書き出しと台詞リスト

・裏紙がうまっちゃったからここに収納。
・ネタバレること請け合い。
・よって閲覧注意。
・アナログで管理するのは正直つらかった。












「独りに、しないで」
「……お前は、独りじゃないだろう。何をそんなに泣く必要がある」
「違う」

「リオ≠、独りにしないで……!」


何となく、リオが辛そうなのは知っていた。そして、その理由が何なのかも知っていた。
でも私は怖かった。キスのその先をするのは、まだ怖かった。
けれどリオが私におそるおそる触れるたび、こわごわ抱きしめるたびに、どうしてか欲しくなっていた。
×××××が、欲しい。


天使の名づけは立ち会った者が行うんだ。けれど俺は、自分の名づけ親を知らない。生み落とされたのを見つけられたとき、すでに名づけられていたそうだ。……どうしてわかったかって? ああ、天使はな、名をもらった瞬間に翼が生えるんだ。つまり、俺は見つけられたときにすでに翼を持っていたということだな。天使ははじめ、言葉がわからなくとも自分の名として発された言葉だけはしっかり聞き分ける。だから、自分の名を認識した瞬間、翼を持ち、天使としての使命を享受するという。名づけをした天使が必ずしも弟子に取るとは限らない。そうなる場合がないわけではないが、そんなにうまく歳が離れるなんてまれだ。そう考えると、俺がイザヤール様に師事することはもしかしたら、ずっと昔から決まっていたことなのかもしれないな。


おまえのなは、×××××だ。だが、しかし、まなはだれにもなのってはならぬ。
きたるときまで、おまえは、××・×××××となのるのだ。
××よ、ゆめゆめ、わすれるなよ。


「これは、中国の言い伝えだよ」
「千年に一度天女が舞い下りてきて、三千畳敷きの岩を桃色の絹の羽衣で一掃きする。三千畳だよ」
「そして、その巨大な岩が擦り切れてなくなるまでの時間を永遠という」


「おかーさんは、おほしさま、すき?」
「うん、好きだよ」
「おとーさんもね、すきなんだって」
「お父さんが言ってたの?」
「うん。まえはね、こわかったけど、いまは、だいじょうぶなんだって」
「どうして?」
「こわくないように、おしえてくれたひとがいるから、いまはすきなんだって」


「いつかいたというテセウスのように、俺は約束を違えてお前をひとりにはしない」
「糸玉をくれたアリアドネを、心の底から、これ以上ないほど愛している」


僕の母は、長い見事な金髪を、いつも無造作に背中に垂らしていた。やり切れないような、それでも気丈な笑顔の絶えない人だった。
僕の父は、人間の遺伝子を欲しがっただけだ。今更、愛情なんて微塵も感じない。ましてや、愛情を求めようとも思わない。


「ふむ、ふむ。リオよ。お前は守護天使になりたいか?」
「……わかりません」
「じゃが、最近のお気に入りは人類学の本らしいのう。担当の教師に聞いたぞ」
「はい。興味はあります」
「そうかそうか。リオは翼の発達もはやいし、覚えもはやい。近々、誰かの弟子に取られるかもしれん」
「……そうなれば、精進して師に尽くすだけだと思います」
「よろしい。邪魔してすまんかったの。行きなさい」


「どうじゃ、イザヤール。そろそろ弟子を取ってみんか」
「いえ、わたしにはまだはやいかと存じますが」
「何を言うか。守護天使たるもの、己の実力を高めることだけが努めだけではないのじゃ」
「しかし……」
「良い良い。わしと一緒に訓練の様子を見ないか」
「わかりました。ご一緒いたします」


「イザヤールよ。気になる見習いはおるかの?」
「少し、時間をください」
「構わぬ。ゆっくり気が済むまで見ていくと良い」
「ありがとうございます」

(似ている……)

「オムイ様。向こうの蒼い髪の天使は、周りよりも幼く見えますが」
「うむ。あれはリオといってな、確かにここの見習いとは10歳くらいは若い」
「翼は、見劣りませんね。どなたが名づけを?」
「それがの、わからないのじゃよ」
「はあ、わからない……」
「誰に名をもらってこのような姿に育ったのか、全く見当もつかん」
「かなり力のある天使と見受けますが」
「そうじゃ。しかし、イザヤール。どうも、お前よりも力のある天使のようでな。心当たりはあるかの」
「そうですね……」
「お前の挙げた名の天使はわしも聞いてみた。だがの、皆覚えがないというのじゃ」
「それは……不思議な、見習いですね」
「気に入ったかの?」
「……わかりません。興味はあります」
「ほほ、そうかそうか。ゆっくり考えなさい」


おまえが居なくなってしまったら、俺は一体誰のもとに還れば良いんだ?





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2013/04/21 19:50

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