「俺はシャチ。海のギャング=v

シャチは海で何度もみたことあるけど、二足歩行って言うのは初めて見た…
自称なのか知らないけれど、海のギャングというだけあるか…ウワバミさんとハナさんを食べようとした瞬間の迫力が半端じゃなかった。加西さん達が入ったことで食べられずに済んだけれど…

すごく、こわい。

あの力自慢な加西さん達が簡単に制された。
なんなんだろう、この迫力。何が原因?何がこんなにこわいの?

「話をしに来たんだ。ここの園長に会わせてくれないか?」

加西さん達を玩ぶほどの怪力。
相手は話し合いを求めているようだし、ハナさんは渋々といった感じでOfficeと書かれた部屋へ案内した。

皆そのあとを着いていった。
私は、足がすくんで動けないまま。
ねぇ、園長さんなら…お得意のラビットピースで私達を守ってくれますよね?
園長さん強いもん。シシドくんも強いし、加西さん達はちょっと手加減しちゃっただけだよ。
きっと、そう。

きっとそうなのに
なんでこんなに胸がざわつくの?
震えが止まらない。
悪い事を考え出したらもう止まらなかった。
捕まっちゃうのかな、私。
今、足腰に力が入らないからどうしようもないもんな…

はぁ、とため息をついてから木に寄り掛かる。
刹那、近くも遠くもない距離で園長さんのラビットピース!!と声が聞こえた。
足で抑えながらも吹っ飛んできたシャチさん。あとから園長さんとシシドくんも追い掛けてきた。

「目ぇそらしたら負けなんじゃろ?」

「うっせ!!あいつ殺す!!オレが!!」

「フハハ、次から次へと被食者のささやかな抵抗…いいね」

ちょうど私が隠れてる真ん前に立っているシャチさんに、どうか気付かないで…!と念を送る。あ、念送ったら気付かれちゃう!うわああんどうすれば…!

「ん?ちっ…海水が切れたか」

「わっ」

よ、よし帰れ帰れ!
なんてぬか喜びもつかの間、シャチさんからして私とは反対の木にイガラシさんが隠れていたのだ。

「ケンカは…やめましょ?」

イガラシさん…!
その言葉で収まるような奴じゃないでしょう…!

シャチさんは好都合、と呟いてからイガラシさんを目にも止まらぬ速さで脇に抱えた。

「は、離して下さい!!」

「でら煩いな。今お前を食ってもいいんだぞ」

「ひっ……」

イガラシ、さん
このまま見てるだけなんて出来ない。
イガラシさん拐われました、私見てるだけでした、ごめんなさいなんて、言い訳にもならない。
シャチさんは私に気付いてない。今なら油断してるはず…!

ダッと走り出してシャチさんに思い切り体当たりをする。
びくともしなくて、逆に私が吹っ飛ばされた。

「やっ…!」

「…海亀か。ちょうどいい、お前も連れていこう」

「は、離して…!」

腕を捕まれた。
なんでよ、私、イガラシさん助けようとしたのに。なんで捕まってるの。悔しいよ。

「煩わしいな、少し眠っていろ」

シャチさんが腕を降り下ろしたところで私の記憶はブラックアウトした。







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