感想 


61.十字路の奇跡〜幸せの誓い〜
 2011/09/11 - 辛口感想
ジャンル:中世風ファンタジー
長さ:長編(連載中)

第四章(122ページ)まで拝読いたしました。


いいかげんなあらすじ:
サガ教が権力を握るクロスロード神聖国では、“術者”が迫害されていた。
司祭・テルジアは他の教派から術者を守るために、セイレム村に派遣される。
テルジアはセイレム村で、深い因縁のある術者に再会するが……。


 ストーリー・文章がていねいで読みやすい
 文章のツメが甘い
 冒頭の掴みが弱い
 キャラクターや舞台の立体感に欠ける





主人公の年齢層が高く、落ち着いた雰囲気の中世風ファンタジーです。
派手さはないものの、ストーリー・文章がとてもていねいで、無理なく物語を楽しめました。
説明もしっかりと書きこまれていて、ストーリーを理解しやすかったです。

しかし、文章の細かい部分が十分に整理されていない点に引っかかりました。
また、キャラクターや世界観の魅力を表現するための描写が不足気味です。
そのため、全体的に悪くはないものの、洗練されていない印象を受けました。


 ストーリー・文章がていねいで読みやすい

ストーリー・文章がていねいで、物語の流れがとても自然でした。
また、説明がしっかりしているので、内容を理解しやすかったです。
そのため、とても読みやすい作品です。

文章や展開がていねいな分、物語の進行が遅い面もあります。
しかし、冒頭で主人公の目的が示されていたおかげで、物語の方向性を把握できたため、まったく気になりませんでした。

さらに、主人公がほとんどの村人に避けられていて、逆境に置かれていたため、ストーリーに緊迫感がありました。
ただし、第四章で主人公が村に馴染んでしまい、緊張状態が解消されて締まいました。
そのため、早めに新たな危機をにおわせなければ、中だるみしてしまう可能性があります。


 文章のツメが甘い

ていねいに書かれている作品なのですが、文章の細かい部分が整理されていません。
そのため、文章のツメが甘い印象を受けました。

まず、同じ表現が続く点に引っかかりました。これは、特に序盤で顕著です。
また、不要な指示語(特に「そんな」)の頻発も気になりました。
さらに、同じ説明が二、三回繰り返されていて、読むのが少々めんどうな箇所もありました。

視点が安定していない点も気にかかりました。
いつのまにか同じ場所にいる他のキャラに視点が移動している箇所が多々あり、登場人物に感情移入しにくかったです。
加えて、だれの視点なのかわからない、第三者の視点が存在していたせいで、物語から現実に引き戻されることもありました。


 冒頭の掴みが弱い

冒頭が新鮮味や刺激に乏しいせいで、掴みが弱いです。

一番最初の春告鳥のシーンは不穏な雰囲気は伝わってきますが、地味すぎます。
また、文章のアラも目立ちます。
そのため、大多数の読者が読み進めるかどうか判断する、最初の数ページに持ってくるには、少々もったいないです。

シーリアとの会話シーンも説明が多く、やや退屈でした。
具体的なイベントが起きる前にあれこれ説明されても、頭に入りにくい上におもしろくないのです。
後に細かく説明されている事柄が多いので、もっと内容がコンパクトなほうが、物語に集中しやすいかもしれません。


 キャラクターや舞台の立体感に欠ける

ストーリーを理解するために十分な説明と描写がされていますが、キャラクターや世界観の魅力を表現するための描写が不足気味です。
そのため、キャラクターや舞台の立体感に欠けていました。

キャラクターの人物像はしっかりと掴めますが、生き生きとはしていません。
主要人物の背景や過去のエピソードが、具体的な描写を伴って書かれていないせいだと考えられます。

舞台については、キャラクター同様にどんな世界観なのかは大体把握できました。
しかし、設定の細部について書かれていないため、世界観に厚みが感じられませんでした。
特に、サガ教の教義や、術者の能力がほとんど明かされていない点が気になりました。


携帯サイトでは読者の集まりにくそうな内容ではありますが、致命的な欠点はなく、安心して内容を楽しむことができました。
また、粗い面のある文章ですが、流れがスムーズで読みやすいです。

一般小説とライトノベルの中間的な新書系のファンタジーや、
宗教がストーリーに深く絡んでいる話が好きな方にオススメの作品です。


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