6
「おうじさま…」
すごいや、またぼくを助けてくれた。
「お、おうじさま、ありがとぉ」
嬉しくて嬉しくて、すり寄るようにしてふにゃんと笑ってお礼を言う。
すると、良平に思い切り手を引っ張られた。
「哲平、行くよ!」
良平はぼくの手をつかんでぐいぐいと引っ張って食堂を出て行く。
な、なんで?王子様に会えたのに!
「良平!良平!」
あんまり早く歩くから、何度もこけそうになる。声をかけるけどちっとも止まってくれない。
部屋についてから、ようやく良平がこっちを向いてくれた。
「ごめん」
良平が謝った。
よくわからなくてきょとんと良平を見つめる。
「ごめんね、急に引っ張って。あの人が哲平が言ってた王子様だね?」
「うん、あの人がぼくを助けてくれたんだよ!今日も助けてもらっちゃったね、王子様ってすごいなあ」
にこにこしてると、ぼくの頭に良平がぽんと手を置いた。
「あのね、王子様には、王子様を悪い奴から守ろうとする兵隊がいるんだよ。でもその兵隊の中には、王子様に近づくだけで間違って攻撃しようとしてくる奴らもいるんだ。
さっきはその兵隊が哲平に向かってきてたから慌てて引っ張って逃げてきたんだよ。ごめんね。」
そうなんだ。ぼく、兵隊さんに捕まっちゃうとこだったんだ。
「心配かけてごめんね。」
しゅんとして謝ると、良平はにっこり笑ってぼくの頭を撫でてくれた。
「ううん、僕こそごめんね。今日はもう先にお風呂に入っておいで。お風呂上がりにホットミルク入れたげる」
やったあ!良平のホットミルク大好き!
「はあい」と返事をして、お風呂場に向かった。
「王子様ってあいつだったのか。さっきの食堂にいた親衛隊はやっかいそうだったな。
ま、あいつなら哲平に何かあればなんとかしてくれるだろうけど」
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