01
はじめての×××
高校を卒業して、俺も清香も地元の大学に進学した。俺は工業大学、清香は共学の私大。
大学は目と鼻の先にあるから、いつでも好きな時に会えていた。
「きよかー」
『はぁい?』
「今日家来い」
『え!?』
「じゃあ5限終わったらそっち迎えに行くから」
『ちょ、と待って!』
ピ。
携帯の電源ボタンを押して電話を切る。
よし。放課後の予定取りつけ完了。
「里垣ー。今日メシ食って帰ろうぜ」
「無理」
「はぁ!?無理!?」
「彼女と会うから」
「あー、ダメダメ。こいつ彼女絡むと聞く耳持たないから」
後ろで、間抜けな声が聞こえる。
遠藤だ。
こいつはなぜなのか知らないが、俺と同じ大学に入学してきた。学部も学科も全く同じ。
俺についてくんなと言うと、「由和が俺に合わせてきたんだろ」ととぼけたことをぬかしやがった。
仕方がないから、新しい仲間が出来た今もつるんでいるけど。
もう小学校時代からの腐れ縁。いい加減鬱陶しい。
[ 74/89 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]