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しろむら様リクエスト
の、『可愛い王道転入生(KY猫かぶり)×平凡脇役』です。
嫌われ→あまあまご希望とのことで、裏返しの愛情とはまた違う嫌われをと考えてみましたが…
ご希望通りの仕上がりになっておりますかどうか…
18禁、エロありです。苦手な方はご注意ください。
がんばります!
ではどうぞ♪
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くだらない、くだらない、くだらない。
「てめえ、陽太(ひなた)に近づくんじゃねえよ平凡が」
「本当に厚かましいですね。陽太が優しいからと言ってそれを利用して私たちに近づくだなんて」
「「さいってー。」」
「じゃま…」
バカの一つ覚えみたいに毎日毎日同じ事を繰り返す連中に内心おえ、と吐きまねをする。こいつらは自意識過剰と言う言葉を知らないのだろうか。
いや、こいつらよりも気にくわない、反吐が出そうなほど嫌いな奴がいたっけな。
「みんなやめて!滝君は僕の親友なんだよ!ね、滝君…!」
眉を下げてわざと美形どもに嫌みを言われている平凡な男の前に躍り出ると、美形どもは気持ち悪いほど目尻を下げて俺を囲んだ。
「陽太は本当に優しいですね。」
「ああ、まったくだ。そんなカスを親友だなんてさすが俺の惚れた男だぜ」
「「ひなちゃん、やっさしぃ〜!」」
「ひなた、すき…」
俺を囲む美形どもの隙間から、先ほど背中にかばった平凡をちらりと盗み見ると平凡は眉を下げた情けない顔で俺を見て緩く笑っていた。
――――ああ、ほんとにくだらない。
「あぁ〜、つっかれたあ!」
ばさり、とカツラを外して床に投げ捨てリビングのソファにどかりと座る。
「ったく、なぁにが『俺の陽太』だ。くっそ気持ちわりい。バカしかいねえのか、この学校の生徒会は。なあ、滝?」
たばこに火をつけながらぐたぐたと悪態をたれると俺のカツラを拾ってテーブルに乗せた滝が困ったように眉を寄せた。
ちっ、と舌打ちをしてごろんとソファに寝ころび、滝をちょいちょいと手で呼び寄せる。おずおずと怯えたように近づく滝にイラついてじろりと睨めば滝は面白いほどに体をすくませた。
「ぼうっとしてんじゃねえよ。さっさとマッサージしろよな、グズ。」
「…ごめん」
たばこを消してうつぶせになると、滝が遠慮がちにソファに上がり俺の背中を押し始めた。
俺、柚木陽太(ゆうき ひなた)はちょいと名の知れた不良チームの副総長だ。背は低いが抜群の身体能力で喧嘩では負け知らず。見た目だって、女顔ではあるがかなりの美形で相手には困らない。
そんなはっきり言って人生勝ち組なこの俺が、なんであんな気持ち悪いやつらにくっついているのか。それは、罰ゲームだからだ。
それは幹部の一人とトランプをして負けた時に決まった。幹部のやつは腐男子とかいうやつで、なんでも王道とかいうのにどハマりしているらしくなんと負けた俺にその王道とやらになることを命じた。
本を渡されて、サラッサラの茶色の髪のカツラとつけまつげを渡された時の俺の気持ちが分かるか?
本は読んで気持ち悪くなった。なんだこれ。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にユニゾン庶務、無口わんこ書記?
この、かわいこぶりっ子の男タラシをこの俺にやれってのか?冗談じゃない!
そう思って断固拒否しようとしたが『逃げるんですか?』なんて言われて元来の負けず嫌いのせいで『誰が逃げるか!』と啖呵を切ってしまった。わが性格がうらめしい。
そもそもそんなバカな学校があるのかと思いきや、なんと俺の叔父が理事長をつとめる学校がまさにそんなバカ学校なんだと。ご丁寧に調べ上げてきた幹部の奴の輝いた顔をぶん殴ったのはいうまでもない。しかも、叔父も叔父で腐男子なんだと。幹部の奴とはネッ友で、頼まれて二つ返事でOKして交換体験留学という名目で俺を自分の学校に呼び寄せた。
こんなアホが理事長なんざいつか滅びるだろう。つか今すぐ滅びろ。
うちの親は
『あんな立派な学校を体験させてくれるだなんて!いい経験だからいってきなさい!』
と大喜びで俺を送り出した。
こうして、俺はこの隔離された全寮制のお金もち学校にやってきた。
あんな馬鹿な話は本の中でしかない夢物語だと思ってたが実際そうではなかったことに驚きだ。本の通りにかわいこぶってうるうるしながら自己主張するだけでころりと美形どもは俺に落ちた。
バ会長にキスされそうになった時には本気でぶん殴ってやったのに『お前に惚れた』とかぬかしやがってマジキチだなと思ったもんだ。
一生作っとけと思いながら作り物の笑顔を指摘してやったら頬を赤らめた副会長に心底キモイと思った。
本気の恋なんてめんどくさいからセフレを作っていると言ったチャラ男にはお人形でも相手にしろと思った。
『見分けて欲しい』と言いながら全く同じ仕草や格好をする双子は髪の色を赤と青にでもしろと思った。
無口な書記は何も言わなくてもわかってもらえると喜んでたけどしゃべれないなら一生しゃべんなと思った。
俺は罰ゲームの期間、吐き気がするほど嫌いな奴らに引っ付きまわられなきゃいけねえのか、とうんざりしてた。
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