6
それからの俺は、ひどいもんだった。
所かまわず喧嘩を売った。何人もぶちのめし、時にはチームのやつさえ手を挙げた。
良平、良平、良平、良平。
考えるのはいつも良平のこと。あの時の陵辱の記憶は、忌まわしい鎖となって俺を縛り付ける。
狂おしいほど恋い焦がれ求めているのに、もう二度と決して手に入れることはできない。
あの陵辱を思い出して、泣きながら自慰をする俺は狂っているのだろう。
吼えながら暴れるおれは、まさに狂犬そのままだった。
そんなある日、俺はいつものたまり場で生気なくソファに座り込んでいた。
何やら、入り口あたりが騒がしい。
「おいこら、ちびすけ。ここはお前みたいなガキが来るとこじゃないんだぞ」
「なんだ、こんな夜に迷子かよ?親は何やってんだ」
不思議に思い、腰を上げ近寄る。
「何やってんだ」
「あ、白鳥さん。このガキが…」
「おにいさん!見つけた!」
そこにいたのは哲平だった。
一瞬、嫉妬で目が濁る。この子のために、良平は体を差し出した。
この子のために……
…約束は守るよ、良平。お前が自身を生贄にまで守りたかった子だ。
「どうしたんだ?一人でこんなとこまで来たの?危ないよ。送ってあげるから帰ろうね」
背中を押して店を出ようとしたとき。
「おにいさん、良平をたすけて!」
優しくいう俺に、哲平がすがった。
[ 96/459 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top