2
親衛隊たちからの嫌がらせにも、
「俺はこんなことであいつらから離れたりしない!だって友達だから!
」
といい、みんなから光だ何だとちやほやされ、また親衛隊やその他の生徒から恨みを買う、と永遠ループだ。
そんな中、完全に巻き込まれた哀れな生徒が居た。
生徒の名は花形纏(はながた まとい)。
見た目は至って平々凡々。
学力も中の上、家柄も中流。
クラスでも目立たず、おとなしい花形は、たまたま転校生の同室者となり、いきなり親友認定され、転校生に無理やり連れ回されている。
常に行動を共にさせられるため、転校生信者のイケメン軍団からは嫉妬の目で睨まれ、信者に守られ転校生に手の出せない親衛隊からは八つ当たりのように嫌がらせを受けている。
めったに言葉を発しない花形は、学園の皆からいわれのない恨みを買い、嫌われていた。
本格的な制裁が近々行われるであろう、とピリピリとした空気の中、食堂に転校生が信者と生け贄とともに現れ、いつもの茶番が始まった。
「あー、腹減った!早く食おうぜ!俺オムライスな!纏もだろ、まったくとろくさいよな!しょうがないから一緒に注文してやるよ!」
転校生の鈴野は、花形を自分がいないと何も出来ないやつだといい、あれこれと大きなお世話を押し付ける。
そんな鈴野を見て、信者たちはなんて優しいんだとうっとりとし、その優しさを向けられる花形を睨む。
オムライスが届けられ、卑しくガツガツと食べ始める鈴野。ケチャップを口の周りにつけながらボロボロこぼすその姿を、なんて無邪気なんだと目を細め見つめる信者たち。
「あー!なんで食べないんだよ!好き嫌いはいけないんだぞ!」
ふと横を見ると、花形がオムライスを前に微動だにしていない。
「はっ、せっかく宝が注文してくれたのに何様のつもりだ?」
「まったく、人の優しさを無碍にするなんて最低ですね。」
そんな花形を見て、信者たちが花形に嫌みを言う。
「やめろよ!纏はちょっと無神経なだけなんだ、ほら纏!謝れよ!今なら許してやるから!」
まったくお門違いな謝罪を要求する鈴野。
大声で叫ぶため、口から食べかすが飛び散る。
ぎゃあぎゃあとわめく中、花形がふるふると震えだした。
「もう、我慢できない…!」
だん!!!
今まで一言も発することのなかった花形がテーブルにその両拳を叩きつけ、いきなり立ち上がって叫んだ。
[ 2/459 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top