仕事が捗らない理由


仕事が捗る。すごい捗る。なぜかってあの上司が休みだからです。
睨まれることも嫌味を言われることもなく、執務室を占領して優雅に書類を…。
いや、書類捌くのは全然優雅じゃない。むしろ苦痛。
黙ってやるなら鬼灯さんと言い合いしながらやってた方が楽しい。

うん?今なんて?また私変なこと考えたような…。忘れよう。

とにかくあの上司がいないとこうも静かなものかってことを実感してるわけなんです。
静か過ぎて物足りないくらい。本当に静かなんだもん。
意外とこの部屋広いし一人じゃ寂しい。
突然飛んでくる巻物と攻防してたほうが騒がしくてちょうどいい。

あれ?私は一体何を考えているんだ。
これじゃあ誰かさんがいなくて寂しいみたいなことに……。

「あ…この資料どこだっけ。鬼灯さんに聞こう…」

うわ、何してるの恥ずかしい。いつもの癖で隣を向いてしまった。
誰もいないから。隣の机は今空っぽだから。
ガン、と机に頭をくっつけて突っ伏せば、わけのわからない頭を冷やす。

最近なんだかおかしい。仕事も妙に手につかないし。
ほら、ここにある書類だっていつもなら一時間前にはとっくに終わってる。
今日はまだこんなに。溜まりに溜まって、このままでは今日は残業コースかもしれない。
深く息を吐く。私は本当に上司からのストレスで気を病んでしまったのかもしれない。
捗るとか言って全然捗ってないし。顔は熱っぽくなったりするし。集中力も続かないし。

そういえば最近、いじめがさらにエスカレートしてきた気がする。金魚草の件で余計だよ。
それに心臓に悪いものも増えてきた。
いつも肉体的に痛いものだったのに、今は精神をも追い詰めてくる。

そうか、上司のいじめで私の心臓弱ってるんだ。病院に行こう。診断書貰って提出しよう。
思い出したら腹立ってきたから、上司の椅子に細工しよう。
座ったら壊れるようにダメージを…これでよし。

「はぁ…心労が絶えない」

なんだか一気に疲れた。どうせ残業決定なら少しくらいサボってもいいだろう。
そう思いながら誰も引き留めてくれない執務室をあとにした。

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