長は一度もライオンを変身させないままだったのよ」

「…なんで…助けってもらったのに…」

「……多分、園長がここのボスだから…」

ボスだから、なに?
それは園の皆を傷付ける理由になんか…

そう思って金色の…ライオンくんを、キッと睨んだ。

隣でハナさんがぽつりと話す。

「若いライオンは力を誇示して群れを乗っ取るんです。それがライオン社会…………」

その言葉に驚いてハナさんに振り返る。

「じゃ、じゃあ…!あのライオンは、えんちょーさんを…!?」

「…その気だと、思う」

どうしよう、助けなきゃ
助ける?力のない私に?
ああ、もう…!

「ラストッ」

「園長避けてー!!」

ライオンくんとハナさんの声が聞こえる。
それと同時にライオンくんが破壊した建物の破片が飛んできた。

ちょ、ちょ…!?
福本ちゃんがいるのに!

とっさの防衛本能で、抱えていた福本ちゃんを下に下ろして背負っていた甲羅で飛んできた破片をガードする。

がぁあん、と鈍い音が響く。
うおおお……腕がジンジンするう…!

「何で避けないの!?あんなの死んじゃうよ!」

「ハッハァ!!オレの勝…」

ライオンくんが両手を広げ、砂煙りが立ち込める中、勝利宣言をしようとした時。
ライオンくんの毛をえんちょーさんが掴んだ。

「えんちょーさん…!」

「これ、いいのかって聞いてる」

…″これ″?
これ、って…なんだろう。

疑問に思って首を傾げると、えんちょーさんがケロッとした表情でひょうひょうと言う。

「まあでもそんだけ動けんなら大丈夫か」

あれだけの攻撃を受けて…この人は本当に…!
感極まって、福本ちゃんをぎゅっと抱きしめた(うめき声なんか聞こえてないよ)

それから何度もえんちょーさんに攻撃を繰り出すライオンくん。
えんちょーさんが、ライオンくんの毛かな?それをめくった。

「んん…?よく見えない…」


めくった所にあった、それは

「傷……?」


古傷、だった。







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