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8

目が覚めると、目の前いっぱいに愛しのそーちょーの寝顔があった。ベッドも体もさらさらしてて、あの後そーちょー、きれいにしてくれたんだなあって抱っこしてもらってる自分を想像してにへへと笑った。

眠ってる顔を見るのは久しぶり。ずっとずっと触れたくて仕方なかった大好きなそーちょー。

そっとその頬に触れて、起こさないように恐る恐る顔を近づける。
ちゅ、って、軽くキスをしたら、きゅううって心臓が苦しくなって好きがいっぱいいっぱい溢れてきた。

「そーちょー…、好きー…」

眠る顔にすり寄ると、体をぎゅっと抱きしめられてびっくりした。

「お前は…、なんつー強烈な目覚ましをしてくれんだ」
「あ…、ご、ごめ、なさ、、や、やだった…?」

自分がしたことがばれてたと知って慌てて謝罪をする。どうしよう。そーちょー、寝てるときにちゅーされるのイヤだったのかな。
しょぼんとしてると顎をあげられ、そーちょーが俺の口を塞いだ。

「ん…っ、ん、」

俺がしたのなんか比べものにならないような激しいキスをされて腰砕けになる。トロンとした目をそーちょーに向けるとそーちょーはにやりと笑って自分の口をペロリとなめた。

や、やらしーよそーちょー!

「嫌じゃねえよ。ただ、目が覚めただけじゃなくて違うところも起きちまったがな?」

そう言って真下を指さすそーちょーの指をたどれば、そこにはつい数時間前まで俺の中にいたそーちょー自身がぐんと上を向いていた。

「そ、そーちょー、えっちい。」
「あ?当たり前だろ。今回の騒動が収まるまで、どれくらいお前を我慢してたと思うんだ。昨日無理させちまったから今日は大人しくしてやるつもりだったがあんなかわいいことをされちまったらこうなるに決まってんだろ。」

き、昨日あんだけしたのに、そーちょーってばすごい。


…俺、ほんとに愛されてんだなあ…。


その事実が嬉しくてそっと布団の中に手を入れてそーちょー自身に手を触れれば、慌ててそーちょーが俺の手を掴んで離させた。

「そーちょー?」
「ばか、冗談だ。いやまあお前を見てこうなって欲が出ちまうってのはほんとだがな。いいんだよ。お前に無理させたくねえ。…それより、太一郎。昨日何度も言ったが、もう俺から離れようなんて考えるなよ?」
「うん、離れない。ずっと、ずっとそーちょーのそばに…」

いる、と言いかけてふと考える。…あれ?俺、なんでそーちょーから離れることになったんだっけ…?

「あ、あああ…!」
「どうした?」
「そ、そーちょー!ごめんなさい!だめ、だめだよ!俺、俺、そーちょーと一緒にいられない…!」
「あァ!?」

そうだ。すっかり忘れてた。俺、転校するんだった。お父さんの仕事の都合で、ここじゃない遠い遠いところに行かなくちゃいけないんだ。
ボロボロ泣きながら理由を話すと、そーちょーは大きなため息をついて俺を見た。

「お前がここに住めばいいじゃねえか。」
「うん、だからもうそーちょーとは会えな…って、えええええ!?」

まるで飯でも食いに行こうぜくらいの軽いノリでそーちょーが吐き出した言葉に俺はびっくりして目をぱちぱちとさせ大声を出してしまった。

「幸い俺は一人暮らしだ。学校からも近い。家事だってなんだって人並み以上にできる。お前一人増えたってなんてことねえ」
「で、でも、でも…」
「それにな、太一郎」

そーちょーが困惑してあわあわしてる俺の頬にそっと触れてものすごく真剣な顔をした。見たことないほど真剣な顔で、いつもと違うそーちょーの様子にどきりとする。

「俺は、お前と生涯を共にするつもりだ。卒業して就職してから、きちんとプロポーズするつもりだった。だから、いわば今回のは婚前同棲ってやつだ。なに、一緒に暮らす時期が少し早まっただけだ。問題ないだろう?」



ぷろ、ぽーず…。



それって、あれだよね。結婚ってやつだよね。え?おれ男。そーちょーも男。できるの?俺、そーちょーのお嫁さんになれるの?

「親御さんには俺が話す。だから太一郎。俺のところに来い。この先一生だ。」
「う、ん…っ、うん…!」

愛してる、とささやかれて抱きしめられて、ボロボロ泣きながらそーちょーにしがみつく。アツ先輩には申し訳ないけど、アツ先輩が捕まってくれたおかげで俺、こんな幸せになれた。アツ先輩、ありがとう。

「そーちょー、大好き…!一生離れないから…!」
「上等だ。離さねえし逃がさねえよ」



その後、俺は両親に『やっぱり今の学校を卒業したい』と頭を下げた。お父さんたちもほんとは今の学校を辞めさせたくなかったみたいでどうしようかと悩んでいたそうだ。それで、一緒に俺の家に行ってくれたそーちょーがきちんと俺の両親に話をしてくれた。そんな厚かましい事を…と遠慮していた両親は、そーちょーの家の家賃や食費、光熱費などを半分払うこと、そしてそーちょーが家にあるパソコンにスカイプを付けて毎日両親と話をさせますからと約束して、そこまで言ってくれるならと俺の事をよろしくお願いしますと言った。


もうすぐ、俺はそーちょーのうちにお引越しする。今お料理とかお掃除とか、お母さんにいっぱいいっぱい教えてもらってるところなんだ。


引っ越したその日、俺はそーちょーの前で三つ指ついて言うんだ。



『不束者ですが、よろしくお願いいたします』って!



えへへ!だって、そーちょー俺の旦那様になるんだもんね!


end
→あとがき

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