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6

晴れてきちんと思いを通じ合わせた次の日、俺は例のあの子を逆に呼びだした。きちんと、悟と俺は恋人同士だと言うためだ。



「知ってた」



呼び出してそう告げるとすぐに、その子は腕を組んでさらりとそう言い放った。

「知ってた…?」
「うん。僕、悟君に告白したって言ったじゃん。君バカだよね。悟君が『あゆといる時間がなくなるのは嫌だから』なんて曖昧な断り方するはずないでしょ?」


確かにそうだ。悟は結構律儀な奴だから、人の告白をそんな理由で断ったりはしないはずだ。

「告白したときにね、ちゃんと言われてたんだよ。『俺は鮎太が好きだから、鮎太って言う恋人がいるから』って。だから、初めて話したときに言ったでしょ?『麻生君と別れてよ』って。なのに、君、付き合ってるわけじゃないとかただの幼馴染だとか言い出すから腹が立って。なら、自信がないなら奪ってやろうって。悟君が君にべた惚れなのはわかってたから、君が自信がなくてそう言ってるなら揺さぶって自分から離れるように仕向けてやろうと思ったんだけど。君が悟君になんて聞くかも想像できたし。悟君が何て答えるのかも大体想像してた。ま、これも僕にとっては賭けだったんだけど。結果、せっかく君、勘違いして悟君から離れてくれたのにね。」


失敗だったみたい、と心底忌々しそうに俺を睨みつけるその子に、俺はぐっと唇を噛んで頭を下げた。

「ちょ、なに!?」

急に頭を下げた俺に、その子は驚いておろおろとした声を出す。

「…ごめん。ごめんなさい。俺、卑怯だった。君のおかげで、ちゃんと悟と恋人になれた。…ありがとう。ごめんなさい。」

俺がそう言うとその子はますます眉間にしわを寄せた。そして、『ばかじゃないの』と一言だけ捨て台詞を吐いて残し、その場から去っていった。


それから、何故かその子はよく俺のところに来てくれるようになった。悟がいてもいなくても、ただ純粋に俺に会いに来てくれているようだ。
そして会うたびに悟との関係は順調か、困っていることはないかさりげなく聞いてくれる。

「君ね、なんか危なっかしいんだよね。ほっとけないって言うの?ほんと迷惑。」

そう言いながらも悩み事なんかを聞いてくれる彼は、俺ともしかして友達になってくれたんだろうかと思う。
でも、悟が好きだったはずだし俺といて辛くないのかと悩んだりしたんだけどどうやら悟の友達と上手くいっているようだった。

今日も悟の部活が終わるのを一緒に待っていてくれて、悟が教室に俺を迎えに来ると同時にじゃあね、と去っていく。
彼には感謝してもし足りない。
ありがとう、と手を振ると少し照れくさそうに顔を赤くして悟と軽く挨拶を交わしてその子が出ていくと、代わりに入ってきた悟がにやけてる俺をみて不思議そうに笑った。

「なに?なんかあった?」
「ううん。何にも。…ねえ悟。」
「うん?」
「好きだよ」


もう、自信がないなんて、告げるのが怖いなんて思わない。二度と、間違えない様に。
俺の告白に真っ赤になった悟に、自分から腕を回して抱きしめた。


end
→あとがき

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