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10

その日は、今までで一番激しく抱かれたかもしれない。俺はもう何が何だか分かんなくなってずっと喘いでいたような気がする。

気がするって言うのは、あれだ。もう感じ過ぎちゃって前後不覚になっちゃって気持ちいいってしか覚えてないから…なんだけど。

でも、もう一つ、ちゃんと覚えてるものがある。



それは、俺を抱いているときの草壁ちゃんの目。



それを確認するかのように無意識に何度も何度も見ていた。すっごくすっごく意地悪なお顔してたけど、すっごく意地悪なお顔で笑ってたけど、目だけ。
ずっとずっと気になって、今回のことの発端になったあの目だけは、ずっとずっと優しかった。目は口ほどにものをいうって、ほんとのことなんだなあって思った。

どうして今までちゃんと見ていなかったんだろう。草壁ちゃんは、どれだけ意地悪なえっちをしても、その目でちゃんと俺に『好き』って言ってくれてたのに。


朝起きて、『おはよう』っておでこにちゅうしてくれる草壁ちゃんを見て、俺ってばまたボロボロ泣いちゃって。やっぱりいやだったんじゃないかっておろおろする草壁ちゃんに首を振りながら、言った。


「…っ、愛してるから、愛してくれてる目で見てくれてるから、なにされても平気。」


俺の言葉に、草壁ちゃんは何も言わずにただただぎゅって抱きしめてくれた。



ねえ、草壁ちゃん。俺たちは、すごく未熟で、未完成で、間違うことや勘違いすることだってたくさんある。やってしまったことに後悔して、それでまた躓いちゃうことだってあると思うんだ。でもね、一つだけ確かなこと。



君が好きです。


未来は、これからいくらだって作ることができる。だから、草壁ちゃん。過去はどうしたって変えられないなら、これからの。



君と作る、未来をください。


end
→あとがき

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