01
「今の、告白?」
先輩の発した言葉に、意表を突かれた。
からかっているのかと思ったけれど、先輩の表情はいたって真剣で。
「はい」その一言しか言えなかった。
先輩はまたしばらく黙りこむ。
いつも鋭い瞳が、じっとコンクリートを見つめている。
握りしめすぎた拳が痺れてきた。
「八尋」
「…はい」
「ありがと」
やっと口を開いたと思ったら、今度はお礼。
先輩は何を考えているのかわからない。
何も考えてなかったりして、なんて。そんなことはないか。
「そう言ってもらえて嬉しい。んで、これからも八尋のこと守ってやりたいって思ってる」
「……ほんと、ですか?」
「ほんとだよ」
先輩にしては珍しく、むしろ初めて聞いたような柔らかい声が耳に届いた。
じわり。涙が滲んで、目の前の先輩が一瞬でぼやける。
歪んだ先輩は困ったように眉毛を下げて、再び視線をコンクリートに戻した。
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