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「あの…」

「なに?」

「いつから私のこと、好きだったの」




何を言い出すかと思ったら、竹下はそんなくだらないことを聞いてきた。

手を繋いで歩く帰り道。今日からは、仕方ないから歩幅を合わせることにして。




「ずっと」

「ずっと?」

「うん。3年間、ずっと。悪い?」

「悪くないよぉ」




へにゃっと笑って、竹下が指をぎゅっと握る。

やばい。かわいい。


あ、そういえば。




「ん。これやるよ」




制服のポケットから、竹下のために取っておいたものを取りだす。

頭にハテナをたくさん浮かべて、小首をかしげる竹下に、狙ってかわいいことしてんのかと聞いてやりたくなったけどやめた。




「…これは」

「第二ボタン」

「誰の?」

「柴田の」

「え!いらない!」

「嘘に決まってんだろ。俺のだよ」




竹下の頭を軽く小突く。

案の定バランスを崩してふらりとした彼女のてのひらを引っ張って支えた。




「‥へへ。ありがと」

「いいえどういたしまして」




いつものノリでそう返したけど、ちょっとぶっきらぼうだったか。

心配になって竹下の顔を覗くと、竹下は俺のことなんか微塵も考えていないような顔をして、ボタンに見入っていた。

無防備すぎる。




「それ、そんなに嬉しい?」

「うん!」

「そか。じゃー自慢しろ、友達に」




俺がそう言うと、竹下は弾けるようにまた「うん!」と言った。

あー…こいつ俺のこと本当に好きなんだな。と実感したら、俺もつられてものすごく嬉しくなった。


これから先、ずっとこんなふうに一緒に居られるのか。



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