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 1---ookami side

*赤ずきんパロイシ吹です。成人×中学生(の身体)の挿入シーンが苦手な方はお避けください


僕は白い狼。
北が峰に棲んでいる。

森の動物はもちろん人間とも仲良しで、たまに僕も少年の姿に化けて、遊びにきた子供たちとサッカーをしたりもする。

だけど―――

このところ少年たちの様子が変なんだ。
ボールを蹴っていた時の楽しそうな笑顔も消え、吸いとられるように生気を失っていった。

そして自由だったサッカーの動きも型を押したように同じになっていき子供たちの口から『管理』とか『勝敗指示』なんて言葉が出て……シュートの練習をしなくなったんだ。

――だって、勝敗指示通りに点が入るんだからシュートの意味ないし。

子供たちは異口同音にそんなことを言った。


サッカーをつまらなくして子供たちを暗い顔にさせた原因は一体何なんだ?

調べてみると、フィフスセクターとかいう少年サッカー管理組織が諸悪の根源のようだった。
そしてそこに君臨する聖帝とかいうヤツが悪の頂点に立つ男。

コイツさえ倒せば、サッカー少年たちに笑顔が戻るに違いない。

そう確信した僕はある日白恋中に訪れた聖帝・イシドシュウジの居場所を嗅ぎ付けた。

(この人が………本当に極悪人?)

僕は彼に見とれ……いや監視しながらちょっと意外な気持ちになる。
格好は少し毒々しいけれど、端整な顔立ちに凛とした表情。立ち振舞いもスマートでソツがない。
――いやいや、騙されちゃダメだ。『人は見かけによらない』と人間の教訓にもあるじゃないか。


白恋の校舎に消えていくイシドシュウジを見届けると、ハイヤーの前で同じく彼を見送っている運転手に狙いを定め………僕は唸りながら忍び寄る。

「ガルルル………」
「ギャアアア〜〜!!狼だあ!!!」

一目散に逃げていった運転手に代わり、僕は人間に化け彼に成り済まし運転席に乗り込んで、イシドシュウジの帰りを待った。

何故か僕は人間に化けると中学生の姿にしかなれないから、ちょっと身長が足りないのだけど………

やがて、イシドシュウジが戻ってきて。
出迎えが無いのを不審に思ったのか少し慎重に自分で後部のドアを開ける。

「ああ、そこに居たんですか」
「…………」

「すぐに車……出せますか?」
「……ええ、出しますのでどうぞお乗り下さい」

「………?」

僕はなるべく低い声で答えたけど、完全に不審がられたようだ。


「何だか……子供のような声だが…」
「ち、違います。ちょっと風邪をひいたみたいで……」

「ああ……それで鼻声か」

「ええ、そうです。早く乗って下さい」

よくわかんないけど納得して貰えたみたいで良かった。このままとにかく車内の密室に……と僕は急かす。

イシドシュウジは首を傾げながらも車に乗り込みドアを閉め……ここまで来ればしめたものだ。

「じゃあ、千歳空港のヘリポートまで頼みます」

「え、あ……はい」

まだ警戒を解いていないイシドさんの声に返事をするものの、僕は動こうとしない。

「どうしました?」

「いえ……」

「というかやはり君……小さくないか?」

「………小さくは……無いですよ、ほら」
「っ――!?」
イシドさんが息を呑む。

何故なら僕の髪から二つの白い耳が出て………振り向いた時には狼の姿に戻っていたのだから。

「ね、大きいでしょ?」
「………!」

「あなたを……食べれるほどにね!!」

く……っ、ジャラジャラとアクセサリーを着飾った派手な見た目によらず素早い身のこなしだ。

僕を躱し車外に出ようとする彼の動きに一瞬戸惑うけれど、妖術も駆使してなんとか敵を組み敷いた。

「待て………俺にはまだ……やることが……」

術が効いて朦朧としているイシドさんが絞り出す声に、何故かドキンと鼓動が跳ねる。

でも悪いけど―――同情はしないよ。

君は、滅多なことでは腹をたてない僕を怒らせるほどの悪人なんだから。

美味しく食べさせてもらうからね――。
と僕は彼を巣に持ち帰った。



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