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2

「おや、目が覚めましたか」
「う…?」


次に俺が目を覚ましたのは診察室なんかじゃなく、白い天井と白い壁に囲まれた病室のベッドの上だった。なんで、と手を上げて自分の腕から管が伸びていることに気付く。

「あなた、診察室で倒れたんですよ。先生の前でよかったですね、先生がすぐに処置してくださったんです」


先生と聞いて、薄ぼんやりしていた頭が覚醒する。そういや、診察室で入院、て言われて、それで…。
いやいやいや、倒れたのあいつのせいだから!

そばで点滴の液を調整する看護師さん(男。これまたイケメン)に訴えるようなまなざしを向ければ、くすりと笑われた。

「気管支炎を起こしていたんです。もう少しで肺炎になるところでした。一週間もすれば退院できますよ」

何かあればお呼び下さいね、と病室から出て行った看護師さんの背中をぼんやりとながめ、扉が閉まると視線を天井に移した。

気管支炎なんて初めてなった。
というか、あの医者、確か俺にキス、したんだよな?

病人になんてことしやがる、という思いとなんでそんなことされたんだろう、という思考は再び襲ってきた睡魔によって遮断された。



「ん…」

どれくらい眠っていたのだろうか。体がなんだか気持ちいい。ふと閉じていた眼を開けると、目の前にきらっきら輝かんばかりの美形がいた。

…こいつの顔、どこかで…?

「、てめ、…あっ!」

そうだ、俺にキスした変態医者だ!と気が付いて体を起こそうとして、びり、と胸に甘い痺れが走り思わずびくりと体をベッドに沈ませる。すると目の前の美形は目の覚めた俺に気が付いてにっこりと笑った。

「やあ、起こしてしまったかな?いきなりそんな風に起き上ってはダメだよ。まだ熱があるんだし病気はそんなすぐに治らないんだからね。」
「…あんた、なにしてんすか」

きれいな極上スマイルを浮かべながらもせわしなく動くその手は、俺の服をはだけさせて薄い腹の上を動いている。

「いやなに、様子を見に来たらあまりにも汗がひどかったものでね。少し汗を拭きとっていた所だよ。こじらせてはいけないからね」

もっともらしい顔をしてるけど、お前さっき乳首触らなかったか?と聞きたい。それに、なんで診察室でキスしたのかも。だけど、それよりも冷たいタオルで汗を拭かれるのが気持ちよくて。

「…あり、がと…せんせ…」

にこりと微笑んで再び目を閉じると、ものすごく気持ちよく眠りに落ちた。



「…そんな無防備に可愛い顔を晒すだなんていけない子だね…。少しは危険を覚えないといけないよ…?」


そんなことを呟きながら、眠る俺にキスをしただなんて知る由もなかった。

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